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色別着こなしのヒント ウーステッドとウーレン = 梳毛と紡毛 服地あれこれ
ブランド、メーカー、ミル の紹介 フォーマルウェア用語 仕立て特殊用語


服地(テクスチャー)あれこれ



 テクスチャー
 テクスチャーとは、服地の触った感じ(手触り、肌触り)見た感じのことである。服地の表情といってもよい。平らで滑らか、太い畝がある、毛羽立ったいてぬくもりがある、シャリ味があってひんやりしている、透けている、光っているなどである。

ウィンター・コットン
 木綿といっても、コットンといっても、綿には夏の服地のイメージがつきまとう。事実、夏服に綿の服地が用いられることが多い。これとは反対にウールには秋冬のイメージがある。
 ところで、ウィンター・コットンは夏服用とは異なっている。
毛羽がある、地が詰まっている、中綿を入れてサンドイッチ状にする(キルティング加工)、厚い、
 毛羽や毛房があることによって、触れた瞬間に温かく感じ、着ていても温かい。地が詰まっていることによって、空気の流れを遮断するから温かい。サンドイッチ状にしたり、張り合わせることによって、空気をため、遮断効果を生むから温かい。
 地が厚いことによって、保温性がある。薄地であると見た目に寒い。それとは反対に、厚地であると寒くは感じない。しかし、厚くて重いのは嫌われるから、手にしたり、袖に腕を通すと、「見かけによらず軽い」と感じられることが今日的条件。
 別珍、コーデュロイ、綿ネル、ビエラなどがウィンター・コットンである。ウィンター・コットンにはウール服地にはない親しみやすさがある。


ウーステッドとウーレンファブリック(worsted & woolen fabric)

 梳糸織物服地の英語名がウーステッド。梳毛を紡いでつくった梳毛糸を用いて織ったスーツ地のこと。紡毛織物服地は、ウーレン・ファブリックとよんでいる。紡毛を紡いで作った紡毛糸を用いて織ったもの。
 羊の毛は、その長さによって、梳毛と紡毛区別されている。
5cm以上は梳毛で、1〜5cmのものは紡毛。
 梳毛織物服地の特徴を、紡毛織物服地と比較すると、次のようだ。
梳毛織物は、精悍な感じがする。織り目が整っている。締まっている。毛羽があまりない。中肉から薄地。滑らか。腰がある。ドレープがきれいに生まれる。ひんやりとした手触り。スッキリとした感じ。
 紡毛織物は、ラフな感じがする。ハンドクラフトの感じがする。毛羽がある。中肉から厚肉。起伏がある。ふっくら、あるいはざっくりとしていて、スポンジー。あたたかい手触り。張りがある。もっさりとしている。
 紡毛織物服地がもちいられるのは秋冬の服地だけ。梳毛織物服地は一年中。夏服に用いるものを総称して、サマー・ウーステッドとか、クール・ウールといっている。
 サマー・ウーステッドは、平織組織で織られ、強撚糸を用いることが多い。一方、秋冬のウーステッドは、綾織が多い。


コーデュロイ
 かつては、コール天とよばれていたが、いつのまにか、コーデュロイとよぶようになってしまった。コーデュロイは、縦方向に、毛羽(正しくは毛房)の畝がある。ウィンター・コットンの服地。綿の緯パイル織物の一種。
 畝の太さ、あるいは本数によって、よび名がつけられており、使い分けられてもいる。畝の本数は、1インチ(2.54cm)の間にある畝の数をいう。鬼コールは3本、太コールは6本前後、中太コールは9本、細コールは15本、極細コールは20本以上。ただしこれは目安である。
 極細コールは、シャツ・コールともよび、その名の通り、カジュアル・シャツでおなじみ。鬼コールや太コールはパンツ、ブルゾンなどで見かける。中太コールは、スーツ、パンツ、ジーンズなど広く用いられている。
 コーデュロイには毛羽のあらわし方が異なるものがいろいろある。たとえば、ブロック・コール、親子コール、リバーコール、ライス・コール、ドビー・コールなどなど。衣装に先染したものもある。
 コーデュロイの特徴は、毛羽が立っている、触れた瞬間に温かく感じ、着ていても温かい、厚地、
 裏側からこすられると毛羽が抜けやすい。よく見ると、毛羽の生えている地に平織りのものと綾織のものとがあることがわかる。
 コーデュロイの、短い毛羽は、服地の耳(経糸の方向)に平行して、一方向に倒れている。この毛羽をなでると、ふせた状態にも、立った状態にもできる。毛羽が寝る方向をなで毛といい、毛羽を立たせる方向をさか毛とよぶ。
 さか毛にすると、色が濃く、深くなる。なで毛は、さか毛よりも白っぽく見える。で、一般的には短い毛羽のものは、さか毛を上にして用いる。コーデュロイは毛羽が短いから、さか毛を上にして用いることもなされている。
 長時間着用していると、さか毛もなで毛も、同じように見えてくる。毛羽の寿命からいえば、なで毛を上にするほうが長持ちする。


サキソニー

 サキソニーはサクソニーともよばれている。今日のサキソニーを一口にいえば、うっすらと毛羽のあるサージ。あるいは、ごく薄くて軽い、やわらかなツイードである。
 その特徴は、
・オーストラリア産のメリノ羊毛を用いた紡毛織物で、
・綾織した
・地が密な
・いくぶん毛羽のある
・非常にやわらかな、薄手で、軽めの
・ツイード調の服地
・しかも丈夫である。
 春秋のジャケット、スーツ、スラックスなどに用いられている。梳毛糸、あるいは梳毛糸と紡毛糸とを用いて、綾織、、あるいは平織したものもある。厚めのものもあって、これは冬用。
 というわけで、サキソニーとよんでいるものにはさまざまなものがある。したがってサキソニーとは、綾織か平織の、うっすらと毛羽のある、手触りやわらかなウール服地の総称ともいえる。
 サキソニーのオリジナルは、ドイツの南はザクセン地方(英語でサクソニー)で産した、当事世界一上等とされていたサキソニー・ツイード。ツイードのなかで一番細い糸を紡ぎだして、緻密に織ったその服地は、布面が滑らかで、極めてやわらかな手触りの、羽毛のように軽いものだったという。伝説のウール服地。その感じを模したものが、今日のサキソニー。あるいは、その名前の持つ良いイメージを冠したものである。

シェトランド・ツイード

 軽くてやわらかく、弾力性がある。色はシェトランド羊の羊毛素材色である白色。シェトランド羊毛の多くは編物とされるから、織物服地は稀少品。
 今日シェトランドと称するものには、手触りを似せた「シェトランド」が多い。

ジャカード
 ジャカードは、紋織物を織る装置のこと。あるいは、この装置を装着した織機のこと。
 ジャカードで織った織物を紋織物、あるいはジャカード織物、これを略してたんにジャカードとよんでいる。
 ジャカードの装置は、経糸の1本1本を操作して模様を織り出すことができる。その模様の表現は繊細である。小さいがデリケートな模様から、織物幅いっぱいの大きな模様も織りあらわせる。
 ジャカード織物には、ブロッケード、ブロカテル、ダマスク、風通ジャカード、カットボイルなどがある。


チェビオット・ツイード
 スコットランドとイングランドとを分けるチェビオット山脈から北スコットランドで産するチェビオット羊の羊毛を用いている。粗く見えるがやわらかく、シャリ味がある。バナックバーン・ツイードはこれの一種。

ドニゴール・ツイード
 平織と綾織のものとがある。ネップ入りツイード、あるいは、平織のものをホームスパンともよんでいるが、正しくはドニゴール・ツイード。ネップ(毛玉のような粒)が布面にあらわれている。
 ネップの色は、赤、黄、緑、青、の4色がベーシックだが、これ以外の色も用いられている。今日ではベーシックの方がまれだ。よく見ると、経糸は白色、緯糸は色ネップが入っているネップ糸である。
 オリジンは、アイルランド北部の、ドニゴール地方の農家によって、手紡ぎ、手織りされたもの。


バナックバーン・ツイード
 スコットランドのバナックバーンで織ったツイード。霜降りの杢糸と黒色の無地糸とを用いている。黒っぽい色調。チェビオット羊毛を用いたものが多い。梳毛糸と紡毛糸とを使った綾織物で、しっかりとした地。

ハリス・ツイード
 ハリス島を含めて、アウター・ヘブリディーズ諸島の島民らによって、地元の羊、ブラックフェイスの羊毛を用いて、手紡ぎ・手織りしてつくられたもの。
 粗くて、厚地。ケンピー(ケンプ、死毛ともいう)とよばれる白色の毛が、ところどころに混じっているのが特徴だ。
 色は羊毛の自然な色、素材色(ナチュラル・カラー)である。あるいは、植物染料で手染めした自然な色。本物の服地には、ハリス・ツイード・オーソリティのマークである十字架をいただく宝珠(オーブ)が押印されている。

ビーバー
 ビーバー仕上げした紡毛織物のオーバーコート地。毛羽が経糸の方向に伏せてあるコート地の、代表的なもの。伏せてある毛羽の感じや手触りがビーバーの毛皮に似ているところから名づけられたらしい。
 ビーバーの特徴は、経糸の方向に長い毛羽が伏せてある。毛羽は刈り揃えられている。逆毛になる。麗しい光沢がある。やわらかい。織目は見えない。地は密、厚い。見かけよりも軽い。押すと弾力性がある。保温性に富んでいる。
 ビーバー仕上げとは、紡毛織物を強く縮絨してから起毛して、長い毛羽を生む。これを刈り揃えて長さを同じにする。次にプレスして、毛羽を経糸の一方向に寝かせる。そこで、やわらかな長さの揃った毛羽でおおわれた布表と、穏やかな光沢が生まれる。
 ビーバーに似たものにドスキンがある。ドスキンとの違いはというと、ビーバーは、毛羽が長い。毛羽が密である。ドスキンは毛羽のかげに綾目が見える。地が厚い。光沢が劣る。太い紡毛糸を用いている。ドスキンは経糸、緯糸ともに上質な梳毛糸を用いている。ドスキンで、オーバーコートは仕立てない。


ファンシー・ツィード
 シャネル・ツィードとよんでいる服地のことである。“シャネル”は商標であるから、一般的なよび名としては使えない。で、シャネルツィード風の、装飾的な平織や綾織の、紡毛服地をファンシーツィードとよぶ。
 ファンシーとは、装飾的であるという意味。この服地は、丈夫さよりも装飾的であることを命としている。着物と並んでも負けないだけの華麗さを目指してつくられている。そのために、ファンシーヤーンともよぶ意匠糸を用いている。
 意匠糸を用いて、組織や織り方などによるテクスチャーではあらわせない装飾効果を生む。意匠糸のかたちと彩りは、多種多様である。


フラノ / フランネル
 フラノは、グレーっぽい、あるいは明るい茶色の地のなかに、白い毛(ケンピー)がぱらぱらと混じった霜降りの、うっすらとした毛羽をもつ服地。見た目にソフトで暖かそうな印象を与える。手触りもやわらかだ。軽く握ると弾力を感じる。腰がある。というわけでフラノの服は、軽くて、ソフトで、品がよい。
 フラノは、綾織、あるいは平織物を、温水に浸けて揉み、詰まった地にする(縮絨という)。次に、表を引っ掻いて毛羽を生み(起毛という)、刈り揃えたもの。霜降りは、同じ色味で濃淡に染めたウールを、混ぜ合わせて紡いだ霜降糸を用いている。
 フラノの縮絨を強く行うと、メルトンに似た感じの服地になるが、メルトンよりも薄くて軽く、動くのがラクである。そこで、日本ではフラノを厚く、硬くした服地が、メルトンに取って変わっている。
 フラノには、梳毛糸や紡毛糸、綾織や平織、仕上げにも強弱あって、ヴァラエティに富んでいる。そこで、日本では、フラノを厚く硬くした服地が、メルトンに取って変わっている。
 フランネルは、フラノよりもふっくらとしていてやわらかく、腰はない。そこで、柔肌に直接つけるレディスにも用いられている。
 このフランネルを、テニス・ウェアのボトムスに用いることができるようにしたのが、フラノ。フラノは男っぽく(マニッシュ)、フランネルは女っぽい(フェミニン)といえる。
 また、綿を用いてフランネルに似せたものが、綿ネルである。


ヘリンボーンのオーバーコート
 ヘリンボーンは、その綾模様が鰊(ニシン herring) の骨の形に似ているところからつけられた名前。そこで、ヘリングボーンというのが正しいが、ヘリンボーンの方がポキュラー。日本では杉綾とよんでいる。杉の葉の形と似ているからだろう。
 ヘリンボーンはストライプの一種。右上がりの綾目だけの列と、左上がりの綾目だけの列とが交互に並んでいる。その列と列の間に三分の一くらい幅の狭いストライプを加えたものもある。これをヘリンボーン・ストライプとよんでいる。
 ヘリンボーンは、スーツやジャケット、オーバーコートにもよく用いられている。オーバーコート地であればツィードである。
 ヘリンボーンは黒とウール白との配色がオーソドックス。シェパード・チェック、グレン・チェック、ハウンド・トゥース、ドッグズ・トゥースなどでおなじみの、ブリティッシュトラディショナル・パターン(英国伝統模様)の一種である。これはどれも、黒とウール白が基本。黒と白は英国羊毛の自然の色でもある。


別珍(べっちん)
 別珍は、ベルベッティーンともいう。別珍に似たものに、 ビロード、ベルベット、ベロアとよぶものがある。別珍は綿糸を用い、ビロードはシルク、ベルベットやベロアは、レーヨン、アセテート、ポリエステルを使うといった原材料の違いだけではなく、作り方が異なっている。
 別珍、ビロード、ベルベットなどは、パイル織物。ベロアには、紡毛織物を毛羽立たせたものろ、編地に毛羽を生んだものとがある。
 別珍の毛羽(正しくは毛房)は、毛羽用の緯糸(毛緯)を切ってつくったもの。ベルベット(ビロード)は、毛経を切ってつくったもの、したがって、別珍は緯パイル織物で、ベルベットは経てパイル織物となる。
 別珍には綿糸が用いられている。
 別珍の特徴は、短い毛羽が、一面に密に立っている。光沢が豊か。色は深い。肉厚(毛羽が立っている。柔らかい。触れた瞬間に温かさを感じる、着ていても温かい。
 別珍に貫八と称するものがある。これは、普通の別珍よりも上等。重くて、密に毛羽が立っており、色はさらに深く、重厚な艶を感じる。経糸は60番手双糸で緯糸は40番手単糸。
 別珍には、毛羽の生えている地が、平織りのものと、綾織のものとがある。それは裏側を見るとわかる。
 綾別珍とは、地が綾織のものである。平織の別珍と比べると、地の織り目が詰んで締まっている。毛羽が抜けにくい。
 別珍もウィンターコットンの服地。色無地が多いが花柄などをプリントしたものもある。


ベロア
 パイル織物としておベロア。毛羽は起毛加工によって生んだものではない。毛経(けだて)よってつくられたもの。したがって、毛羽ではなく毛房(けぶさ)とよぶのが正しい。
 この毛房の作り方は、毛房にするための経糸(毛経という)と、地を作るための経糸(地経 )と緯糸(地緯)とを用いて、パイル織りをする。次に毛経を切って、長い毛房を生む。ベルベットと同類であるが、毛房がベルベットよりも長いのが一般的。


ホームスパン
 日本では平織のツイードのこと。ホーム(家庭)でスパン(紡ぐ)した、粗い、太い糸(手紡糸)を、ホームで、手織り(ハンド・ウーブン)したラフなものがオリジン。今日では、手紡ぎ・手織りしたような感じに見える機械織がほとんどである。
 日本でも、北海道、岩手などで、ハンド・ウーブンのホームスパンが作られているが、微量。
 色は、黒、グレー、茶色、紺、黒っぽい緑色などのほかに、白色、黒、あるいは淡い色のネップが入っているものが多い。
 ホームスパンに用いる糸は、ツィードと同じで、仕上げも同じ。織糸には紡毛糸を用いるのが基本だが、やわらかな風合いを何事にも求める日本では、梳毛糸を使ったものが多くなっている。
 布面の毛羽は、布面を引っ掻いて毛羽立てたものではない。生地を軽く縮絨(お湯の中で揉む)することによっ生えてきたもの。
 ホームスパンやツィードを評価するものに、スポンジネスがある。服地を手のひらで軽く握って放すときの、服地の弾力性のことである。弾力性が豊かにあるものを良しとする。ペタッとしてしまってり、硬いだけのものは、低質。
 スポンジーであれば、着てスムースであるし、織密度が粗くても肘や膝が抜けにくくなる。

ミルド・ウーステッド(milled worsted)
 織り上げた梳毛織物を、お湯のなかで揉みほぐして、布の両側に毛羽を生むとともに、しなやかにしたり、地を詰める加工を、縮絨あるいはミリングという。
 縮絨を強く行うか弱く行うかによって、毛羽が生える量や、やわらかさ、地の詰まり(地の厚さ)などが変わってくる。たとえば、メルトンは、フル・ミルドという強い縮絨をほどこす。
 弱い縮絨のミルド・ウーステッドは、毛羽を少し出した程度の薄くて、やわらかな、梳毛織物服地。いいかえれば、マイルド(mild)な味のウーステッド。
 その毛羽は刈り揃えられている。ミルド・ウーステッドは、こすれる箇所が悪光(てかり)しない。
 温和なミルド・ウーステッドを用いたスーツやジャケットなどは、秋風を感じるようになるとすぐ着られる。

メルトン
 メルトン仕上げした紡毛織物のオーバー・コート地である。ネイビーブルーのピー・コート、あるいはトッグル(木片や角などのボタン)をロープにかけてとめるダッフル・コートなどではおなじみの服地。
 メルトンの特徴は、四方八方に向いた毛羽が密集している。裏面も同じように毛羽に覆われている。綾目は見えない。地は密で、厚く、重い。やわらかな肌触りで、押すと反発性がある。平らで滑らかな布面である。こすっても逆毛(毛並みが逆さまになること)にならない。濡れても毛羽は乱れない。丈夫である。保温性に富んでいる。光沢はあまりない。
 このような特徴から、ロング・コート、ピー・コート、ダッフル・コートなどに用いられている。丈夫で実用的なのである。
 メルトン仕上げとは、紡毛織物を強く縮絨して、35%も生地を縮める。フェルトのように地が詰まると同時に、毛羽が生まれる。メルトンの毛羽は起毛して生んだものではない。
 メルトンには、経糸緯糸ともに梳毛糸を用いたウーステッド・メルトンもある。フラノで強く縮絨したものはメルトンに似ている。


綿ネル
 コットン・フランネル、あるいはコットン・フラノともいう。名前からしてわかるように、ウールのフランネルを、綿で似せてつくったもの。ウィンター・コットンの服地の仲間。
 布面には短い毛羽がある。その毛羽が片側だけにあるものと、両側にあるものとがある。色柄は、白一色のものから、色無地のもの、プリントしたもの、先染でストライプやチェックをあらわしているものなどいろいろ。ストライプやチェックを織りあらわしているものを、織り込みネルとよんでいる。
 平織物と綾織物がある。平織物に起毛したものを平ネル、綾織物に起毛したものを綾ネルとよんでいる。毛羽が比較的長く、密度が高く、風合いの良さを感じるのは、綾ネル。
 面ネルを、ウールの安物判としてとらえてはいけない。綿ならではの味がある。ウールにはない特徴は、肌へのなじみがよい(肌にやさしい)、やわらかなシルエットをあらわす、カジュアルである、手軽に洗濯できる、安価。


モッサ
 モッサ仕上げした紡毛織物のオーバー・コート地である。短い毛羽が立って密集している感じが、苔(moss)に似ているところから名づけられたらしい。毛羽が立っているコート地の代表的なもの。
 布表を押しても、毛羽はくったりとなりにくく、押した手を離すと、毛羽が立ち上がってくるものが上質とされている。
 モッサの特徴は、直立した短い毛羽が密集している。ドライな手触り。綾目は見えない。地は密である。地厚である。見かけよりも軽い。
 モッサ仕上げとは、しっかりトした地の紡毛織物を、縮絨してから起毛し、生んだ毛羽を短く刈り揃える。

ローデン
 オーストリアのチロル地方が発祥の地。オリーブ・グリーンがかったローデン・グリーンの、ローデン・コートに用いられている。このコート、チロルの山中での男のワークウェアだったとのこと。
 ローデンの特徴は、長い毛羽、時は密で、厚く、重い。
 ローデンのつくり方は、粗い紡毛を用いた紡毛織物を、強く縮絨してから、起毛し、毛羽を密生させてから刈り揃える。昔は見ずに浸しただけの縮絨だったと聞く。



§フォーマルウェア§

タキシード・クロス
 フォーマル・ウェア用の服地、いや、かつてのいい方をすれば、礼服の代表は、ドスキンであった。そのドスキンは、男性の第一礼装である燕尾服(テーレズ)に用いられてきた。どころが、燕尾服は最近見かけない。
 燕尾服に取って代わったのが、ジャケットの一種であるタキシード。タキシードとは、アメリカのよび名で、イギリスではディナー・ジャケットである。準礼服のタキシードが、今日広く用いられるようになった。タキシードをつくる、毛羽の少ない(もしくはない)フォーマル・ウェア地を総称して、タキシードクロスとよんでいる。
 タキシードは、イブニング(夕刻)から行われるレセプション、ディナー・パーティー、ダンス・パーティー、観劇などのシーンで着られる。そこで、「男は着るもので決まる」情景が演出される。
 タキシードのショール・カラーには、サテン、あるいはグログランが用いられている。そして、黒の蝶ネクタイ(ブラックタイという)は、サテン、あるいはグログラン、ビロードでつくられる。これに白のドレス・シャツと白のベスト。共地で仕立てられたパンツには、黒のサテン、あるいはグログランのサイド・ストライプ(側章という)が入っている。サスペンダーとストッキングと光る靴は、黒。上に羽織るのは、ビロードをあしらった黒のチェスターフィールドコート。帽子はオペラハット。これが今風の正装、といわれる。

ドスキン(doeskin)
 かつての礼服地の代表。 ドスキンのdoeは、牝鹿のこと。したがって、牝鹿の皮という意味。そのレザーに、見た目も手触りも似ているところから名づけられた。
 ドスキンは、良質な梳毛糸を用いた朱子織物である。経糸は密で、平らな布表をし、極めてやわらかい。まばらにある、よろけたような毛羽は、一方向に強く伏せられている。布表をなでると、毛羽は細かな毛玉となって、手のひらに粒粒を感じる。布の裏側には、ぼさぼさとした毛羽がある。色は黒色で無地。
 細い朱子目は目立たず、毛羽の下にみることができる。
 ドスキンの本格派は、経糸に紡毛糸を使うから、中肉の地となり、重く、毛羽があるから、ほこりがつきやすいといった泣きところがある。これが嫌がられて、現在では、毛羽の少ない、あるいは毛羽のない服地が、フォーマル・ウェア地として用いられている。

カシミヤ
 カシミヤ山羊の毛を用いたオリジナルなもの。この高価な服地は、毛羽のあるオーバー・コート地とは異なった品種。
 綾織で、綾目は急角度。経糸が布表に多くあらわれている経綾。布の裏側を見ると、平織を斜めに置いたようだ。
 その特徴は、薄地で軽く、やわらかな肌触り。平らで滑らかな布面。光沢が美しい。カシミヤ特有の艶を感じる。毛羽はない。細かい綾目がはっきりと見える。黒、濃紺の無地。

カシミヤ織(カシミヤ・ウィーブ)
 カシミヤをウールで模したもの。だが、カシミヤ織の「織」を省いて呼んでいる。「カシミヤ・バラセア」はカシミヤ織のこと。
 カシミヤ織は、綾織りのウーステッド。その特徴は、綾目は45度よりも急な角度。はっきりと見える。裏側は平織物を斜めにしたように見える。綾目が細かくて、平らで、滑らかな布面。光沢がある。毛羽は無く、綾目ははっきりと見える。薄地で軽い。ウール・ギャバジンよりやわらかい触感。黒、ネイビー・ブルーの無地が多い。似たものにバラッシャがある。

カシミヤ・ドスキン
 ウーステッドである。カシミヤとドスキンをつなぎ合わせた名前。布の表側がカシミヤ織、裏側はドスキン風。特徴は、綾目が細かい(布の表側)。やわらかい。伏せた毛羽がある(布の裏側)
 燕尾服、モーニングコート、タキシードなどのフォーマルウェアに用いられている。

ベネッシャン
 細い梳毛の経糸を密にした朱子織物。急角度の綾目のような織目を表している。それを朱子目(しゅすめ)、あるいは朱子線という。よく見ると、経糸が長く布表にあらわれている5枚朱子、8枚朱子であることがわかる。
 毛羽は無く、光沢に富んでいる。中肉で、しっかりとした地であるが、ほどよい腰をもっている。動く体にそって、やわらかなシルエットを描くことから、フェミニンな感覚をもつ服地とされている。
 無地のほかに、霜降りのものもある。これは高級な服地。紡毛の毛羽のあるオーバーコート地もある。

コール・ズボン地
 モーニング・コートと組み合わせてはく、黒とグレーのストライプのズボンに用いている服地。このズボン地を、コード・トラウザリングと、イギリスやアメリカではよんでいる。
 コール・ズボン地は、梳毛の、経綾の織物。二重綾である。毛羽は無い。経糸が多くあらわれており、地は詰んでいて、重くて、厚く、丈夫。
 黒字にグレーのストライプがあらわされている。このストライプが絹糸であったりする。模様のスタイルでいえば、オルターネイト・ストライプ。オルターネイト・ストライプとは、2種の異なった綾組織、あるいは異なっている2色とであらわしているストライプのことである。ウーステッドによく用いられている。
 夏用のコール・ズボン地は、一重織物で、薄くて、軽めにつくられている。


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