(2000年2月20日開設、2016年12月4日修正)

 気がついてみればオトテールのCD以来、7年間も新しい室内楽のCDを作っていませんでした。それがなんと、今年は立て続けに2つも新録音がリリースされます。でもこの7年間、けっして怠けていたわけではありません。

 まずは5月にリリースされたルネサンス・フルートのアンサンブル「ソフィオ・アルモニコ」の初アルバム「魅惑のルネサンス・フルート〜優しい眼差し〜」です。(画像をクリック)

 このグループを立ち上げたのは2008年。ちょうどオトテールの録音を終えた頃のことです。グループ立ち上げ、そして録音に至る詳しい経緯については是非CD解説の方をご覧いただきたいのですが、とにかく苦難の連続でした。ルネサンス音楽が大好きで、何ができるか分からないけど、とにかく何かをフルートでやってみたいと始めては見たものの、何せルネサンスについては全員ずぶの素人。右も左も全く分からず暗中模索の時期が長く続きました。

 世界的に見ても、ルネサンス・フルート・コンソートという分野はまだ始まったばかりで、やっている人も録音もまだほとんどありませんが、当時の文献や絵画を見ると、フルートは16世紀にはかなり人気の高い楽器だったということが分かっています。まずはルネサンスの音楽理論や音楽習慣を学ぶところから始まり、あとは体当たりで、片っ端からいろいろ吹いていってみると、次第にルネサンス・フルートに何ができて、何ができないのかが見えるようになってきました。

 バロック音楽に関しては、有田正広先生をはじめとする先人たちがすでにその作業を終えて下さっていたため、私たち、第2、第3世代の古楽奏者はずいぶん楽をさせてもらいましたが、ルネサンス・フルートはそうはいきません。自分たちで一から調べ、考え、学ぶには膨大な時間がかかりましが、だからこそより血となり肉となった手ごたえを感じている気がします。

 ルネサンス・フルートはメイプルなどの非常に軽い素材で作られており、楽器自体にはパワーが全くありません。でも、残響の多い部屋で演奏すると部屋が増幅器の役割を果たし、体中が温かくやさしい響きで包まれるような不思議な感覚にとらわれます。

 フルート・コンソートの醍醐味はなんといても調和の世界です。主旋律と伴奏が明確な調性音楽と違い、対位法で書かれたルネサンス音楽に主旋律はなく、絶えず変わり続けるお互いの関係性があるだけです。お互いが独立し、一見てんでばらばらに好き勝手なことを言っているように聞こえつつも実は絶妙なバランスで影響しあっており、最終的には一つの調和を作り上げます。自分の意志で生きていると思っていても、人は人間関係の中で助け合い影響し合いながら生きているのであり、それが神の作った調和の世界、もしくは宇宙の摂理なのかもしれないという実感を、コンソートを演奏していると感じます。

 昨年9月に録音を行った北海道の北の大地美術館は、木造ですがヨーロッパの教会のような響きのする素晴らしい建物で、ルネサンス・フルートの良さ、そして宇宙的な空間を肌で感じることができました。ぜひ、CDを通じて皆様にもこの特別な空間と時間を体感していただけたらと思います。

 そしてもう一つの録音は、7月にリリースされるテレマンのパリ四重奏全曲録音です。(画像をクリック)

 初めてヴァイオリンの寺神戸亮さん、ガンバの上村かおりさんとアンサンブルをしたのは、私のライフワークにもなっている「フルートの肖像」シリーズ第6弾でのパリ四重奏全曲公演ことです。この時の公演は大成功といってもよく、次々に繰り出される生き生きとした音楽の会話に、お客様も演奏した私たちも大満足で、本当に心から楽しめるコンサートになりました。それ以降、寺神戸さんたちとはシリーズ第8弾でハンブルク四重奏曲や、福岡、福山でのパリ四重奏曲ツアーなどアンサンブルを重ね、この三人を核としたメモリアルバロックという新しいコンサートシリーズも昨年から始まりました。

 寺神戸さんや上村さんとは、エネルギッシュなところ、音楽を映像的に感覚でとらえるところ、ちょっとおっちょこちょいなところ、楽観的で人生を謳歌しているところなど、性格的にも非常に近いところがあり、3人で盛り上がった時の勢いはもう誰にも止められません。というわけで、コンサートで盛り上がった勢いそのままで、パリ四重奏の全曲録音を行うことになりました。録音の様子はこちらにも書かれております。

 パリ四重奏曲は、テレマンが1738年にパリを訪れた際に書き下ろした、フランスの芳醇な香りが漂うテレマン室内楽の最高傑作です。ロココの雅宴画の世界のような洒脱な愛と音楽の駆け引き、テレマン独自の軽妙でユーモアあふれる会話がいたるところで繰り広げられ、聴く人に飽きさせる隙を与えません。テレマンの真骨頂が味わえる録音をぜひお聴きください。リリースは7月13日の予定です。

 どちらのCDもこちらのホームページのお問合せから注文することができ、送料無料でお送りいたします。7年ぶりの渾身の演奏をお楽しみいただけましたら幸いです。

 7月にはCD発売記念として、パリ四重奏曲のツアーを、東京、長野、神戸で行います。東京公演は公演の1ヶ月以上も前に完売となってしまいましたが、長野、神戸はまだ十分にお席がございます。ライブでしか味わえない丁々発止の演奏をお楽しみいただければと思います。

 10月には福岡古楽音楽祭の一環として、パリ四重奏曲の公演のほか「テレマン in パリ 〜大人気作曲家が旅先で見たもの〜」という公演があります。パリ四重奏曲はパリの公開演奏会シリーズコンセール・スピリチュエルで、当時最高の奏者だったブラヴェやフォルクレによって初演されました。そのコンセール・スピリチュエルで人気の高かった作曲家たちの曲を集めてみました。ほぼ同じ内容の公演を東京のメモリアルバロックシリーズの公演でも演奏しますが、東京公演は寺神戸亮さんによるルクレールのコンチェルトなのに対し、福岡公演では私がブラヴェのコンチェルトを演奏いたします。こちらもぜひよろしくお願いいたします。

新しいコラムを作ったものの、1年以上も更新せず、ずっと気になっていました。今度のCD録音に関連して、新しいコラムを一気に3つ書きました。アルバムみたいなものですけど、ご覧下さい。(6/25)

過去の全コンサートの記録を含む

過去の「近況報告」貯蔵庫を含む

これまでに開いたリサイタルの全記録です。


前田りり子リサイタル フルートの肖像 vol.13
予告 〜フリードリッヒ大王の宮廷音楽〜
2017年3月21日(火)
バロック・フルート 前田りり子・相川郁子
バロック・チェロ 山本徹  チェンバロ 上尾直毅
チケット発売はしばらくお待ち下さい。

第12弾 テレマン/ファンタジーの世界 2015年12月13日 昼夜2回公演
フルート 前田りり子
第11弾 趣味の和合 2014年11月29日 昼夜2回公演
フルート 前田りり子、砂山佳美、チェンバロ 上尾直毅、ガンバ 平尾雅子
第10弾 協奏曲の時代 2014年6月27日 日本福音ルーテル東京教会
フルート 前田りり子、ヴァイオリン パウル・エレラ、荒木優子、ヴィオラ 深沢美奈、チェロ 懸田貴嗣、コントラバス 諸岡典経、チェンバロ 上尾直毅
第9弾 フルート・デユオの世界 2013年9月7日 昼夜2回公演
 バロックフルート:バルトルド・クイケン、前田りり子
第8弾 テレマン/ハンブルグ四重奏 2013年7月20日 昼夜2回公演
 フルート 前田りり子  ヴァイオリン 寺神戸亮
 ヴィオラ・ダ・ガンバ 上村かおり  チェンバロ 上尾直毅
第7弾 F.クープランの時代 2012年2月4日 昼夜2回公演
 バロックフルート:前田りり子・佐々木萌絵
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:福沢 宏 チェンバロ:上尾直毅
第6弾 テレマン「パリ四重奏曲全曲演奏会」 2011年7月23日 昼夜2回公演
 バロックフルート:前田りり子 バロックヴァイオリン:寺神戸亮
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:上村かおり チェンバロ:上尾直毅
第5弾 バッハ家の時代 2010年11月27日 昼夜2回公演
 バロックフルート:前田りり子・川端勇輝
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:福沢 宏 チェンバロ:渡邊 孝
第4弾 ヘンデルの時代 2010年1月16日 昼夜2回公演
 バロックフルート:前田りり子・新井 道代
 スパッラ:ディミトリー・ヴァディアロフ チェンバロ:上尾直毅
第3弾 テレマンの時代 2008年9月6日
 
バロックフルート:前田りり子長島有紀
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:平尾雅子 チェンバロ:大塚直哉
第2弾 ヴィヴァルディの時代 2008年2月3日 昼夜2回公演
 
バロックフルート:前田りり子
 チェンバロ/オルガン/バロック・ギター:上尾直毅 バロックチェロ/山本 徹
第1弾 オトテールの時代 2007年5月13日 
 
バロックフルート:前田りり子
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:福沢 宏 テオルボ/バロック・ギター:竹内太郎
表記のない会場はすべて東京オペラシティ「近江楽堂」

テレマン パリ四重奏(2枚組)
新発売 3500円(送料無料)
 
J.M.オトテール フルート組曲集
発売中 2500円(送料無料)

パリのフルート音楽
華麗なるロココの饗宴
発売中 2500円(送料無料)

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バロック・フルート(フラウト・トラヴェルソ)を教えます  
 レッスンの場所は、「武蔵小杉駅(東横線・目黒線・南武線)」の駅近くです。頻度、時間は随時ご希望に合わせて決めます。単発、初心者も可能です。レッスンを受けたい方はお気軽に、liliko@pm-sf.tepm.jpにメールをください。
 DACという楽器店が開催しているミュージックスクールDaCapoというところでも、レッスンをしています。場所は新大久保です。くわしくはDACのホームページに出ています。こちらのレッスンをご希望の方は、直接DAC(03-3361-4110)にお問い合わせ下さい。
 大阪では、大阪市営地下鉄平野駅から徒歩3分の場所で2か月に一度レッスンをしています。
 その他、福岡仙台でも不定期に教えております。日時については同様にメールでお問い合わせください。

ルネサンスフルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」のページです。

4月6日(木)東京都美術館講堂 ミュージアムコンサート
7月1日(土)近江楽堂 ソフィオ・アルモニコの公演予定

ソフィオ・アルモニコ初CD発売! 2900円
    魅惑のルネサンスフルート
      〜優しい眼差し〜
  ルネサンス・フルート 前田りり子・菊池かなえ・菅きよみ・国枝俊太郎
  ルネサンス・リュート 佐藤亜紀子  打楽器 中村会子