鉱山・炭鉱関連の出版・新刊情報(書評含む) 2003.7.1~

BOOK REVIEW

この鉱山・炭鉱関連の出版・新刊情報(書評含む)は
「金属鉱山研究会・ニューズ・レター」にも掲載しています(一部除く)。
主に地方や自費出版などの出版物を中心にお知らせしたいと思っています。
なお、在庫等については、こちらでは分かりませんので
直接問い合わせ先へお願いします。
紹介したい鉱山・炭鉱関連の出版情報などありましたらメールでお知らせ下さい。
但し、必ず掲載されるとは限りません。

◆足尾銅山全圖
大正2年(1913)1月15日発行の完全復刻版・
A2版変型・352ミリ×594ミリ・
モノクロ1色刷り・1998年3月1日発行・2回目の完全復刻版です。
自費出版・定価 500円(税込み・送料別)

  

上図は全圖の一部。
本山の有木坑口から製錬所、古河橋付近のものです。

オリジナル絵図は大正2年に足尾鉄道開通記念として、
足尾・赤沢の森田大吉氏により発行された足尾全体の鳥瞰図です。
この頃の足尾は宇都宮に次ぐ人口を記録しており(大正5年)、
まさに全盛時代の足尾を知る貴重な資料です。
近年になり四代目にあたる森田 淳さん
(現在・足利市在住)が復刻致しました。

※お問い合わせ ・購入希望の方は
こちらからメールでお問い合わせをお願いします。
 

◆『三池炭鉱写真集ー万田坑聞き書きー』
下津 晃著・B5版・142頁・
2003年2月25日発行・自費出版・2,500円


 三井三池炭鉱が閉山し早くも6年余が過ぎた。この間「宮ノ原坑」と「万田坑」は国の重要文化財・史跡として辛くも残ったが、他の立坑や櫓などの施設はほとんどその姿はもう見ることはできなくなってしまった。
 この本とは2003年3月に荒尾市の「市民祭り」として万田坑が公開され、その再訪の折に出会った。もう市民の間からは炭鉱関連の出版物はかなり難しいと思っていたので嬉しかった。
 下津さんは元郵便局長で直接炭鉱で働いた経験はないそうだ。新聞によると「建物は残ったが、万田坑に関わった人たちの話を今の内に残しておきたい」と2年間に渡って27人から万田坑暴動や万田公園での花見、炭鉱での生活環境の変化などを聞き書きした。さらにニ十数年かけて集めていた明治・大正時代の万田坑全景、作業風景、炭住などの写真約160枚も収録した。
 聞き書きの中には1963年11月9日の三川坑「炭塵爆発」直後に坑内に入った手記も載っており事故の大きさ、悲惨さが生々しく伝わる貴重なものもある。さらに、検査で「尿に出ぬ」という医者の一言で一酸化炭素中毒患者に認定されず、毎日24時間止むことのない頭痛と、健忘症に悩まされ苦しんだ話などー。どれだけの多くの家族・人たちがこの事故の影で悲惨な生活を強いられ、苦しんだ事実があったか。未だに癒されず、時だけがむなしく過ぎて行き、心が痛むとしか言えないのが辛い。
 
他にも囚人労働跡が帚で掃いたように整然としている様子や、宮ノ原坑にダムがあり、ヘドロ除去の折には得体の知れぬものがあり、気味が悪かったなど初めて聞く話も多くあった。
 写真もとても豊富である。年代特定がされているものや、されていないものなどマチマチであるが、貴重な写真が多く、下津さんの編集過程での苦労がよく理解できる。決して三井からは出版できない労作だ。
 
問い合わせ先: TEL 0968−64−0255 下津 晃さんへ

◆三池炭鉱写真誌『地底の声(じぞこのこえ)』
写真・文・高木 尚雄著・A5版・261頁・
2003年5月30日発行・弦書房・2,500円(税別)

第25回熊日出版文化賞・受賞作品

 1997年の三井三池炭鉱閉山直後に写真記録帖「わが三池炭鉱」を出版した高木さんが、新たな写真誌を5月末に出版した。高木さんについてはこの欄で紹介しているので今回は省くが、今回も58年から91年までの間に撮影した未公開の227点もの写真を収めている。ちなみに「弦書房」は葦書房から独立した人たちが立ち上げた出版社で今回の本が初めての配本となる。
 三池港、地底の声(坑口とその周辺・坑内労働・設備と用具・炭掘る仲間・石炭列車・)社宅の暮らし(炭鉱住宅・金受け・運動会・映画ロケ・)・山の神さま・三井三池炭鉱史・炭鉱用語と目次はつづく。
 主となるものは貴重な坑内の写真であるが、炭鉱での生活史にも視線は届き、前回の本と合わせて読めば三池については大凡の全体像が浮かび上がってくる。高木さんは新聞のインタビューで「三池鉱の500年の歴史を残すため、手元にある他の写真も世に出したかった」と述べている。高木さんの写真の魅力は自分も三池で働き、同じ労働者・炭掘る仲間という意識がごく自然に写真に出ているところだ。貴重な坑内の写真、炭掘る仲間たちの写真、風景の写真でも同じ質の視線を感じる。炭鉱史に限らず生活史においても貴重な写真が記録・資料として残ったことは何よりも嬉しいことだ。

◆『三菱鉱業・大夕張鉄道』
奥山 道紀・赤城 英昭著・B5版・48頁・2003年6月1日発行・
(株)ネコ・パブリッシング社・R ライブラリーシリーズ47巻・1,000円(税別)

大夕張鉄道の表紙と同・絵葉書 

  1987年7月に廃線になり、現在旧・南大夕張駅跡に列車などが展示・保存されている元・三菱鉱業の大夕張鉄道の歴史を豊富な写真と資料をまとめた1册が出版された。
 この9月に私のサイトでも1987年7月に「夕張」を訪ねた写真をアップしたばかりだが、偶然にも初めて夕張を訪ねたのは「廃線日」の3日後だった。そして南大夕張の炭住を見て、この保存された(当時はまだ保存会はできていなかったが)三菱のロゴが入った列車と機関車をじっくりと見学した。2001年時はその老朽化に驚いたが保存会が出来たと聞いていたのでいくらかは安心できた。
 当然、本は列車が主なので、廃線までの66年間の沿線の風景、運行のダイヤや橋りょうの図面などの資料が満載されている。しかし元来は石炭の運搬のための鉄道だ。ところどころに炭鉱の記述や写真も入り炭鉱にとっても貴重な資料が入っている。改めて鉄道の原点は「ヤマ」だと実感した本だ。また、札幌の書店で一般書の週間売り上げベスト10にも入ったそうだ。その人気、注目度が理解できる。

 なお、同時に保存会から「絵葉書」も出された。こちらは10枚1組み1,000円。
同絵葉書の
問い合わせ先: TEL 011-386-1485 奥山方 同鉄道保存会へ。

◆『萩原義弘写真集・巨幹残栄・忘れられた日本の廃鉱
萩原義弘著・A4変型版・122頁(写真100枚)・
2004年1月20日発行・(株)窓社・3,500円(税別)

 待望の萩原義弘さんの写真集が新年早々出版された。
過去「巨幹残栄・東日本編」「巨幹残栄・西日本編」と写真展を開催し、今回も1月20日から2月1日まで「巨幹残栄・忘れられた日本の廃鉱」として約30点の写真展も出版に併せて同時開催された。
 上記それぞれの写真展を見た方は写真集に納められている大方の写真内容は想像できるだろう。今回、私なりにじっくりとそれらの写真をくり返し見て行くと、萩原さんは他の人が既に発表した鉱山・炭鉱の写真と近いアングルの写真をあえて捨てたのが分かった。そして自らの炭鉱・鉱山に関わって来た事実と鉱山・炭鉱の存在を検証しつつ、独自の視線のものにこだわり、その写真を中心にして写真集を編集して来たように私には感じられた。
 それはいわゆる既成のドキュメント写真という種の写真集の枠にとらわれないものに仕上げたことや、萩原さん独特の写真の質感、光を大切な武器にして写真にしていることでも理解できるだろう。
 以前、私は萩原さんの新聞等の報道写真とこのような自らが撮りたい写真のギャップ感について、今後も萩原さんの写真を見続ける中で考えたいと記したことがある。今でもそのギャップ感が完全に消え去ったとは言い切れないが、こうして見続けて来るとホンの少しだが、独特の視線を彼自身が探し求めていたことが理解できかけて来たように思う。
 今年に入り、一部で廃墟の写真の発表も相変わらずつづいている。それはそれでいいのだが、しかし、同じ廃鉱を題材に撮影していながらも、写真の質としてまったく違う写真に感じてしまうのはどうしてだろうか。単にテーマが廃墟だから、廃鉱だからだけではない。当たり前のことだが、やはり地道で丹念な行動と研究活動の事実の積み重ねによって写し取られた写真は中身が、重みが写真に出て来る。別の言葉で言えば撮影者の行為や意識は写真によってすべて暴かれてしまうのだ。この写真集でも萩原さんはそのことを証明している。その意味でもこの写真集の帯にもある「比類なき労作」にいつわりはない。また、巻末の鉱山や炭鉱についての説明・解説文も萩原さんの見たもの、感じたものを率直に臨場感一杯に伝えていて夕張市・社光の写真(1984年)と共にとても好感が持てた。
 萩原さんが鉱山・炭鉱を追う、且つ独自性を追求する姿勢を強く感じる本だ。その意味では独特の記録を後世に標した写真集といえるだろう。貴重な参考文献になる。

◆『第6回国際鉱山ヒストリー会議・赤平大会・論文集
国際鉱山歴史会議事務局編・
61論文(内21論文は日本語併記)・A4版・340頁・
2004年1月30日発行・3,000円(税・送料込み)

 2003年9月26日から29日まで北海道赤平市で開催された「国際鉱山ヒストリー会議」の本会議の論文集が完成し、一般への有償頒布が始まった。部数に限りがあるようなので先着順となるようだ。
  申し込みは氏名(ふりがな)・郵便番号・住所・電話番号・所属組織名(任意)・
Eメールアドレス(任意)・希望部数を記入して以下の住所に郵送して申し込む。

 追って論文集と代金の振込先を記載した案内を事務局から送るそうだ。
 申込先・
 〒079-1192 北海道赤平市泉町4丁目1番地
        赤平市役所国際鉱山歴史会議事務局 論文集頒布係
 問い合わせ先・
       0125-32-2211 内線343 若しくはinfo@imhc2003.comまで。 

◆『中田聡一郎写真集・飛彈の砂守
Sand Arrestation in Deep Hida

中田聡一郎著・河出書房新社・B4変型版・96頁・
カラー・モノクロ・
2004年4月30日発行・3,500円(税別)

前作「奥飛彈の鉱山」と同質の視線と眼差しを強く感じさせる中田さんの写真集が出版された。
だからと言って決して「まったくの進歩なき眼差し」ではないところが中田さんの魅力だ。
むしろ、無意識ながらも自分の心に留まっていた
対象を、無理なく
ごく自然に発展させ、求めて行った結果がこの写真集だと私には感じられる。
自らのドキュメント性を静かに、自然のままに受け止め、表現する写真家がここにいる。
著者の自然、飛彈に対する深い愛情が伝わって来る写真集である。

私も学生時代から永年、足尾銅山に通い「砂防ダム」を至る所で見て来た。
もちろん、その苦悩の歴史も使った膨大な額の税金も知っている。
砂防ダムを観る度に、そしてその不自然さを考える度に元凶の無責任さも嘆いて来た。
しかし、一方で砂防ダム近辺を含む風景も時間と共に変わって来た事も事実である。
本当の自然が作り出す自然と、
人間が作り出した自然の価値感が、ある一面で今変わろうとしているのかも知れない。
中田さんの写真集を見ているとその自然感が変わって来た事を実感させられる。

清信 朝男写真集『石狩炭田 2004 ~ 1968 遠くなる風景』

清信 朝男著・アジアブックス発行・A4版・240頁・
モノクロ・2004年10月10日発行・2,500円(税込み・送料別)

 確か1989年のアサヒカメラ11月号の「新刊紹介」のページだったと記憶している。清信さんの前作「フォトドキュメント・万字炭山 1966-1989」の紹介記事にあった「決して不幸な所でなく、心豊かな谷間であった」と書かれた文章に共感した私はすぐにその写真集を申し込んだ。届いた手紙には既に在庫がなく、著者の廻りで何冊か買って頂いた人から買い戻し、その1册を同封したという手紙が同封されていた。万字の資料は少ないと聞いていたので著者の心配りに感謝したのは言うまでもない。
 しかもそこには万字炭山での人々の生き生きとした生活、鉱山での暮らし振りなどが著者の暖かい視線で記録されていた。上記の文章が写真からも理解でき、とても新鮮な感激を受けたのを今でもハッキリと覚えている。以来清信さん(万字で働いていた)とは万字、写真などを通して交流が続いている。
 2001年10月、夕張・空知地方へ出かけた折には、三笠の旅館まで清信さんは私たちを訪ねて下さり、研究会の仲間と共に深夜まで万字や夕張などの炭鉱、足尾などの鉱山、写真などの話題で楽しく盛り上がった。その清信さんが写真を撮りつづけていることはもちろん知っていたが、こうして写真集としてまとめることは全く知らず、突然送られて来た写真集を見て私はそのエネルギーに改めて驚いた。
 かつ、240ページのほとんどが写真で埋めつくされている。題名に「石狩炭田」とあるように万字はもちろん、空知地方の炭鉱を丹念に、ていねいに撮りつづけている。ざっと取り上げても夕張、大夕張、北星、朝日、美唄、三美、上砂川、芦別、古河雨竜炭鉱、歌志内、空知、赤平、幾春別、幌内などの各炭鉱がある。そしてそれらの炭鉱の閉山反対闘争、座り込み、事故、葬儀、鉄道廃止、閉山、閉山後の炭鉱跡、人々や町の風景等々。それらを清信さん独特の暖かい視線で記録している写真集である。まだ記憶に新しい空知や赤平の閉山式のニュースを思い出し、赤平の繰り込み場にこれだけの人たちが集まっていたのかと改めてそれらの炭鉱や人々について考えさせられた。清信さんのこの丹念さに深い「炭鉱へのこだわり」があるように私は感じている。
 清信さんは「私と炭鉱の関わり」の中で次のように記している。
『 (前略) 時代の目撃者として石狩炭田の標柱と自分の足跡を見る作業をさせてもらいました。現在と35年前の時代経過を物語る炭山や炭住街はすでに痕跡も匂いもなく、「空山人を見ず」の漢詩の一節が頭をかすめる程でズリヤマなどは今日の壮年期以下の人達にはなかなか理解出来ないと思い、この記録写真集を現在(平成15年)から昭和44年(1969年)への一時的の過去行きの切符になればと願っています』とある。たいへん貴重な記録写真集である。
残部は少ないようなので希望者はお急ぎ下さい。
      問い合わせ先・ TEL・FAX 01267-2-5124      清信 朝男さんへ

 ※ 清信朝男さんは残念ながら2005年5月16日逝去されました。
とても残念な思いです。心から御冥福を祈ります。
                                              

『復刻版 岩波写真文庫 49 石炭
赤瀬川原平セレクション』
赤瀬川原平,岩波書店編集部,岩波映画製作所,西日本新聞社
岩波書店・2007年9月27日発行・B6判・68頁・定価 735円(税込)
*1951年11月25日発行の復刻版です。

 この本はB6版と小さいが、1951年(昭和26年)11月25日に100円で発行された同名の写真文庫の復刻版だ。その名の通り、写真を中心にテーマにそった文章・イラストなど織りまぜ編集され、当時はとても貴重な情報源だった。この岩波からは東松照明など日本を代表する写真家が何人か育っている。
 内容は北九州が中心だが「石炭の生成や石炭からできるもの」の図面やイラスト、採炭から坑道、保安、選炭、輸送、ボタ、炭鉱生活、公害等々まで広い範囲で炭鉱や石炭に関わるものがテーマ別に分かりやすく掲載されている。もちろんそれらに関する写真も豊富に載っている。また若松港の繰車場の見開き写真、三池の四ツ山立坑近辺のパノラマ写真、石炭が山積みされた端島(軍艦島)の第2立坑近辺の写真等々今では見られない貴重な素晴らしい写真もある。端島(軍艦島)は別に4ページの特集も組まれ、潮降り街の市場のようすや、護岸周りの木造家屋等、また地獄段の手すりが木造だった頃の写真も掲載されている。まさに終戦直後の貴重な写真や資料といえるだろう。
 現在「産業遺産」として鉱山や炭鉱跡地が注目されている。また若い人たちもそれらを「廃墟」として関心を示している。だが多くの若者は石炭や炭鉱を知らない。「廃墟」の原形である炭鉱・石炭そのものに興味も示さない。たとえ関心を持ってもそれらが具体的に、そして分かりやすく書かれている本にはなかなか出会えない状況でもある。このような状況で石炭・炭鉱について専門的ではないにしても広く理解しやすいこの本が復刻された意義は大きい。
 特にこの本は「石炭や炭鉱を知らない」世代の人たち、「知らない」を理由にそれらの勉強をおざなりにしている人たちに読んでもらいたい本だ。私も改めて勉強したい。

『DVD『軍艦島オデッセイ-20世紀未来島を歩く-』
企画・制作:オープロジェクト・2008年12月12日発売
・本編45分+特典映像15分・16:9 LB ビスタサイズ・
カラー・ステレオ・発売元・日活株式会社・税込価格:4,935円

 軍艦島」とは長崎県の最西南に浮かぶ炭鉱の島「端島」の通称である。今端島は世界遺産登録問題、また今年4月から島に上陸する観光地化の予定をしており注目されている。
 オープロジェクトとは端島を中心としたいわゆる「廃墟」といわれる写真のポストカードやDVDを製作・発表する映像と音楽のグループだ。彼らのいいところは単に廃墟を追うのではなく、そこにまつわる人間やその歴史を考察して、自らの生き方を考えようとする「姿勢」を持ち続けていることだ。地道で着実な活動を続けているので私は数年前から注目している。また、当研究会とも端島の上映会を共催し、常に上映会への参加を呼びかけているし情報の交換等の交流が続いている。

 そのオープロジェクトが4年前に製作したDVD「軍艦島-FOREST OF RUINS-」に引き続き新たなDVDをリリースした。待望の新作DVDだ。
 今回のDVDは島の歴史を現在から過去にさかのぼり「人が住んでいた時代の軍艦島」を主に貴重な閉山前の映像・写真を駆使し、当時の生活の様子を甦らせながらの構成で端島の姿を紹介している。また、「30年ぶりに故郷・端島を訪ねた時に見たモノは…」をテーマに端島出身の声優「石森達幸」を起用し、より深く広い「軍艦島像」を表現しようとしている。結果、~懐かしくてやさしく、そして力強かった「昭和」という時代を追体験できます(同DVDのチラシから)~を目指したように思える。下手をすると企画と共に共倒れで命取りになりかねない危険な手段をあえて用いた。しかし、見事にオープロジェクトの総力を結集し、イヤミも無く、このDVDの流れの中に自然にとけ込む編集でより理解しやすいDVDに仕上げた。また、他の組織からの映像の借用やそれと合成する技術はたいへんな時間と労力を費やしたと思われる。その努力に対して十分にみあう評価を得られる作品だといえるだろう。私はその点を評価したい。軍艦島・端島に興味ある方はぜひご覧頂きたい。この結果を踏まえて彼らは次に何をするのか、その次も楽しみになって来た。

 その他、特典映像は「軍艦島の墓所・中ノ島」の全貌はなかなか見られない映像が多数あり、とても参考になった。しかし、「旧島民のインタビュー」「コメンタリー」は時間的にも、内容的にもまとまりがなく、中途半端さを感じてしまった。より内容を持たせるためにも話の内容を吟味して今後も取材を続けてまとめあげて行って欲しい。
 なお前作の軍艦島DVD『軍艦島 FOREST OF RUINS』とカップリングした、 『軍艦島ダブルアンセムパック』も同時発売している(上記写真右)。2本パックは、それぞれを個別に購入するより安くなっている。詳しくは下記のサイトをご覧ください。
(鉱山研究会ニューズレター第75号及び鉱山研究会会誌鉱山研究第86号より転載)

◆『軍艦島全景 gunkanjima odyssey archives』
2008年12月12日発行 企画・制作:オープロジェクト 変形B5版 / 160ページ /
全ページオールカラー / 税込価格 2.415円 発売:三才ブックス

 軍艦島DVDと同時に、今回は軍艦島の本も同時にリリースしている。ただでさえものを作ることは相当の情熱、エネルギーが必要だ。この彼ら一連の軍艦島に対する情熱、エネルギーが改めて伝わってくるような本も新たに仕上がった。
 この本は現在の住宅棟地域の建物や炭鉱施設にとどまらず、島内の様々な施設、スポットの画像と閉山前の写真織り交ぜ、それを時代順に並べ、その歴史や変遷をたどり網羅している。まさに題名通り端島の「全景」という構成になっていると同時に、それらの歴史がお互いにリンクしている構成になっている。
 私は事前にDVDにあわせて本も出すと聞いていた。しかし、グラフ的写真集、本にまとめるのだろうと勝手に予想していた。正直、本に関しては新たな視点はなかなか難しいだろうとあまり期待してはいなかった。しかし、この本を見ていると単なる建物の変遷のみではなく、写真同士も連携しているようでどこの施設の写真からでも島全体の全景が見えてくるから不思議だ。彼らなりに言い換えれば「昭和の軍艦島の時代」がどの写真からも見えて来るのだ。そして時代を乗り越えて島全体の全存在が浮き上がって来る。さらに多くの関連映像と文章で資料的価値をより高めている。従っていわゆる「廃墟好き」の読者だけにとどまらず、端島研究者にとっても今後の資料となりうる本であり、利用価値が高い本といえるだろう。私も大いに活用したい。
 より詳しい内容に関してはhttp://www.o-project.jp/
http://gunkanjima-odyssey.com/bbs/bbs.cgiの11月26日前後の掲示板を参照して下さい。
(鉱山研究会ニューズレター第75号及び鉱山研究会会誌鉱山研究第86号より転載)
※商品の写真は3点ともオープロジェクトの提供です。いつも有難うございます

 番外編ですが一言言いたい
 最近端島関連のテレビ報道を見る機会があった。それによると観光の為の上陸の補修工事ほぼ完成の様子が出ている。しかし、それを見て残念な思いをしているのは私だけではないだろう。全面では無いが、ドルフィン桟橋は無惨にも壊されて原形と違っているし、上陸ルートはフェンスで仕切られているし、30号棟の近辺は瓦礫等がきれいに清掃されて…。そして早くもその設計に今年の台風の影響まで心配されている。
 あぁーこれが端島の自然崩壊を見せるという世界遺産の目的か。と考えると納得できない。真新しいコンクリートの遊歩道といい、どうして端島の大切で貴重な遺産を壊してまで新たな道路・モノを作り、観光をしなくてはならないのだろう。
簡単にはもとには戻せないのだぞ。日本の役所が考える「観光」とはこんなものか。まったく情けない。
 このような「観光地化」に改めて反対する。もう端島には手を付けるな!

これらの写真、文章の無断転載、コピーは禁止です。
These photographs and sentences are prohibition by the reproduction,
copy without notice and so on.

HPトップへ戻る・ Returned to the top of HP.

※以下は準備中です
※The following is being prepared.