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フラメンコ舞踊において、姿勢は重要なポイントになります。 姿勢は、長年にわたって当人の身体に染み付いたもので、その人の人生を表している、とも言えます。 フラメンコ舞踊の姿勢は、もうそれだけで自己表現にもなります。 同じように立っているのに、センセイの立ち姿と自分のそれは何となく違う・・・そう感じたことはありませんか。 センセイの立ち姿は、体型、筋力、その人の育った環境、健康状態、スポーツ経験、価値観・・・いろんなことの結果です。 とても参考になりますが簡単にはマネできません。 誰にでも、自分にとっての最良の姿勢とか立ち姿、そういった身体のポジションがあります。 それを見つけることがフラメンコ舞踊を学ぶ醍醐味のひとつであり、健康にも役に立つメリットでもあります。 そのポジションが動きの基盤になってきます。 それほど重要なことですから、レッスンを受けるに当たっては、自分の身体のラインを隠すことなく鏡に写してくれるレオタードなり、それに準じるものを身につけてください。 男性の場合は、あまりダボっとしていないジャージやTシャツがオススメです。 そういうスタイルで鏡の前に立つことが、上達のスタートラインに立つことになります。 もちろん、ある程度キャリアを積んで、どんな服装をしていても自分の身体の動きのイメージがアタマに描くことができるようになったら、そのときは何を着てもいいでしょう。 稽古場には通常、自分の姿を写すことができる大きな鏡があります。 「鏡に写る自分を見ながら動く」ということは「鏡の中の自分をコントロールしながら動く」ということです。 運動の学習です。 「こう動けばこのように見える」 つまりは<自分の感覚で動く=A><実際に外側から見える動き=A‘>を合致させてゆく学習です。 「A」は自分の内面的感覚で「A‘」は外観であり現実です。 「鏡を見て動く」ということは両者を一致させる訓練です。慣れてくると 「A」=「A‘」 になります。 「A」=「A‘」 になればイメージトレーニングをかなり有効に活用できるようになります。 「A」は脳内で想像することができますから、それと<A‘>を正確にむすびつけることができれば、アタマの中にある自分のフィギュアを操るようなものです。 実際に筋肉が動いてはいないまでも、動くべき筋肉に刺激を与えることになります。 (「ミラーニューロン」というのをご存知でしょうか。興味がおありなら検索してみると面白いですよ) ここまでになるには時間がかかるかもしれませんが、「鏡に写る自分を見ながら動く」経験をコツコツを積み重ねていってください。そのことに少し慣れてきたら、鏡は3Dのように見えて、実は2Dだということに注目してみましょう。 鏡に写る自分の姿は、どうあがいても「自分の視点」からでしか見ることができません。 次のステップは、アタマの中で視点を変えることです。 自分の姿を、後ろから、斜め後ろから、上から、真横から・・・見るとどうなるかイメージできるようにしてゆきましょう。 ここまでくればかなりのものです。 ボクが初めてスペインに行ったのは20歳代後半でした。それまで日本から出たことはありませんでしした。 始めのうちは、街ですれ違う外国人は皆同じように見えていたのですが、何ヶ月か経つうちに、この顔にこの服装はアメリカ人かな、とか、彼女は間違いなくドイツ人だな、とか見当がつくようになってきました。 目が慣れて、細部の違いを観察して考察できるようになってきたわけです。 このようにフラメンコに馴染むためには、できるだけライブを観に行ったり、DVDを観たり、CDを聴いたりしてください。YouTubeなどの動画サイトを利用するのもいいと思います。できるだけ多くのフラメンコに触れるようにしてください。 そして、特に自分が習っている振り付けの曲・・・たとえばセビジャーナスとかアレグリアスとか・・・を聴き込んでください。歌を覚えられれば覚えてください。声に出して歌えなくても、アタマの中で歌えたら充分です。 歌を覚えることが難しいようなら、それぞれの曲には、伴奏ギターの回転コードがありますから、それをアタマの中で思い浮かべられるだけでもいいでしょう。 最近ではケータイやスマホで動画の撮影ができます。 先生によっては、こういったモノを利用することを認めない場合もあるようですが、ボクは大いに利用すべき、と考えます。よって、レッスン中に振り付けを覚えるためであれば、自分の姿なりボクの動きなり、を動画撮影してもよし、としています(伴奏のギターや歌がある場合は、別途許可を得なければなりませんが) そうすることで、振り付けを早く覚えてもらいたいからです。 レッスンは振り付けを覚えることが最終目標ではなく、その次があります。振り付けを覚えてもらわないことには、その先に進めません。振り付けを覚えること以上に重要なことに時間を割きたいからです。 もし、あなたの通っている教室の先生が許可してくださるのであれば、利用できるものは何でも利用する貪欲さがあってもいいのではないでしょうか。 |