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                ギター内蔵ブースターの製作 その3

 前回の続きで、では昔のビッグマフとかファズフェイスなんかは、いきなりトランジスタのエミッタ接地回路を使っていて、入力インピーダンスを低くして受けているのですが、それは一体どういうことか?という疑問が生じます(ちなみにビッグマフは入力インピーダンスが100KΩもありません)。

 それは、ロー受けはやってはいけないことではなくて、ハイ受けするのが好ましいということに過ぎない、ということです。出力インピーダンスよりも低く受ければアッテネーターになってしまって、ゲインは落ちるわけですが、そんなことを気にせずに、後ろでバーンと増幅すればブースターになるわけです。一旦ロスして挽回する、と。しかし、これはいささか迂遠なことではありますが。

 また、ロー受けするとハイが落ちてしまいます。モヤモヤした音になる。しかし、ファズのじりじりした音を抑えるというか、入口でのハイ落ちがひとつの味となって、トータルとしてはいい音になれば良いわけです。
 結局エフェクターの世界は何でもあり、みたいなところがありまして。

 今回のブースターはあくまでクリーンな、ピックアップの音をそのまま増幅したようなナチュラルなものを作ろう、ということでハイ受けにしたい、ということです。


 で、これは、チューブスクリーマーのバッファに、前回のエミッタ接地回路を合体させたもの。

 入力インピーダンスは510KΩ位。入口はエミッタフォロアですから、電圧ゲインはありません。

 1μFに100KΩのVRを直列にしていますが、これはギターのトーンコントロールと同じ。VRの抵抗を大きくすればローが削れますが、VRはなくてもいいです。

 ただ2段目の方は、入力インピーダンスが低いですから、ある程度コンデンサの値を大きくしなければ低音が出ません。入口の0.022μFの方も含めてヒアリングで値を決めればいいと思います。

 2段目のゲインは1KΩ :10KΩで、約10倍(20dB)。ここは1KΩのエミッタ抵抗を5KΩくらいのVRにしておいて、好みのゲインになるように可変できるようにした方が良いかもです。シングルコイル、ハムバッキングとピックアップの出力がいろいろだから。

 で、ゲインを上げようと仮にエミッタ抵抗を500Ωとすると、約20倍もの増幅率になり、クリップしないのか?ということにもなります。この場合オシロで波形を確認できればいいのですが、ギター少年は持ってませんわな。ジャーンと鳴らしてみて、良ければそれでいいです。仮にクランチ気味になっても、その音が気に入ればそれでいいということです。
 なお、ゲインを変えれば前回記しました500KΩのVRを回して、2段目のトランジスタのコレクタを約4Vに調整し直す必要があります。

 ちなみに、このブースター、前のバッファは同相で出てきますが、2段目で反転してしまう。前に話したBOSSのOD-1と同じ。が、別に問題はないです。

                                                2011年2月17日 記



                 ギター内蔵ブースターの製作 その4

 いきなりエミッタ接地で受けるのは、入力インピーダンスが低くなり過ぎて、あまり良くないということでしたが、ではバッファを省略することを前提に、入力インピーダンスを上げるために、エミッタ接地回路の入力抵抗を(前回の回路図の47KΩの部分)を大きくすれば(例えば510KΩ)、どうなんだ?というこことになりましょう。

 この場合、それにつれてベース・バイアス電圧を適正にするために上の500KΩのVRをもっと大きくする必要が生じます。分圧比を同じにするには、500KΩどころか何メガΩにもなってしまいますが、これではベース電流以上のバイアス電流を流すことができなくなります。

 ここのところは、前に記しました、鈴木雅臣著「定本 トランジスタ回路の設計」によりますと、ベース電流の10倍程度は流すべきとなっています。実験してヒアリングしてみますと、まぁ、きっちり10倍以上にこだわることもないのですが、さすが510KΩと何メガΩではダメです。何というか、ノイジーな音になってしまいます。

 逆に多く流しとけば問題なし、と数KΩ以下にしてしまってもいいのですが、これは無駄なだけです。音は変わりません。それとこの場合、その前のハイパスフィルターとなるコンデンサを大きくしないと低音が出なくなってしまいます。その辺の兼ね合いから47KΩとしたわけです。

 それと、エミッタ接地回路のゲインを上げる方法として、エミッタ抵抗に並列にコンデンサを接続する、つまりエミッタバイパスコンデンサを付ける方法があります。しかし、これは僕の好みとしてはあまり好きではないです。というのは、コンデンサの音が出てくるんですよね。コンデンサにもよりますが、若干音がボケてしまうような。

 バイパスコンデンサを付けると結構ゲインが上がり、ディストーションなんかを設計する場合にはいいと思いますが、今回のブースターの狙いは、あくまでナチュラルに、バッファのみでは多少寂しいので、少しゲインを得たい、というところにありまして、バイパスコンデンサなしでも目的のゲインが得られれば不要、ということです。

 また、電流帰還バイアスの場合、理屈ではエミッタ抵抗は大きい方が安定するのですが、この辺はよくわからない。今回のは1KΩとしましたが、以前に数百Ωとしたブースターを使っていたことがありましたが特にトラブルはなかったです。
 コレクタ抵抗は10KΩで、ここに約5Vかかりますから、コレクタ電流は約0.5mA。多く流しておけばいいことはいいのですが、電池の消耗もありますからこれ位でいいと思います。

                                                2011年2月21日 記



                 ギター内蔵ブースターの製作 その5

 今までのは、トランジスタを使ったシンプルなブースターの話でしたが、シンプルと言えば次にFETを使った場合はどうなるか、ということを記したいと思います。

 FETを使った場合はご覧のとおり非常にシンプルになります。
 トランジスタのようにバイアス電流を流す必要はなく、それに伴って入力の直流阻止のためのコンデンサも必要なくなります。
 またFETの場合、トランジスタと違って入力インピーダンスは非常に高く、左の場合約1MΩです。
 これはピックアップを受けるのに好都合で、バッファを飛ばして1石で増幅できる。シンプルで良いのに、では何故最初からFETを使わないのか?ということになりますが、以下のような問題もあります。

 この回路は、FETのソース接地、ドレインフォロア回路。トランジスタでいえば、エミッタ接地、コレクタフォロアですが、FETのコレクタをVccの約半分の4Vにするには5KΩのVR(ソース抵抗)を調整する必要があります。

 しかし、この場合、このようにVGS(ゲート電圧)を決めようとソース抵抗を調整しますと、ゲインも自動的に決まってしまうことになります。
 例えば、ソース抵抗が3KΩになったとすると、ゲインは3KΩ:10KΩで、約3倍強。500Ωだと約20倍。先のトランジスタのようにゲインを任意に設定できなくなるわけです。

 試しに、FETのところをソケットにしておいて、ポピュラーな品種、例えば2SK30、2SK171、2SK170等を差し替えたり、また同一品種でもIDSSのランクを異なるものに差し替えるとソース抵抗値は違ってきます。
 FETを集めていろいろ試してみますと、例えば希望するゲイン10倍(ソース抵抗1KΩ)と、ぴたりと合わせるのはなかなか大変でした。大き過ぎるか小さ過ぎるになってしまうというわけです。
 もっとも、それでも気長にいろいろ差し替えて希望するゲインになればそれでいいわけですが。

                                                2011年3月4日 記



                 ギター内蔵ブースターの製作 その6

 うまくFETでブースターを作ったとして、次に音質の問題。

 FETの音ですが、トランジスタに比べて少しマイルドになるというか、丸い音になります。これはFETの場合は奇数時高調波よりも偶数時高調波が多いことによります。
 逆にトランジスタは奇数時高調波が多く、この場合の音のイメージとしてはファズ的なジリジリとした音です。
 で、オーディオアンプなんかの場合には、FETはいいかもしれませんが、ギター用のブースターに使った場合どうなんだ、ということになりますが、僕は腰があるというか、メリハリがあってトランジスタの方がいいように思います。

 FETによるブースターは家で鳴らすと確かにノイズもトランジスタよりも少なくて、前述のとおりマイルドでいい音なんですが、反面セッション等で他の楽器とぶつかった場合、埋もれた音、抜けない音になってしまう傾向があると思います。
 チューブスクリーマーのバッファにFETではなくて、トランジスタを使っている理由は、こういうところにもあるんじゃないか、と推測しておりますが。

 勿論FETを使ったものでも、メリハリがあって抜けの良いものもありまして、以上の話はあくまで概してそういう傾向になる、ということですが。

 で、この辺の話は、FETの音に限らず、ギターやエフェクターにも当てはまりまして、僕の周りのプレーヤーの人と話していても、そういうことを指摘する人は多いです。

 つまり、例えばこのギター、あるいはエフェクターは、こうやってここで弾いているといい音ではあるんだけれども、セッションで他の楽器と一緒に鳴らした時に抜けてこなくてイマイチである、とか。
 この場合、だからと言ってギターやアンプのボリュームを上げてしまうと、今度は音がでか過ぎることになって、他のプレーヤーに迷惑をかけてしまうことになります。

 セッションなんかで、大きな音を出す人がありますが、これは経験不足で適切な音量をコントロールできないこともありますが、ギターやエフェクターを適切にチューニングできていないことが多いと思います。
 つまり、自分の出しているギターの音がよく聴き取れないから、音が大きくなってしまう、と。

 僕の経験では、セッションなんかでアンプからの立つ位置も考えて、小さな音を出していたつもりだったけれども、録音したものを聴いてみたら馬鹿デカい音を出してしまっていた。
 あるいは、、自分のギターの音が周りの音から分離して聴こえるような感じで、音を絞っても細かなニュアンスが聴き取れて、非常に弾き易かった、というようなことがあります。
 ちなみに前者はFETのブースター、後者は前に紹介したトランジスタ2石のブースターを使ったものでしたが。

 いくら練習しても、セッションの現場で自分のイメージどおりの音が出ないといいプレイはできないものです。弘法も筆を選ぶ。チューニング、セッティングで勝負は決まる、という人もおります。わざわざパーツを集めてきて、あーだ、こーだとチューニングして自家用のブースターを作る理由はこんなところにもあります。
                                                 2011年3月14日 記


                 ギター内蔵ブースターの製作 その7

 先月号(3月号)のMJ誌(無線と実験誌)を見ていましたら、オペアンプを使ったギター用のブースターの記事が出ていました。
 僕も昔、オペアンプを使ったブースターをいくつか試作したことがありますが、音の傾向はFETよりはいいかな(4558を使った場合)というくらいの音で、ゲイン10倍〜20倍程度のブースターならば、わざわざオペアンプを使わなくてもトランジスタで十分な気がしましたが。

 で、記事には、ピックアップの出力電圧が云々の記載がありまして、この際現用のブースターをチェックし、手直ししてみようという気になりました。最終的には以下のようになりましたので参考のため記すことにしました。

 これはギターブースターの製作その3の回路図ですが、若干の変更点を記します。
 トランジスタは2SC945を使いましたが、2SC1815等でもOKです。

 まず2段目の方のトランジスタの47KΩのベース抵抗ですが、これは少し下げてベース・バイアス電流をもう少し流すようにした方が良いです。

 これは後述のエミッタ抵抗(1KΩのVR)を500Ωくらいにした場合、上の500KΩのところの抵抗値が500KΩを越えてしまって、調整しきれなくなったからです。

 大きくしても動くことは動くのですが、以前に記しましたとおり、ベース・バイアス電流が少ないと、ノイジーな音になってしまいます。

 2段目の1KΩのエミッタ抵抗ですが、これはゲインを変えられるように可変抵抗に変更します。ここを500Ωとすると、500Ω:10KΩで、約20倍のゲインになるのですが、この場合、オシロスコープで観察しますと、200mVp-pくらいでクリップを始めました。

 これは1KHZの正弦波を入れてクリップさせたときの写真です。

 この場合、上下のクリップを揃えようと500KΩのVRを調整しますと、以前はコレクタ電圧は4Vくらいとしていましたが、結果的には5.1V位が最良となりました。

 これはVcc(9V)の半分(4.5V)
プラスVbe(0.6V)を中心にスイングさせた方が良いということだろうと思います。
 オシロを持っていない場合、テスターで4Vよりも5V強にしておけばいいです。

 で、エミッタ抵抗を500Ωとした場合、前述のとおり、ギターピックアップの出力が最大200mVとすれば(シングルコイルでは大体これ位)、フルボリュームでクリップを始めることになります。これではオーディオ用ではダメということになりましょうが、ギターのブースター用に使った場合、ボリュームを絞った状態では、通常のクリーントーンですが、ボリュームをフルにした場合、飽和して多少歪む効果が出せる(つまり音が伸びる)ということになります。

 逆に、エミッタ抵抗を1KΩ以上とすると、ゲインは10倍以下となり、出力の大きいピックアップでない限り、フルでも歪まないということになります。つまり、エミッタ抵抗の大小で、使うギターのピックアップの出力との兼ね合いから歪み具合を調整できるということになります。
 ジャーンと鳴らしながら、エミッタ抵抗を300Ω〜1KΩを目安に調整すれば良いと思います。ちなみに僕の場合は700Ω位で好みの音になりましたが。

  回路図の出力のところの100KΩのVRはアッテネータです。最終的に好みのゲインに設定します。
 以上なかなか面倒ですが、手間隙かけて調整すると、自分にとって最良のものができるかと思います。
                                                 2011年4月6日 記


                 ギター内蔵ブースターの製作 その8

 僕はパーツを購入するのにしばしば大阪日本橋に行くのですが、昔はパーツショップはあちこちにばらけて店があったのですが、近頃はデジマート、マルツパーツ、千石電商のあたりを中心に固まるように店が並びました。
 ずーと南にあったパーツランドまでこっちに来て苦笑してしまいましたが、このパーツランド。ニノミヤ無線が潰れてそのパーツ売り場にいた人が始めた店でありまして、ニノミヤの時代からの顔見知りの店員もおり、その店員に事情を聞くと、恵比寿町に取り残されそうになって(笑)こっちに来たと言っておりましたが。テクニカルサンヨーもこっちに来まして、覗き込むとあのおばちゃんもおりました(笑)。気難しそうな主人のいるトーカイという店だけは、まだ恵比須町の南の方でやっていますが、この店は珍しい半導体を置いてあるので遠くてもたまに行くのですが。

 この辺をうろついておりますと、ギター少年、中年らしき人もちらほら見かけまして、エフェクターを作るためのパーツ集めだな、と推測できます。
 初心者で、よくわからない人はどんどん店の人に聞けばいいと思います。これだけ店が集まっていれば、対応の悪い店には行かなければいいわけです。中には回路を理解している店員もおりまして、そのパーツがなければこっちでいいとかアドバイスしてくれる人もおります。
 それとこの日本橋界隈は、アナログレコードショップも点在しており、これらの店やまたオーディオショップを回るのも楽しいものであります。


 で、ギター内蔵ブースターの話が続いておりますが、今回は外付けブースターの話。
 中にはギターの内部に手を加えるのはいやだという人もおりましょう。

 といって、ちょっとしたセッションに、大きなエフェクターを持ち歩くのは嵩張るし面倒だということもありましょう。

 そこで一例として、上のような感じで今まで紹介しましたブースターを組み込むという方法もあります。ポイントは、以前に紹介しましたボタン電池式電源を使うと、ご覧のとおりぐっと小型に組めるということです。写真は、左上がトランジスタ2石のブースター、それ以外のはFET1石のものです。

 本体の回路はジャックの内部に組むことになり窮屈になりますが、写真以外にもっと大き目のジャックがあればその方が組みやすいでしょう。ここはプラスチックのケースのジャックを使ってノンシールドになっても問題はないようです。

 半固定抵抗はバラックを組んで定数を決めてから、固定抵抗に置き換えないと大き過ぎて入りません。抵抗は松下の小型の1/4Wカーボン抵抗がお奨め。コンデンサはちょっとキャンキャンした音ですが、積層セラミックコンデンサが小さくてよいと思いますが、この辺のパーツは、小型のものを店の人に教えてもらって好みで使えばいいと思います。
 メスのジャックの方は3ピンのステレオジャックを使って、シールドケーブルの抜き差しで電源のオンオフをすることになります。
                                                2011年5月13日 記

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