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                       スピーカーの話

 僕はスピーカーに関しては自作派です。ガキの頃、初めて親に買ってもらったスピーカーはトリオの3ウェイでした。しかし、高校も卒業位の頃、たまたま故長岡鉄男氏の雑誌の記事を参考に、FE103を使ったバスレフを製作しました。試聴したところ、明るく抜けの良い音に感動。以来自作派になったということです。

 長岡氏のスピーカーというとバックロードなのですが、定番のD-7、D-55、やスワンと、ひととおり自作し使ってきました。共鳴管も、ハイカノンを短くしたものを使ったことがあるのですが、今から考えると、よくも狭い部屋によくもあんなデカいものを置いたものだと思いますが。


 で、最終的には、昨年の暮まではモアイタイプの3ウェイを、デジタルアンプによるマルチアンプで使っていたのですが、それも数年使って飽きてきたので、システムを変えようと、今年に入ってから、あれこれ試してきました。その一環の話です。


 これはステレオ誌、1988年6月号。何とも古い雑誌ですが、僕は工作特集等で気になる記事があった時は、保存しておくことにしております。

 しかし、昔の雑誌を久しぶりにパラパラめくって読むのも楽しいものでありまして。



 で、前から試してみようと思っていたのが、左の記事にあるコントロール20(BS-50)。

 これはとどのつまり、FE-208スーパー等の超強力ユニットを密封箱に入れますと、当然低音不足のカンカンした音になってしまいますが、それをバックロード等のエンクロージャーの工夫ではなくて、アンプのローブーストでカバーしてやろうというものです。

 スーパー系の超強力ユニットは、良いことはわかりますが、バックロードや共鳴管では大きすぎ、重すぎで、導入にためらう人も多いと思います。しかし、この方式なら小型軽量エンクロージャで楽しめそうです。


 問題は、アンプのローブーストをどうするかです。
 確かに市販アンプの多くは、トーンコントロールを使うと、それによる色付けや劣化があり、あまり使う気にはなれないのですが、しかし、そういった欠点の少ないものを自作できるとすれば、問題はないわけです。このローブースターについては後述します。

                                                2012年6月23日 記


                     スピーカーの話 その2


 まずはキャビネットの製作。
 ユニットは昔バックロードや共鳴管に使っていたFE208Sです。今回の箱は適当で良いのですが。

 つまり、ローブーストを前提にする以上、無理に低域を伸ばそうとするよりも、素直にだら下がりになっていた方が良いわけです。

 前述の長岡氏のコントロール20は、最終的に50リットルの密封箱とされたようですが、記事に40リットルでもいけるはずだし、30リットルでも何とかなるであろう、との記述があります。

 僕の場合、あまりデカくて重いのも何ですし、今回はあくまで実験用ということで、15ミリの合板で、33リットルくらいの箱を作りました。

 サブロクの合板1枚を目一杯使うと、90センチを半分に切って高さ44センチ、左右28センチ、奥行き35センチ( いずれも外形 )の箱が2個とれます。結果的に33リットルくらいになった、ということです。

 箱の内部は、コントロール20の場合、徹底補強されていますが、今回のは余った木で、左右を連結し、側板の鳴きを抑えたのみとしました。

 しかし、音出しをしますと、容積が小さかったのか密封箱ではつまった感じがしてどうも面白くない。

 最終的には写真のように、キャビネットの後ろに、内径5センチくらいの塩ビパイプを入れて、共鳴周波数30HZくらいのバスレフ形としました。

 30HZといいますと、通常は低過ぎる値ですが、ローブーストを前提としていますから、低音を出すというよりも、ユニットの空振りを抑えるのが目的となります。

                                                 2012年8月19日 記


                      スピーカーの話 その3

 次は肝心のローブースターの話。

 通常はプリアンプのトーンコントロールを使うことになりますが、潔癖症のオーディオマニアならばこういったものは使いたくないということになります。
 確かに多くの市販のプリアンプの場合、トーンコントロールを通すと音が劣化するというか、音が変わることは確かです。プリアンプを使っていても、トーンコントロールをジャンプできるものなら、ジャンプして使っている人が多いようです。

 しかしよく考えてみれば、アナログディスクのイコライザー。これは結局のところハイカットプラス強力なローブースターでありまして、トーンコントロールがいけないのであれば、イコライザーは使えない。アナログディスクは聴けないことになります。
 ローブーストがいけないわけではなく、イコライザーにしても、良いものは良い、悪いものは悪いのでありまして、要は質の良いものを使えばいいわけです。

 で、前回のコントロール20ですが、長岡氏の記事によりますと、実際に作ってみたら、フラットにするには20dBのブーストが必要だったが、実用上は12dBでもいける云々とのことです。
 しかし、市販のプリアンプで20dBはおろか、12dBものローブストが可能なものはあまりないでしょう。それとターンオーバー周波数が固定されており、ここは変えようがありません。

 試しに前回のFE208Sを使った自作のスピーカーを、手持ちの市販品のプリアンプを通して鳴らしてみたところ、ローブーストが全然足りない。それとボケた面白くもなんともない音、という結果になりました。
 やはり自作するしかないようです。



 左図はそのローブースターです。反転アンプになっていますが、実はオペアンプなどを使う場合、反転アンプの方が安定していて音もいいように思います。

 また反転アンプだと、ゲインを1以下にできるので、ゲインを抑えたい時に良いです。

 教科書に出てくるような回路ですが、ちょっと説明すると、入力のR1C1は、超低域カット。
 ローブースターは低域を大幅に持ち上げますから危ないんですよね。


 この図の定数では、20Hz弱をカットすることになります。R2の200KΩは、仮にC2が無限大とし、C1が0Ωだとすると、R1が20KΩですから、最大10倍、つまり20dBまでにゲインを抑えることになります。
 C2R3はカットオフ周波数を決めます。仮にC2が0.047μF、R3が10KΩであるとすると、約
340Hzということになります。計算式は上図のとおり。
 ここで注意する点は、C2をあまり大きくしないことです。ローブーストが効かなくなります。仮に0.1μFであるとすると、100Hzにおける容量リアクタンスは16KΩ。R3が10KΩだとすると、26KΩ(但し単純な和にはならない)にしかなりません。

 定数もさることながら、この手の回路でのポイントはコンデンサーに何を使うかです。Cのない抵抗のみの単純な反転アンプならば、それを通したとしてもそれほどの音質劣化はないのですが、Cを使うことでがっくり音質が落ちます。トーンコントロールを飛ばした方がいいとか、そういう意見の理由はこのCにあると思います。
 僕は手持ちの双信のSEやWT型コンを使って、他のRの定数はそれに合わせたみたいな設計になったのですが。

 次にオペアンプ(勿論ディスクリートなら尚良いのですが)は、意外にギターのエフェクターによく使われている、安物の4558なんかがすっきりして良い結果を出したりしまして。ペンペンした音ですが、Cによるボケを相殺できる感じ。まぁこの辺は好みですが。

                                                 2013年4月17日 記



              スピーカーの話 その4  フィールドコイルスピーカー

 今回からフィールドコイルスピーカー(励磁型スピーカー)の話をすることにしますが、なお前回のローブースト、うまくやれば30HZもOK。例のカーボーイジャンキーズの風圧まで出ます。
 但し、当然ながら大音量は無理。狭い部屋で、小音量を前提とするならばこれで十分とも思えるんですけどね。

 で、今回のフィールドコイルスピーカー。これは以前からハイスピードでいい、とは聞いてはいたのですが、励磁電源等ノウハウがわからない。ネットでいろんなサイトを検索してみて、これは僕も試してみようということになりました。ネットの情報がなければこういうものには手を出していなかったと思います。

 なお、そもそもフィールドコイルスピーカーとは何?という方もいらっしゃるでしょうが、大昔は磁石がなくて電磁石で磁力を得ていました。その最初期のスピーカーです。当然、電源がいりますが、あとの構造は同じです。
 マグネットはアルニコ、フェライト、そしてこの励磁型といろいろありますが、不思議なことに音が違うんですよね。


 僕がたまたま手に入れたのが、ドイツSABA、DW38という型番のフィールドコイルスピーカーです。

 イーベイで送料込みでペアで3万円までで手に入れました。ラジオから取り外し、ペアとしたものです。

 口径は22cm。エッジはフィックスド。

 しかし、1930年代の製品だそうで、まさに骨董の世界(笑)。ちゃんと音が出るのが脅威です。
 この頃はオーディオが最先端の技術でもありましてよくできてます。





 これは裏から見たところ。

 僕がヤマ勘でこれを選んだ理由は、写真のとおり、しっかりとした構造、大きなフィールドコイル。

 フィールドコイルは2KΩ。コードは4本出てますが、うち2本はハムバッカー。無接続でOKです。

 なお、スピーカーターミナルは自作です。フレーム本体に付加しました。






 これがいいのは、ご覧のとおり、分解できところ。

 分解してクリーニングしました。ここまで分解できれば、ボイスコイルタッチや断線等、たいていの修理は自分でできる感じ。一生ものです。

 ただし、組み立て時、センターを出すには結構コツがいります。普通は下手に分解しない方がいいかもしれません。

 で、問題は励磁電源。僕もそうでしたが、これが面倒で、普通こういうものに手を出さないんですよね。

 次回は励磁電源の話。

                2013年11月27日記
                                                

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