何故、改造が必要なのか?
趣味で楽器に親しんでいる人たちの多くが、改造なんて考えたこともないでしょう。
しかし、愛器の性能を最大限に生かしてやる事が楽器にとって一番幸せなのではないでしょうか。
せっかく高い出費をして楽器を手に入れたのですから、より素晴らしい楽器に仕上げましょう。
もう一つの理由は、プレイヤー自身の負担を少しでも軽くするということです。
プレイヤーの調子が今ひとつの時、諦めて吹き続けるのではなく、楽器にその原因があると考えても良いのではないでしょうか。
これは、普段から練習を欠かさず、楽器に触れ合っていることが条件ですが・・・(*^_^*)。
私自身、改造というものに興味を示したのは数原氏に出会ってからです。
数原氏の言葉を借りると
「日本に入ってくるアメリカ製の楽器は本国で選り抜いた残りの物が入ってくる。じゃ、本国では何を基準にして良い楽器と悪い楽器を振り分けるのか。一寸考えると分かるけど、楽器は一応量産される、十本なり、二十本なり同じ物をまとめて作ろうとしているわけですね、かなり手作業に負うけれども。パーツの段階では全部同じ筈だ。それを人の手で組み立てる段階で、ハンダの量、位置のずれだとか、わずかながら誤差が出る。で、出来上がってチェックしてみたときに誤差の小さい程良い楽器と言うことになるはずですよね。じゃ、誤差の大きい楽器を与えられた僕らが吹いて、うまく行かないという時、当然、自分のせいもあるんだろうけど、楽器も悪いと思う方が楽でしょう(笑)」
というような理論が次々に出てくるわけです。実に合理的な考えです。
この例は、外国製の楽器で悪い楽器を、本来の楽器の形に戻してやる、という発想です。
これは改造と言うよりむしろ修正と言った方が正しいかも知れませんね。
改造と言うからには、本来の楽器の姿に戻した後さらにより良い楽器に仕上げなければいけません。
その方法についても、数原氏の理論が応用されてきます。
もう一つ具体的な例を挙げてみます。
例えば車です。車好きな人は色々な改造(改良)を施しています。
例えばエンジン一つにしても、オイルの種類やプラグ等のパーツを替えるだけの簡単な物から、排気量アップやターボ装着等の大がかりな物まで様々な事が考えられます。これらは、それぞれ目的があって実行します。
これも車を愛し、その性能を引き出したいと考えるからではありませんか?
エンジン以外でも、足廻り(サス、スタビライザー等)や空力(エアロパーツ等)、ブレーキ、マフラー等などたくさんの改造が思いつきます。
ここまで大袈裟じゃなくても、スキーに行くのにスタッドレスタイヤを履くのは常識ですし、愛車のためにハイオクしか入れないというのも車を思ってのことでしょう。
この様に、単にパーツを買ってきて自分ですぐに出来る改良から、何百万もかけて工場に頼む改造まで全てが愛車の性能向上のため、愛車を愛するため行われているのでは無いでしょうか。
楽器についても同様だとが思いませんか?
結局、楽器について研究を重ね、どこをどういじれば楽器は良くなるのか、を追求するわけです。
これで概ね、何故楽器に改造が必要かが理解して頂けたと思います。
ここまで読んで「やっぱり楽器をいじくるのは抵抗がある」と言う方は改造法の項は飛ばして下さい。