奏法

はじめに 息の使い方 タンギング 特殊奏法 楽曲分析 吹奏楽でのポピュラー奏法


管楽器を奏する大多数の人が親しんでいる吹奏楽。その現場でもポピュラー音楽の演奏は盛んに行われます。明るく楽しい印象を与えるポピュラー音楽は演奏会、文化祭、コンサート等では欠かせない物です。
ですが、再三申し上げている通り、吹奏楽団の演奏するポピュラー音楽は大体の場合かっこよくありません。何故かっこよくならないのでしょう。細かいことは他のページで語るとして、かっこよくポピュラーを演奏するこつについて語ろうと思います。

改革ポイントはリズム感の無さや音色、音の形など多数ありますが、少しずつ矯正していくことによってそれらが相乗的に良くなる事と思います。

まず、音楽の最大要素であるリズムに関してですが・・・。優れたドラマー・ベーシストは不可欠です。多くのポピュラーの場合指揮者がいない為、リズムをキープするのはこの二人の役目なのです(それ以外の要素もたくさんありますが)。吹奏楽に置いては、パーカッショニストと弦バス奏者がこの二つの大役を受け持つ事になると思いますが、まずこの二人が死にものぐるいで練習しなければいけません。打楽器とドラム、弦バスとE.ベースはまったく違う楽器なのです。この問題が一番の壁ですが、このHPは管楽器のサイトなのでそこには触れずに置きます(逃げた・・・)。

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音の出し方

では管楽器に於いてのポピュラー奏法とは何か・・・。(これも詳しくは奏法を参照しながら見て下さい。)
まず、音色なども重要になって来ますが音の出し方について見ていきましょう。

上記は音の形を視覚的に表した図です。縦軸が音の強さ、横軸が時間(拍)を表しています。
吹奏楽で標準的な音は1.です。本来アタックポイント(音の出だし)が一番強くならなければいけませんが、多くの人はこの様に、出だしから一瞬後に最強ポイントが来ているようです。音が消えるポイントも減衰して消えていきます。
特にアレンジ物(本来オーケストラが演奏される曲を吹奏楽用に編曲した物)を演奏する場合、弦楽器のパートを管楽器で演奏しなければいけません。弦楽器の音はアタックが最初には来ない構造になっています(ピチカートを除く)、音も減衰して消えていきます。おそらく弦楽器に近付こうという思いがこの様な音の出し方をさせているのだと思います。

そうした音の出し方を変えて吹くだけでイメージはがらりと変わります。2.を見て下さい。これは極端に表した図ですが、出だしから音が消えるまで音の強さは一定です。まずこうやって音を出すように練習します。ここで苦労するのは音を出す所と音を切る所です。音を切るポイントでもタンギングすると言うことは他でも述べました。(奏法・タンギングを参照)勢い良く出ているエアーを、舌で止めるという事です。この時、エアーはまだ出ようとしているのに無理矢理舌で蓋をされた、という風にぴたっと止めなければいけません。
音を出すときもそうです。音を出すポイントから息を入れるのではなく、舌で栓をしている状態でエアーを出す準備にかかり、一気に舌を離す感じです。(この行程は一瞬のうちに行われますが)
例えばホースで水を撒いているときに指でホースの口を押さえるという感じです。きっちり押さえないと水がちょろちょろこぼれたりします。これを完全に塞ぐ様にします。逆に出すときは、押さえていた指を瞬時に離す、そうすれば圧力のかかったホース内の水は勢い良く飛び出します。
この方法により、2.の音の形は再現できると思います。息の量が一定でも、タンギングの仕方一つで雰囲気は全然違ってきます。これが出来ることが前提で話を進めます。

2.の音が出せるようになれば今度は3.に挑戦します。図で見ると複雑そうに見えますが、要はフォルテピアノクレッシェンドの形と思えばわかりやすいでしょう。長い音符(二分音符以上、テンポによって異なりますが)を2.のように只まっすぐ音を出していたのでは味気ないです(そういう奏法もありますが)。少し音に表情を付けてみましょう。長い音符は勿論ですが、短い音のフレーズでも効果的に使用することが出来ます。

ちょっと進んで下図のような例を見てみましょう。

左図はよくポピュラーに出てきそうなフレーズですが、左側のように記譜されていた時(強弱記号は無くても)、右のようなイメージで音を分解して感じることが出来ればいいと思います。
その際幾分ベンドををかけてやるようにするとドライブ感が増しかっこよくなります。(例えば16分音符一つずつ、Da,u,a,Daと発音するような感じで)

この様に、どんな長さの音符でも、その曲のテンポ感をいつも感じながら演奏しなければいけません。長い音符をただだーっと垂れ流しに演奏していてはリズム感が出てこないためにのっぺりとした印象を与えてしまいます。ハイハットやトップシンバルの音をいつも気にしながら演奏するように心がけましょう。

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音の切るポイント

前項で音の出だしと切れ目がはっきりしてきました。これにより、アンサンブルで演奏する際、音の長さや音の出るポイント(いわゆる縦の線)・切るポイントを合わせるのが今まで以上に重要になってきます。大体の吹奏楽団が音の出だしのタイミングしか練習していないことは既に述べました。(それにしても、音がはっきりと頭から出ていないような状態ではかなりアバウトになっていますが)
それに加わり、切るポイントが重要になってくるのです。
今まで減衰してうやむやになっていた音の切るポイント(すなわち音の長さ)が、ここで初めて明るみに出てくるわけです。
試しに誰かと2人でクリック(メトロノーム等)を使って音の長さを合わせてみて下さい。例えば4拍(全音符)の音を、出る所と切る所をぴったり寸分違わず合わせるのです。ここでは4拍・目一杯音を保つことにします。どういうことかというと、カウント後(カウントじゃ無くクリックのアクセント音に合わせても可)音を出し、4拍間音を保ち、5拍目のクリック音と同時に舌で息を止めるということになります。それが出来れば今度は3拍裏(4拍目のクリックの半拍後にタンギング、クリックを半拍単位で鳴らすと良いかも)や3拍目一杯(4拍目と同時にタンギング)等を試して下さい。(3拍目一杯だと全音符には成らないですが、ポピュラー界ではそう言う事も多々あります、要はみんなで合わせていれば問題ありません)そして徐々に人数を増やし(パート単位からセクション、合奏へと)、全員がぴったり合うように練習するのです。当然曲の練習になれば、この音は何拍・・・というように一つ一つ取り決めをしなければいけません。

では実際のプロセスを見ていきましょう。
話を練習時に移します。美しい形としては、ドラム・ベースと各リード奏者がミーティングし、
各音符の長さを決めていきます。どういうことかというと、前述した通り二分音符以上の長い音符の長さが曖昧なのを正すわけです。同じ全音符でも、3拍のばすのか4拍のばすのかを徹底的に統一します。これらは練習していく上で非常に大きな要素になります。例え練習を重ねていく上で不都合が生じても(もうちょっと長くした方がいい、短く切ろうetc.)すぐに対応できるようになります。
それらを自分のパートの人たちに正しく伝えます。その時に便利な記号をお教えします。

上記は各音符の長さを徹底してあわせるための記号です。左側に3つの全音符があります。そして見慣れない+、−の表記があります。これが音の長さを表す記号なのです。表に示されているように−はその拍の半拍短く、+はその拍一杯だと覚えておくと良いでしょう。数字は拍数を表しています。ですから、実際に演奏するときの長さは右の譜面の様になります(解り易くするために八分音符を使用しています)
例えば表一番上の「−4」は、「−」が半拍短く「4」が4拍目という事なので、実際の演奏は「3拍半」という事になります。
この記号は音を切る位置を示しているだけなので、全音符に限らずどの音符にも使用できます。これらを実際に譜面に書き込んで行けば良いのです。結局はバンドメンバーが理解していれば良いだけなので、「○」や「△」等でも良いのですが、米国を始め日本でもこの表記はスタンダードになっていますのでみんながこれを使えるようになると良いでしょう。この記号では半拍単位だけにしか対応していませんが、最初の内はこれだけで十分でしょう。16分単位で音の長さを決めるのは至難の業です。まずはじっくり半拍を完璧に操れるようになりましょう。

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アンサンブルの極意

基本は普段からのアンサンブルと同じなのですが、特にポピュラーの場合は各リード奏者の役割が重要になってきます。吹奏楽を拝見しますとポピュラーの場合でも指揮者を配置している場合が大半ですが、前述の通り、ポピュラー曲はドラム・ベースというパートが全体をぐいぐい引っ張っていく位の気持ちでリズムを支配して欲しいのです。そして重要なのがLead Tp奏者・Lead Sax奏者・Lead Tb奏者というポピュラーでおなじみの楽器担当者です。さらに付け加えるのであれば、Lead Cl奏者と言うことになります。彼らがドラム・ベースを良く聴いて各パートを引っ張っていく重要な役割があるのです。野球で言えばセンターラインがしっかりしているチームは強いと言うことです(・・・?)。

譜面が渡された時からLead奏者の仕事は始まります。前述した音の長さを決めることは勿論、その曲に於いての細かい発音方法、強弱の付け方、リズム感等のアナライズ(分析)をして統一しておきます。これはポピュラーに限らずどの様な曲でも言えることです。それらをサイド奏者に正確に伝えるのです。その後各パート単位の練習に移れば時間を有効に使えるはずです。パート練習に入ってからも、音の長さなど細かい部分に気を使ってパートをまとめ上げなくてはいけません。そして演奏に入れば文字通り他のみんなをLead(導く、引っ張る)しなくてはいけません。表情、強弱、リズム感、音の長さ等、様々な要素の基準になると言うことです。

サイド奏者は上記のことを徹底的に理解した上で「Lead奏者につける」という事をしなくてはいけません。この「つける」というのはどういう意味かというと・・・

●ハーモニーで動いているフレーズの場合、正しい音程・音量で奏する。
●音色や音符の長さ、特殊奏法などをLead奏者と同じように奏する。
●全ての面で、Lead奏者の演奏を聴きながら臨機応変に対応し、Lead奏者を補助する。

等です。かなり緻密な演奏が要求されますね。多くのバンドが音程や音量(いわゆるバランスですね)には気を使って演奏しているようですが、音色まで気を使っているバンドは少ないように思います。ホーンセクションというのは、ギターや鍵盤(コード楽器)の人たちが一人でやっている事を(バッキングの場合)複数でこなさなければいけない訳ですから、当然音色は同じように吹かなくてはいけませんね。音色も含めた「和音」という物を奏さなければいけないわけです。マウスピースや楽器などでも音色は変わってきます。Lead奏者がどこのMPや楽器を使っているのかも確かめておく必要があるでしょう。
優秀なLead奏者には必ず優秀なサイド奏者がいることを覚えて置いて下さい。

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