制度信用取引(仕組み・ルール編)


信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類あります。
一般的に信用取引といわれるのは制度信用取引がメジャーで、一般信用取引 は扱っていない証券会社もあります。
ここでは制度信用取引について説明します。
信用取引とは証券会社に保証金を担保として入れ、証券会社から株を買うのに必要なお金を借りたり売るのに必要な 株を借りて売る(自分が持っていない株を売れる=空売りといいます)という取引です。
だから売りからも買いからも入れるのです。
そしてその借りたお金又は株等は決められた期限までに返さなければならず、そのために借りたお金(または株券) に対しての金利も支払わなければならないというルールがあります。

また、信用取引は投資初心者は行えません。
信用取引は現物取引用の口座では行えず、信用取引口座の開設が必要ですが、 各証券会社の審査基準をクリアしないと信用取引用の口座を開設することは出来ません。
投資経験だけでいうと1〜2年以上必要です。

まずは、取引方法の前に仕組み・ルールを順を追って説明します。
(信用取引では売る人を売り方、買う人を買い方と呼ぶことがあるので、売り方=売る方法という意味ではないです。 また、信用取引で売ることを空売りといい、買うことを信用買いなどといいます。 また、未返済の信用買い・空売りを合わせた総数を建玉といいます。)



・委託保証金・委託保証金率・委託保証金維持率・追証(おいしょう)の説明

まず、お金又は株等を借りる前に委託保証金を証券会社に差し入れます。
これがいわゆる担保になります。
最低入れなければならない委託保証金は各証券会社によって違います。

しかし信用取引の良いところ(リスクにもなりえます)は、その差し入れた担保以上のお金または株等を借りられるという ことです。
「委託保証金率30%」の証券会社だと、例えば100万円分の株を買いたいと思った時その約定代金100万円の30% 、つまり30万円の委託保証金をいれていれば出来るという意味です。
保証金率35%だと35万円の保証金が必要ということですね。
ただ、証券会社では委託保証金の最低額を定めているので、約定代金50万円になる取引をするからその30%の15万円 を入れておけば良いな、という訳でなく証券会社の定める最低額からいれなければなりません。
最低額30万円が多いと思いますが、保証金率30%なら逆に言うと最低額の保証金をいれるだけでこの場合100万円も の取引が出来るということです。


しかし売買で損失がでたら委託保証金から損失分を差し引かれます。
また、お金だけではなくて有価証券等でもよいのですが、差し入れた時よりその証券等 の価値(価格)が下がった場合もその値下がり分が委託保証金から引かれます。
そうすると借りてる額に対して30%を下回りますよね(金率30%の場合)。
そこで委託保証金維持率をいうのが決まっています。
例えば維持率25%と定められていたら、自分の借りたものの金額に対して25%の委託保証金がある状態にしな ければなりません。


その際に追証(追加保証金)が必要になります。
追証は委託保証金率に達する額を証券会社が定める日までにいれます。
つまり、「維持率」を下回ったら、「金率」まで入れ直すということです。
逆に儲けが出ていれば追証どころか、自分の維持率のパーセンテージにも余裕が出ているかと思います。

各証券会社の委託保証金・委託保証金率・委託保証金維持率など一覧はこちら⇒ 信用取引[制度信用]各証券会社概要
維持率・追証の計算についてはこちら⇒信用取引 保証金率・追証計算




・諸費用について

信用取引で株を買う場合、その買った代金に対する金利(日歩)を払わなければいけません。
また、売った場合はその株券に対する貸株料と品貸料(逆日歩)を払わなければいけません。
その他、制度信用取引を行うためにかかる費用は、売買手数料・信用管理費・名義書換料があります。


金利(日歩)
信用取引では保証金を入れることで数倍(3倍程度)の株が買えますよね。
つまり証券会社からお金を借りて株を買っているのですが、お金を借りているという事は利息が発生します。
それが金利です。
金利は証券会社によって違います。
制度信用取引の返済期限は6ヵ月なのですが、金利とは普通年単位で計算した「年利」のことなので(金利=年利)、 例えば年利2.5%なら1年後には25000円の利息を返さないといけないということですが、 それが6ヵ月だと12500円です。

利息の計算法:借りた額×年利(%)÷365日×借りていた日数=利息
例)100万、年利2.5%、6ヵ月(183日)の場合
1000000×2.5%÷365×183=12534円(ここでは1円以下四捨五入してます)
※普通、株を買って受渡の日から返済受渡日までの日数(当日も入れる)で計算されます。
決済時に徴収されます。


貸株料
信用取引では株券を持っていなくても売りから入る事が出来ますが、 それは証券会社から株券を借りて売っています。
お金を借りて株を買う時の金利のように、株券を借りて売るその株券の借り賃が貸株料です。
売った約定代金に対して年率(%)であらわされます。

証券会社別の金利(日歩)・貸株料一覧はこちら⇒信用取引[制度信用]各証券会社概要


品貸料(逆日歩)
証券会社には投資家が信用取引で買った未決済の株券があり、 その株券をまた違う投資家に貸して空売りしますが、株券が足りなくなる事があります。
文面では「証券会社の貸株残高(売建)が融資残高(買建)を上回った場合」といいますが、その場合証券会社は 足りない株数を入札形式で他証券会社や生損保会社の機関投資家等から調達します。
その時の入札で決まった調達費用を品貸料(逆日歩)といいます。
品貸料は毎日公表され、経済新聞や証券取引所ホームページ等でも見ることが出来ます。
自分が信用取引を行っている銘柄が足りなくなっていなかったら必要ないのですが、足りなくなったら(逆日歩がついた 銘柄になったら)その銘柄を信用売りをしている全ての人が支払わなければなりません。
また、貸株料と違うところは、逆日歩がついた銘柄を信用取引で買う人がその逆日歩を受け取れるということです。
ただ、毎日公表される逆日歩をみるとゼロ(0%)も多いです。


売買手数料
普通の株の取引と同じく、信用取引でも証券会社へ手数料を払わなければなりません。
ただ、普通の株取引と信用取引では同じ証券会社内でも手数料が違います。商品が違えば手数料も違うのです。

各証券会社の信用取引の手数料一覧はこちら⇒証券会社手数料比較(信用取引)

信用管理費 =1ヵ月ごとに1単元につき105円(ただし1銘柄につき最高1050円)という ところがほとんどです。
毎月(売り・買いどちらでも建玉が30日を超えるごとに)、管理料はかかります。


名義書換料
買いの建玉を持っている状態で、 権利確定日を越えた場合(その銘柄が決算や中間決算を越えた時、その他株式分割等の権利割当時 なども)必要になります。
1単元につき52.5円というところがほとんどです。

(1単元52.5円とした計算例)建玉数×52.5円÷当該銘柄の単元数=名義書換料
権利落ち日に確定します。




・取扱銘柄

上場している銘柄のうち、証券取引所が定める「制度信用取引基準」を満たしている銘柄になります。
取扱市場は各証券会社によって違います。



・返済期限(期日)

制度信用取引の返済期限は6ヵ月と決められています。
6ヵ月以内に下記の返済方法で返済しなければなりません。
6ヵ月以内に返済出来ない場合は強制的に決済されます。(不足の場合は現金支払いも要求されます)。
ただ、例えば信用取引している銘柄が上場廃止に陥る時は6ヵ月以内ではなくその銘柄の最終売買日までに決済しなけれ ばならない等例外の規則もありますので、各証券会社ホームページ等で確認して下さい。




返済方法(反対売買・現引・現渡)

反対売買
信用買いしていた銘柄を買った数分売る、または空売りしていた銘柄をその数分買い戻すことで決済します。
元の状態に戻す(元の所有していた状態に戻す)ということです。
反対売買の決済は売買の差額で行われるので、単純に言えば10万円で信用買いした銘柄を売ったら 12万円で売れたなら2万円受け取れます。
10万円で空売りした銘柄を8万円で買い戻したなら2万円受け取れます。
逆に10万円で信用買いした銘柄を8万円でしか売れなかったら2万円支払わなければならないし、10万円で 空売りした銘柄を12万円で買い戻したなら2万円支払わなければなりません。





現引
品受ともいい、買い方の返済方法です。
反対売買を行わないで、信用買いした時に借りたお金を現金で証券会社に入金することで決済することが出来ます。 現引することで、信用買いした銘柄をそのまま自分の株として(建玉ではなく返済の必要 のない現物株式として)保有することが出来ます。


現渡
品渡ともいい、売り方の返済方法です。 反対売買を行わないで、空売りした時に借りた株券を手持ちの株券で返済し、売却代金を受け取るものです。




・株主優待

ありません。
株主優待は基本的に現物取引が対象になります。

ただ、現物取引と信用取引を組み合わ せることによって、株価の変動リスクを避けて株主優待をゲットすることもは出来ます。
株主優待の権利付最終日に寄付き(その日の最初の証券取引所の売買)で、同数の「現物買い」と「信 用売り」の注文を同時に出します。
そして、株主優待の権利が確定したら、信用取引の売りを買った現物の「品渡し」で決済します。
この取引を行うと、決算期を越えて『現物』を保有していますから、当然株主優待の権利を手に入れるこ とができます。
また、売りと同じコストで買った株券を渡すわけですから、株価の変動リスクはありませ ん。(株主優待目的の際、各企業の決めた株数、例えば10株なら○○10個・30株なら△△10個などの 優待情報を確認して下さい。株数によって優待が違う場合があります。)
ただこの時、逆日歩が発生すると損してしまうので、「信用残高」等で株不足が発生しそうかどうか見る必要が あります。
信用取引の売りは株券を借りて売るので、株不足が発生すると逆日歩を支払わなければならないことは 上で説明した通りです。(逆に逆日歩がついた銘柄を買うと逆日歩をもらえます)。





・配当金

信用取引では「配当金」という名目ではありませんが、買い建玉を権利日をまたいで保有していた場合は配当金相応額が もらえます。
逆に権利日をまたいで空売りの建玉を保有していたら配当金相応額を支払わなければなりません。

備考:普通の現物株取引では権利確定日を過ぎると権利がなくなった分株価が下がりますよね。
その変わり配当金をもらえるので、金銭的には補えるのです。
本来の株取引なら株価が下がると分かっていても権利が欲しければ売らずに保有しておくしかなく、権利が確定したから 売りたいと思っても株価が下がってしまうのですぐに売るのも嫌ですよね。
それが信用取引なら確定日前の株価が高めの時に(株券を持っていなくても)売ることも出来ます。
その不公平な部分を調節する意味で信用取引でも権利確定日をまたいで保有している人には配当金相応額がもらえる ようになっているのです。
逆に確定日をまたいで空売りの建玉を保有している人は確定日前の株価が高めの時に株券 を売りに入っているので株価の上下で言っても高く売れているので、不公平を調整するためにも配当金相応額をその 時信用買いした相手方に支払うことになっているのです。




・税金

反対売買をした際の売買差損益、現渡した際の売買差損益 に対して課税されます。
譲渡益については譲渡益の15%(所得税)+5%(地方税)
損益については確定申告をすることで譲渡損失の3年間繰越制度を利用出来ます。 (株式売買で発生する税金についての中段でふれています。)
特定口座なら証券会社が計算をしてくれますので、詳しくは各証券会社で確認してください。



信用取引は大きな利益を得る可能性がある反面大きな損失を被る危険を併せ持つ取引です。
信用取引を行う際は仕組みやルール・リスクを確実に理解し、自分の責任のとれる資産内で、 自分の投資経験を過剰に判断せず慎重に行わなければなりません。

信用取引でももちろんインサイダー取引は禁止されています。
その他、 二階建て取引(委託保証金を代用有価証券で入れた場合、その代用有価証券と同じ銘柄を信用取引で買うこと)も 各証券会社は禁止しています。









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