読んでおきたい定番の麻雀戦術本

麻雀もっと上達したい!という御仁も多いと思うので、歴史的な部分も含めて代表的な麻雀戦術書をご紹介しましょう。

ただインターネットの時代になってネット上にも多くの麻雀入門サイト、戦術サイトが登場し無料で読めることになっています。お金を出して買う前に例えば「ネット麻雀戦術書 ビギナーズラック」などを読んでもいいでしょう。

けどプロの書いた戦術本のほうが良い感じではないのか?

プロ雀士はあくまでプレイヤーとしての腕があるわけであって、それを多くの人に伝える技術があるのかといえば別問題でもあります。優秀なプレイヤーが必ずしも名監督でないのと同じように。

ネットで公開されているものでも玉石混交ですし、プロと呼ばれる人が書いたものも同じでしょう。良い本もあれば、ちょっとどうかという内容のものもあると言わざるをえません。

特に一昔前の有名プロの戦術書の中には、オカルトばりばりで運やツキを操る、いわゆる精神論的なものも多かったのが事実です。さすがに今の時代にはそぐわない内容です。

くわえて、書いてあることが正しいか間違っているのかは、誰も検証してこなかった経緯があります。「おれはこの方法で勝負に勝ってきた!」という、なんの証拠もない本人の証言に基づいた感覚が商業的に成立していたので、あまり問題にならなかったという過去があります。

どのジャンルの本にも言えますが、人々は「本になるぐらいだから正しい」「本を書くぐらい有名人だから正しい」みたいな勘違いはよくある話です。本に書かれていることに間違いがあるのは当たり前ですし、本が出るかどうかは「儲かるか?儲からないか?」という問題なので、内容の正しさとは別問題です。

特に麻雀というマイナーなジャンルでは、多くの間違いが見過ごされてきたり、オレ流の麻雀戦術書が溢れていたという歴史みたいなものがございます。

麻雀関連の本って年に何冊ぐらいでてるんだ?

聞くところによると漫画ではない麻雀本は、そんなに売れないジャンルで、数千部程度の小さいマーケットになるらしい。出版社でいえば「毎日コミュニケーションズ」が、新鋭・ベテランプロに書いてもらって年に10冊以上の本を出している。ただしベテランプロ、特に男性プロは一般人に知名度があるのかといえば微妙になるし、麻雀を本を読んでまで強くなりたいと思う人がそもそも少ない。なので出版部数も低いらしい。

他にも麻雀漫画で有名な竹書房が漫画以外の戦術書をたまに出したり、入門書関係では小さな出版社から井出洋介さんなどの名前で本を出しているという現状。お世辞にいっても、活字の麻雀本は入門・戦術を含めてさほど大きなマーケットではないと言えるのではないだろうか。

科学する麻雀

そんな中で2004年に発売されたとつげき東北氏の「科学する麻雀」は白眉と言わざるをえないでしょう。これまで本人の経験による戦術から、ネット麻雀の数万回におよぶデータを「統計学」というアプローチで処理し、発表したという麻雀の歴史に残る本の1つでしょう。発売された当時はけっこう賛否両論でした。

もともとはネットで公開されてたものを、出版社が目をつけて、発売になったんだよな?

そういう意味ではネットから作家デビューというインターネット黎明期の成功事例としても考えられる。統計学の知識がないと書けない内容になるし、従来のプロが書いていたものとは明らかに異質な書籍といえる。この本によって古くから「定石」「当たり前」と思われていた麻雀の戦術が、統計的に見ると否定されたりもしている。

初心者が読んでも面白いものなの?

「戦術書」と「入門書」は別物なので、科学する麻雀は別にルールを覚えるためのものではありません。最低限のルールを知ってから読んでいくのが良いでしょう。このサイトの1/3ぐらい理解していればいいんじゃないでしょうか。

とつげき東北氏は元々ホームページやっているようなネット人なので、当サイトの「とつげき東北インタビュー」をはじめ、今でも多くの読み物をネット上で読むことができます。

講談社現代新書というわりとブランドのある教養書の中の1つとして「麻雀戦術書」が出版されたのも、非常に大きな功績といえるのではないでしょうか。

おしえて!科学する麻雀

科学する麻雀の続編ともいえるのが、こちらの「おしえて!科学する麻雀」になる。著者はとつげき東北氏だが、編集に麻雀ライターの福地誠氏が参加しているのが特徴。科学する麻雀への批判として「読みにくい」というのがありました。これはプログラミングのソースコードや数式が登場するので、その部分は知識がないとさっぱりわからない、という批判です。

なるほど。そういった複雑な部分を、麻雀ライターの福地が入ることで、一般の人にもより受け入れられるようにしたという感じか。

まさにそのとおりです。文章そのものもジョークめいた表現も多くなったので、よりライトな感じなりました。もともと、ネットでのとつげき東北氏はギャグなどにも饒舌なので、本来の姿かもしれません。教養書の講談社現代新書になったので、どうしても堅くなってしまった文章を、もう少し軽くしたという話です。

科学する麻雀は賛否両論のあった本です。福地氏のアイデアだとおもいますが、最後のほうに、有名麻雀プロや女流プロ、関係者に本の意見を聞いて一覧として載せているので、これが面白いです。非常に的確な指摘もあれば、失笑もののトンチンカンな批判も掲載されているので見てみるといいでしょう。

以前は「超入門!科学する麻雀」のタイトルで発売されていたものが「おしえて!科学する麻雀」に変わっているので、基本的に同じ内容だと思って間違いないです。コレクターでない場合は、入手しやすい「おしえて!」のほうがいいでしょう。

超攻撃麻雀ヒサトノートと最強デジタル麻雀

ここ最近、といっても10年間ぐらいで数多くの戦術本が発売されましたが、その中でも麻雀本としてはヒットした2冊、わりと評判が良かった2冊がこれです。1つが日本プロ麻雀協会の小倉孝氏の『最強デジタル麻雀』もう1つが、日本プロ麻雀連盟の佐々木寿人氏の「超攻撃的麻雀ヒサトノート」です。

どちらにも共通するのは、若手の麻雀プロが書いてヒットしたという感じか。ふたりともどういう経歴の人なの?

小倉氏はもともとネット麻雀で腕をあげて麻雀プロになりました。ツキや流れを考慮しない「デジタル雀士」の先駆けではないですが、本当の意味でデジタル打法のみで育った純粋デジタル雀士みたいな感じでしょうか。人間はマシンのようにはいかないので、どこかで折り合いをつけた打法で好成績を残して注目を浴びました。プロ雀士のかたわら、プロのポーカープレイヤーとしての実績もあり海外のポーカーサイトで名前を見ることができます。

佐々木寿人氏は「フリー雀荘で1000万円ためた男」のキャッチコピーが有名で、漫画のモデルなどにもなりました。歌舞伎町などの雀荘を練り歩いて勝ってきたというアウトロー的なキャラクターもヒットの要因でしょう。ネット麻雀とは対極にある祝儀麻雀でいかにお金を残すのか? 高い点数を狙う打撃系と呼ばれる雀風が特徴でしょう。

本当に雀荘で1000万も稼いだの?

これに関しては諸説ありますが、雀荘で働いた分の給料も入ってるみたいな話が…。どちらにしろアウトローな雰囲気から、クリーナなイメージが求められるプロ雀士になってからはこの「1000万円」のキャッチコピーも見かけなくなりました。いろいろ事情があるんでしょう。福地氏が当サイトの人生相談でも触れていますのでご覧になってはいかがか。『佐々木寿人をやっつけたい。どうしたらいいですか?

無敗の手順とAクラス麻雀

少しニュアンスが変わりますが「定番」という意味では、この大御所の二冊も定番といえるかもしれません。雀鬼こと桜井章一氏が実際に打った牌譜を自分で解説するという本で、クラシカルな書籍、麻雀の古典みたいな感じで抑えておくのもいいかもしれません。表現力のある人なので本としても面白いです。

桜井氏は実際のところ強いの?20年間も無敗なの?

メディアによって脚色された部分や、にわかに信じがたい部分もあるとは思いますが、麻雀の腕も強いでしょう。手積みの麻雀でやれば桜井氏の技術があれば、たぶん勝てる人は限られてくるでしょうし。この本では、そういう裏技術以外の部分での桜井氏の打ち方に触れているので読んでみてはいかがでしょうか。

もう1つ、大御所である阿佐田哲也氏が書いた「Aクラス麻雀」も歴史的に見て麻雀戦術書の定番といってもいいでしょう。運のやりとりなど若い世代には確かに受け入れ難い記述も多いですが、時代だと割りきって読めば、それ以外は、やはり表現力のある人なので、内容としては面白いです。

これが初の戦術書なの? この本以前は麻雀本がなかったの?

世界初とまでは言い切れないでしょうが、時代的に阿佐田さんの頃は麻雀がもっと「博打」の世界で、戦術もなにもあったようなものではなかったのです。サイコロ博打と同レベルだったのを、論理的に考え方を示したという点で非常に時代の最先端、デジタルなものだったのではないでしょうか。時代を考えれば現代において戦術として否定される部分も多いでしょうが、わりきって読むと非常に味わい深いものでしょう。

麻雀戦術本に関するリンク

書いている人の好き嫌いもあるでしょうし、あまりレビューしている人も少ないのですが、関連のリンクを集めてみます。


マイナビ(毎日コミュニケーションズ)

麻雀関連の書籍を多数発行している出版社。特に若手から中堅の麻雀プロによる戦術本が数多く出されているのが特徴。


竹書房

麻雀漫画で有名な竹書房のページ。漫画以外にも戦術書がたまに出版される。漫画をベースにした本や雑誌に連載されたものをまとめたものなど。


麻雀本を斬る!麻雀ゲームを斬る!!

新しく発売された麻雀本などのレビューや2chでの評判などをまとめている。麻雀本に多い誤植の指摘なども行なっている。

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