あがり方に付く符

符計算を構成する3つのパートのうち、最後の1つを紹介しよう。

これは「ロンかツモであがるか?」と「ポンやチーをしていない門前(メンゼン)か、ポンやチーをしてしまったか?」の要素で決まる。

簡単に表にしてしまいましょう。

門前(メンゼン) 鳴き(ポン・チー・明カン)
ツモ 2符
ロン 10符 0符

ツモの場合は門前(メンゼン)でも、ポン・チーしても一律で2符が付きます。ロンの場合は門前の場合だけ10符がつきます。

非常に単純明快じゃな。深く考える必要はない。これをとっとと覚えてしまうだけなんで、さっさと次へ行こうか…。

ちょっと待てよ。これおかしいだろ。今までさんざん『難しいほうが符が高くなる。簡単なものは符がもらえない』って言ってたじゃねえか? それと辻褄が合ってねえだろ。

そう言われたらそうよね。難易度の差でいえば相手3人からできる「ロン」より、自分で引かなければいけない「ツモ」のほうが難易度が高いわよね。ツモのほうが符が高くないとおかしいんじゃないの?

相手から牌をもらわない「門前」の状態のほうが、鳴いた状態より難しいのはわかるのですが、なんでツモとロンでこんな差が出てるんです?

むむむ…。けっこう痛いところを突くなぁ。現行のルールがこうなっている以上は、これで覚えるしかないんじゃが、こうなってしまった理由を説明しよう。雑学なんで別に聞きたくない人は飛ばしてもええよ。

確かに皆が言ったように難易度の差を単純に考慮すると

【難しい】 ツモ > ロン 【簡単】

【難しい】 門前状態 > 鳴いた状態 【簡単】

こういう難易度の差になるのは間違いない。本来ならば、この難易度にそって符を割り当てるのが正解じゃと思う。

そうなるわよね…。上の表は難易度とあってない感じがするわよね。

歴史的な経緯をたどると、明治の頃に入ってきた麻雀は様々なルール改変が全国各地で行われて、本当にバラバラだったんじゃよ。そこで当時の主要な麻雀団体の代表が集まってルールを統一する会議を開催した。これは戦前の話になるが、この会議で我々が今、打っている麻雀の土台となるルールが統一されたんじゃ。

1929年の4月に行われた会議で通称「レインボー会議」と呼ばれています。東京駅前のお店「レインボー」に集まったことからこの名称がつきました。wikipediaにも項目があります。当時の麻雀界を牛耳る代表者(笑)が集まりました。

参考:レインボー会議(wikipedia)

この会議で決定したルールで重要なことが2つある。

まず門前清自摸和(メンゼンチンツモホウ)という1飜の役が決まった。これはポン・チー・明カンしない状態で、ツモあがりした場合に付く役じゃな。ここを読んでいるみんなはもう知っていると思う。今の麻雀役にもある、いわゆる門前自摸(メンゼンツモ)じゃな。

それから似たような役で、門前ロン(メンゼンロン)も1飜の役として認めたらどうか? という話になったんじゃ。ポン・チーしない状態でのロンでのあがりじゃな。しかし、それで1飜はさすがに簡単すぎねえ?って話で、こちらは役にはならず却下されたんじゃな。

うーん、なるほどな。なんとなく原因が見えてきたぞ。

するどい人なら気がつくかもしれん。

まず、本来、符が一番高くなるはずの門前状態でのツモじゃが、これが2符しかつかない理由。それは、すでに門前清自摸和(メンゼンチンツモホウ)という1飜の役に格上げされているので、符計算の段階で大きな符を割り当てると、二重に得点が加算されることになる。だから2符になっているんじゃな。

だからといって0符でまったくつかないのもバランスが悪いので、ツモは鳴いても門前でも一律で2符に統一したというわけじゃな。

門前でのロンが10符って大きな符がつく理由は?

レインボー会議での話し合いで門前ロン(メンゼンロン)も1飜の役として認めてはどうか? となったが却下されたのは先に言ったとおり。

だからといって、1飜の役にするほどではないが、それなりに難易度が高いのも事実じゃよな。そこで、符計算の段階で10符というわりと大きな符を与えることで、役にするほどではないが、それなりに点数に影響与えるものとして扱ったわけじゃよ。

こういう経緯があって、このような配分になっとる。

門前(メンゼン) 鳴き(ポン・チー・明カン)
ツモ 2符
ロン 10符 0符

いきなりこの表を見せられると「なんで?」ってなるのは自然なことじゃと思う。歴史的な経緯を見ると、少しは納得できるかもしれん。門前でのロンが10符と一番高くなっているのは、1飜の役になりそこねた名残なんじゃな。

最難関の門前でのツモが2符しか付かないのも、すでに「メンゼンツモ」という1飜の役が成立しているからなんじゃよ。

そういったことを踏まえて、例題3を考えてみよう。

例3    ロン  (カン)

えーと(カン)が16符だったわよね。牌の構成の部分はこれだけ。順子はなにもつかないんだったわよね。

カンチャン待ちなんで2符がつきますよね

今、やった門前でのロンなんで10符か。役になりそこねたやつだから高いんだよな。

16符+2符+10符 これに基本点の20符を足して48符ですね。

1の位はすべて切り上げるので50符になる。四捨五入とかではなく、2符でも1の位にあれば、すべて切り上げるので間違えないように。

ともかく、この例3は50符であることが確定したわけじゃよ。これが符計算と呼ばれるものじゃな。符が確定すれば、次に進もう。





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