Early Music Festival in Fukuoka 2008

第10回記念福岡古楽音楽祭
2008年9月10日〜15日

バッハ = 魂のエヴァンゲリスト
J.S.Bach = Evangelist der Seele vol.2

音楽監督:有田正広
特別音楽監督:シギスヴァルト・クイケン

インターネット・アルバム

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9月12日(金)
9月13日(土)
9月14日(日)
9月15日
(月祝)

福岡古楽音楽祭に初めて勢揃いしたクイケン3兄弟

  
左よりヴィーラント、シギスヴァルト、バルトルドのクイケン3兄弟

 念願のクイケン3兄弟を、今回初めてそろって福岡古楽音楽祭にお迎えすることができました。ご承知のように、ベルギー出身のクイケン3兄弟は若い頃それぞれ独力でガンバ、ヴァイオリン、フルートにおける古楽奏法を開拓しました。グスタフ・レオンハルトやフランス・ブリュッヘン等と協力して、古楽の黎明期から数々の名演奏、名盤を残し、現在も第一線で活躍を続ける、まさに古楽界の至宝とも言うべき存在です。なかでも、音楽祭には初登場のシギスバルト氏はヴァイオリンだけでなく、ラ・プティット・バンドの指揮者として、長年精力的に世界の古楽界をリードし続け、独自の境地を切り拓いて来ました。
 また演奏者としてだけでなく、教育者としていずれも高い見識と、豊かな包容力を持ち、深い尊敬をもって慕われている方々です。特に日本の古楽奏者との合同による、2晩にわたるグランドコンサートでのJ.S.バッハの「ブランデンブルク協奏曲・管弦楽組曲全曲演奏会」が、今回の音楽祭のハイライトです。

日欧の古楽奏者がお互いの経験を合わせて、
   福岡の地で創り上げる音楽は、祝いの宴になるでしょう

シギスヴァルト・クイケン(特別音楽監督)
 
Sigiswald Kuijken (Exclusive Musical Director)

 第10回記念福岡古楽音楽祭にあたって、私が日本・ヨーロッパ合同のバロック奏者達の指揮を務めることになったことを、たいへん光栄に思っています。

 長年にわたり私と兄弟たちは、2世代に近い日本人のバロック奏者達と特別な関係を築き、またそのことによって経験を積んできました。他の国々から来る多くの若い人々と同様、古楽を学ぶ日本人学生達が、ハーグ音楽院やブリュッセル音楽院で私達のレッスンを受けるようになって30年以上が過ぎましたが、彼らはこの音楽と私達(やその他の人々)が示した演奏法に深く精通してきました。その中には、この種の音楽演奏の真髄を表現できる技量を持ち、非常に重要な代表的存在になって、今では国内的にも国際的にも大きな成功をおさめている人達もたくさんおり、そのような人々を見るのは、私達の誇りであり幸せでもあります。今回私達がお互いの経験を合わせて、この福岡の地で共に創り上げる音楽は祝いの宴になるでしょう。

 アイデアは人間が創造するものです。それはある日子供のように生まれ、成長し、自立に向かって発展してゆきます。それでもその中には最初のルーツの部分がひそかに存在していて、個々の進化の中にも響き続け、子孫は再びあらたなルーツとなって続いていきます。これは過去の時代から生まれ、大きな来るべき世代に向けて発展してゆく、人間のエネルギーと創造の永遠の連鎖なのです。

 このことを認識したとき、私たちは謙虚で幸福になることができるでしょう。私達は「全体」の中の「個人」です!他のどの芸術にも優って、音楽はことばを使うことなく、「全体」とその「源」 ・・・ すべての不協和音とその解決を含み、いつまでも終わることのない「ハーモニ−」を語ることができるのです。   (2008年7月7日)

  元気です!福岡古楽音楽祭

中里 隆(18世紀音楽祭協会会長)

 今年は福岡古楽音楽祭が第10回目、18世紀音楽祭協会が設立して20周年ということで、協会では年の初めからプレイベントや記念誌の発行など、盛りだくさんの記念行事を実施してきました。その締めくくりがこの音楽祭です。今回はシギスヴァルト・クイケンさんに特別音楽監督を務めていただき、彼が率いるラ・プティット・バンドの主要メンバーと、いつもおなじみの日本の古楽演奏家たちとが合同で、J.S.バッハのみのプログラムによる演奏会を企画いたしました。また会期を6日間に延長して、「円形ホールフェア」など、無料でお楽しみいただけるイベントも沢山用意いたしました。

 実は、この音楽祭を目前にした去る9月4日に、福岡県から18世紀音楽祭協会の活動に対して、第16回福岡県文化賞(社会部門)をいただきました。また第10回に対する「ご祝儀」という意味もあるのでしょうか、文化庁が管轄する日本芸術文化振興基金をはじめとして、例年にない数の助成金をこの音楽祭に対して賜り、それによって記念事業をスムーズに遂行することができました。

 18世紀音楽祭協会は、今も昔も素人が運営する小さな任意団体です。それが今回のような大それた国際音楽祭まで開催することができましたのは、ボランティア、協会会員の方々、古楽が好きで好きでたまらないという全国の古楽ファンの方々、それに有田さんをはじめとする内外の古楽奏者のご協力とご支援の賜です。こういう形式で音楽祭を運営する最大のメリットは「理念を曲げずにやりたい音楽だけをやっていく」ということではないでしょうか。とにかくがむしゃらに「古楽」一筋、可能な限り音楽の質を落とさないことをモットーにやってきました。今回の受賞は、こういう形のボランティアによる文化活動の意義を社会的に評価していただいたものと考え、音楽祭に参加された皆様とともに喜びたいと存じます。

 世界的に見ても、現在クラシック音楽全体が厳しい状況にあり、あまり景気のいい話が聞けない中にあって、小さいながら福岡古楽音楽祭はなぜか伸び続けています。第1回福岡古楽音楽祭を始めたとき、私たちはそのチラシで「新たなる音楽への旅立ち!今、福岡から」という宣言をいたしました。その意気込みを今後も持ち続けたいものです。福岡古楽音楽祭は元気です!

 3世代にわたるお付き合い

       有田正広(音楽監督)

 早いもので、僕が18世紀音楽祭協会の方々とおつきあいするようになって20年、福岡古楽音楽祭を始めてもう10年がたったわけですね。その間に地元の非常に多くの人たちから、たいへん暖かいご協力をいただきました。福岡古楽音楽祭がここまで発展したことに心から感謝の意を表するとともに、参加者全員で10回目の音楽祭をお祝いし、おおいに楽しみたいと思います。僕自身の音楽上のキャリアの中でも、福岡でのさまざまな体験はたいへん貴重で大きな意味を持っています。

 今回の音楽祭では、ヨーロッパからヴィーラント、シギスヴァルト、バルトルドのクイケン3兄弟を中心としたラ・プティット・バンドの人たちをお招きし、バッハ・フェスティバルといたしました。上記のシギスヴァルトのメッセージに「私と兄弟たちは、2世代に近い日本人のバロック奏者達と特別な関係を築き・・・」とありますが、僕らの世代が彼らから教えを受けた第1世代だと考えると、現在中堅として日本の古楽を支えている人たちが第2世代ということになるのでしょうか。ところが実際には、現在もデン・ハーグやブリュッセルの音楽院には多くの日本人が留学しており、彼ら第3世代の人たちも、そのうちに日本の古楽を担うようになるでしょう。そのように考えると、現在の日本の高い古楽の水準を支えている一つの大きな要因は、クイケン兄弟らの尽力にあるといっても過言ではないでしょう。

 今回の音楽祭のハイライトは、2夜にわたるグランドコンサート「J.S.バッハ/ブランデンブルク協奏曲・管弦楽組曲全曲演奏会」です。いずれもCDなどではおなじみの曲ですが、楽器編成が1曲ごとに複雑多様な曲の集まりなので、演奏会でこのような曲がまとめて取り上げられるのは珍しいことです。しかも、ヨーロッパと日本の古楽奏者がほぼ同数で、新旧世代が入れ混じって演奏します。シギスヴァルトが言うように、そういったメンバーが福岡にはじめて集まり、お互いにそれまでの経験を生かしながら、心を一つにして合同演奏するところに、この演奏会の大きな意義があるように思います。第10回を記念するにふさわしい緊張感あふれるコンサートになること期待しています。