第12回福岡古楽音楽祭
2010年9月23日〜26日
音楽監督:有田正広 特別出演:エンリコ・オノフリ

インターネット・アルバムを公開しています。

福岡古楽音楽祭のポストイベント
テアトルム・アフェクトゥム演奏会
2010年 11月 6日 西南コミュニティセンター
「弦楽器の祭典」

有田正広(音楽監督)

 今年の福岡古楽音楽祭では、昨年の「管楽器」に続いて、「弦楽器」を採り上げました。バロック時代以降の西洋古典音楽の主役は、なんと言ってもヴァイオリンです。しかし、中世・ルネサンス時代の音楽の主役は声楽でした。歌を伴わない「器楽」が、演奏会のプログラムのメインディッシュになり得たのは、ヴァイオリンが誕生して以後のことです。

 ヴァイオリンの楽器としての最大の特徴は、表現力豊かによく歌うことでしょう。微弱音からフォルテまで、自在で柔軟な音量の変化を付けて、人の声にも似たなめらかで艶やかなメロディを奏でることができます。それと同時に人の声ではとうてい真似のできない急速で歯切れの良いパッセージを刻むこともできます。ヴァイオリンが歌の国イタリアで生まれ育ったのは当然のことだったのかもしれません。

 クレモナのヴァイオリン造りの始祖はアンドレア・アマティ(1505-1577頃)で、今日のヴァイオリンの原型は、その孫であるニコロ・アマティ(1596-1684)の時代にほぼ完成したようです。その手法はアントニオ・ストラディヴァリ(1644-1737)やグァルネリ・デル・ジェス(1698-1744)などに受け継がれて、多くの伝説的な名器を生みました。また、イタリアではコレッリ、タルティーニ、ヴィヴァルディといった名手がそれらのヴァイオリンを華やかに演奏すると同時に、ヴァイオリン属の楽器を中心とした協奏曲やソナタの名曲を数多く書き残しました。

 今回の音楽祭では、ヴァイオリンの国イタリアからエンリコ・オノフリ氏とその仲間たちを招き、日本人の演奏家を交えて、3回のコンサートを企画しました。そのプログラムはオノフリ氏にお任せしましたが、初期バロックからヴィヴァルディまで、約100年間のイタリアのヴァイオリン音楽の楽しさを様々な形で味わうことができるでしょう。これまで福岡古楽音楽祭は、主に北方のオランダやベルギーで学んだ古楽奏者の演奏が中心でしたが、南国イタリアの開放的な情熱を持ったオノフリ氏の音楽は、これまでとはひと味違った新鮮さを持つものと期待しています。

 それに対して、最終日の寺神戸亮・鈴木秀美さんたちのバッハを中心としたコンサートは、おなじみのオランダ・ベルギー系の古楽です。オノフリ氏とどのような対照を見せるか、多いに興味があるところですね。また、初日の佐藤豊彦・福沢 宏・山岡重治さんらによる演奏会は、イタリアにヴァイオリン音楽が興る前の時代のスペインやイギリスの器楽音楽です。これもまた他のコンサートとは違った雰囲気を持つ面白い音楽会となることでしょう。

・・ オノフリ氏からのメッセージ

 今度の福岡古楽音楽祭に参加できますことを、たいへん嬉しく光栄に存じます。福岡市は日本の南部にある素晴らしい町だと聞いており、その地を訪問できることに私はたいへんエキサイトしています。これまで何度か日本を訪れましたが、福岡は初めてです。皆様方にお会いし、演奏することを待望しています!日本の優れた音楽家達といっしょに音楽を作り上げながら、きっと非常に楽しい時を過ごせるものと期待しています。

エンリコ・オノフリ(原文英語)

(写真はエンリコ・オノフリ (C)NICHION,INC.)

アクロス福岡「ミュージック☆ファクトリー」
フルート・デュットの愉しみ
出演:有田正広・前田りり子(バロックフルート)
9月22日(水) 12:30-13:00

アクロス福岡1階 コミュニケーションエリア

M.ブラヴェ 組曲 ホ短調 より分
  Prelude - Air des Nimphes dans Zelindor - Air dans Castor et Pollux
G.P.テレマン ファンタジー 7番 ニ長調
  Alla Francese - Presto
M.ブラヴェ&J.J.クヴァンツ
  Allemande - Menuet
M.ブラヴェ 組曲 ホ短調 より
  Petit Duo Leger - Gavtte en Rondeau dans Zoroastre - La Touriere

「ミュージック☆ファクトリー」というのは、月に1回アクロス福岡のコミュニケーションエリアで、九州大学芦川研究室の学生さんたちがプロデュースして開催されているシーリズの無料コンサートです。音楽祭が開始する前日に、有田正広・前田りり子氏によるデュオコンサートを開きました

青少年のための「東京国際バロックセミナー」

場所 国立オリンピック記念青少年センター カルチャー棟 小ホール

パート1 エンリコ・オノフリ・・・イタリアンバロックの精華
 2010年9月20日(月祝)
お話:中野重夫 「イタリアのバロック音楽」
演奏曲目 A.ヴィヴァルディ:「調和の霊感」より Op.3-11 合奏協奏曲 ニ短調演奏者:エンリコ・オノフリ、杉田せつ子、竹嶋祐子、小野萬里、大内山薫、上野三科、森田芳子(vn)
  成田 寛、深沢美奈(va)、アレッサンドロ・パルメリ、懸田貴嗣、西澤央子(vc)
  諸岡典経(cb)、リッカルド・ドーニ(cm)、高本一郎(theo)、功刀貴子(fg)

パート2 バロック鍵盤楽器を聴こう!触ろう! チェンバロとポジティフオルガン体験
 2010年9月21日(火)講師山川節子
演奏曲目/
J.P.スウェーリンク:我が若き命は終わりぬ
J.S.バッハ:プレリュードとフーガ in C  BWV553ほか
コンサート終了後、質疑応答、楽器試弾。

7月に行われた2010年ベルギー古楽特別セミナーの様子をこちらにレポートしています。