2002

インターネットアルバム
下の表をクリックするとそれぞれの行事の写真をご覧になれます。
(写真撮影:蘇馬外二良・梅野 健氏)

日時

午 前

午 後

午 後

9月20日

にぎわいプラザ
コンサート

オープニング
グロリア!
ヴィヴァルディ

9月21日

古楽セミナー

古楽セミナー

古楽講演会
1及び2

ダン・ラウリン
リサイタル

9月22日

古楽セミナー

古楽コンサート
第1部

フランスバロックの室内楽

交歓会

9月23日

古楽コンサート
第2部

フランスバロック
イタリアの影響を受けたヴィルトォーゾ

フォンス・
ムジケ演奏会

外国からの招聘者


ダン・ダウリン
(リコーダー)


モニック・ザネッティ
(ソプラノ)


パスカル・ベルタン
(カウンター・テナー)


フランソワ・フェルナンデス(ヴァイオリン)


ライナー・ツィッペリング
(ガンバ・チェロ)


今村泰典
(リュート)

音楽祭の「国際化」

18世紀音楽祭協会会長  中里 隆 

 今回の音楽祭には、スエーデンのD.ラウリン氏、スイスにお住いの今村泰典氏、フランスのM.ザネッティ、P.ベルタン氏、ドイツのR.ツィッペリング氏、ベルギーのF.フェルナンデス氏をお招きしています。その他、イタリア、カナダ、オランダからも楽器造りの方々がおいでになるそうで、この音楽祭もずいぶん国際的になったものです。これまで福岡にお呼びした演奏家では、今村氏の他にも、寺神戸亮、佐藤豊彦、橋本英二、北里孝浩といった方々はヨーロッパやアメリカに定住して活躍しておられますし、もっと若い世代にもそういった人たちが大勢います。音楽祭に出演している日本人の演奏家も、若い頃ヨーロッパで学んだ人が多いようです。芸術上のいろいろなジャンルの中で、「古楽」は国際化が非常に進んでいる点を、私は日頃好ましく思っていますし、日本人のレベルがとても高い分野でもあります。
 21世紀は国際化、グローバル化の時代とよく言われています。真の国際化は国という垣根を越えて、人々が同じ価値観を共有することだと思いますが、これは交通が便利になったり、インターネットやテレビジョンで情報を共有したりする程度で、簡単に実現できるものでもありません。ヨーロッパ社会は、早い時期から繰り返しの戦乱を経て「国際化」が進み、共通の文明を築き上げたかのように見えますが、人間の遺伝子に書き込まれた情報はそんなに簡単に書き換えられるものでもなく、今でもそれぞれの国や地方は独自の文化を持っています。
 しかし、新しい文化は異質の文化がぶつかり合うところから生まれることが多いものです。いつの時代にも、もっともアクティブな都市は常に国際的な性格を持っていました。「古楽」という共通の言語で語り合うこの音楽祭も、回を重ねて、ささやかながら「国際化」が少し進んだことを嬉しく思っています。

バロック様式の豊かさと多様性

音楽監督・フルーティスト 有田正広  

 第4回福岡古楽音楽祭に、全国から参加していただいた方々、また音楽祭の開催にあたって、ご支援をいただいた地元の賛助者、ボランティアの方々にまず、厚く御礼を申し上げます。
 音楽祭のプログラムの表紙にいつも使われているカラヴァッジョは17世紀の初め、イタリアでバロック絵画を創始した画家の一人です。バロック絵画の特徴は、強い陰影のもとで、人間の感情や情念をそれまでになく強く、露わに描き出した点にあります。バロック様式が本質的に内包する豊かな人間性の表出は、音楽の世界にもそれまでにない新しい表現と可能性をもたらしました。
 バロック音楽も美術と同様に最初イタリアで生まれましたが、フランスに伝わると、ヴェルサイユ宮殿を中心に独自の華麗な様式に昇華します。当時のヨーロッパでは、教会や貴族社会にはすでに緊密なネットワークが形成されていましたので、バロック後期のバッハやテレマンやヘンデルの音楽は「汎ヨーロッパ的」な国際性を持つに至りますが、イタリアとフランスのバロック様式がその基礎になっているのは明らかです。
 バロック時代のヨーロッパは、貴族社会という限定された世界ではありますが、ひとつの新しい芸術様式を生み出し、発展させ、さらには爛熟して、退廃に至る道程を歩んできました。同時にそれは、時代と場所を異にすると、様々なヴァリエーションを生み出しつつ成熟してゆきました。その道程は大変実り豊かなもので、バロック的な美意識は今日でも西洋人の心に深く生きています。
 「イタリアとフランス、その光と陰、〜バロックの二大様式〜」と題した今回の音楽祭において、バロック音楽の成立と発展の過程をたどります。その道程は今日の我々にとっても示唆に富んだものです。この音楽祭を通じて、薫り高いバロック芸術の豊かさと多様性を味わっていただければ幸いです。