第1回おぐに古楽音楽祭 記録

1990年10月20日・21日

ことの起こりは...

 1989年4月、「東京バッハ・モーツアルト・オーケストラ」の福岡での旗揚げ公演を主催するために「福岡18世紀音楽祭協会」が設立されました。この音楽祭が成功裏に終わり、協会世話人も大いに意気揚がっているときに、NHKから「古楽関係のフェスティバル」を開かないかという依頼があり、この盛り上がりを何とか持続できないかと思っていたところでもあり、さっそく会場の物色にかかりました。そのうち、麻生・戸畑の両世話人が小国町に響きのいい木造建築群があるのを探し出して、宮崎町長とお会いし、快諾を頂くことができました。古楽の好きなアマチュアとプロの演奏家、それに地元の方々との3者の交流を柱にした音楽祭にしようという趣旨を有田正広氏にもご理解いただいて、音楽監督をお願いしました。

 第1回おぐに古楽音楽祭はこぢんまりした催しで、20日の夕刻に有田正広・千代子氏のコンサートが家畜市場であり、そのあと木魂館で懇親会、次の日の午前中は20ほどの団体が小国町の5つの会場を巡回演奏し、午後は木魂館で合同交歓演奏をして4時頃解散というスケジュールでした。つまり、おぐに音楽祭のメインイベントは最初から「交歓演奏会」、つまり現在の古楽コンサートであったことがわかります。

有田正広コンサート
10月20日(土)PM 5:00 家畜市場
    Flauto Traverso:有田正広、Cembalo:有田千代子

J. M. オトテール“ル・ロマン”
  フルートとコンティヌオのための組曲 ト長調 作品2−3
J. S. バッハ
  オブリガード・チェンバロとフルートのためのソナタ イ長調 Bwv1032
G. Ph. テレマン
  無伴奏 フルートのためのファンタジー第12番 ト短調
M. ブラヴェ&J. J. クヴァンツ
  無伴奏 フルートのためのアルマンド(クヴァンツ)とメヌエットと変奏曲 
      ホ短調(ブラヴェ&クヴァンツ)
W. A. モーツァルト
  クラヴィーアとフルートのためのソナタ ト長調 K. 301
G. F. ヘンデル
  フルートとコンティヌオのためのソナタ ホ短調 op1−1b
M. ブラヴェ
  フルートとコンティヌオのためのソナタ ニ短調 op2−2


このコンサートは普段牛などのセリが行われている「家畜市場」の舞台を
改造して開かれました。

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交歓演奏会 出演者・出演グループ
(以下はプログラムに記載されている記録です。実際には変更があったかもしれません)

あくた・リコーダーオーケストラ  代表者:麻生 純
アンサンブル・ヌボー     代表者:埴谷寧夫
大栄幸一(フルート・トラヴェルソ)
音楽の饗宴          代表者:小川伊作
大分県立芸短古楽研究会    代表者:小川伊作
木村鐘靖(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
声楽アンサンブル「こおろぎ」  代表者:楳本光男
コーロ・ピエーノ       代表者:田中雅美
小池耕平(リコーダー)
ソリスティ・ディ・カペラ   代表者:岩川洋二
フローリー ストリラ     代表者:麻生 純
山口のアンサンブル      代表者:河本基實
ムジカ・アンティカ      代表者:松藤雅彦
ザ・リトル・コンソート    代表者:平田 剛
グループ『葦』        代表者:古井由紀子
熊本古典舞踏研究会      代表者:中川洋子
古典舞踏カムパニー‘ばく’  代表者:古賀穂南美
東京からのアンサンブル    代表者:森 洋子

------- プログラムより抜粋

 ごあいさつ
     福岡18世紀音楽祭協会
           会長 中里  隆

 この度、「おぐに古楽音楽祭」に全国よりたくさんの皆様にご参加頂き、誠にありがとうございました。
 昨年4月、有田さんが主宰する「東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ」が福岡18世紀音楽祭で旗揚げ公演を行い、大成功をおさめましたことは、記憶に新しいところです。その後も「せっかく盛り上がった新しい機運をこのまま萎ませるのは惜しい」という声があって、この協会を組織して、古楽器演奏会の主催などをしてきました。今回おこがましくも音楽祭の開催を呼びかけましたところ、多くの方々のご賛同をえて、当初の予想をはるかに越える規模の催しになりました。また、町長さんをはじめとして小国町の方々から、「古楽音楽祭」にふさわしいユニークな会場を無償でご提供頂くとともに、全面的なご協力をいただいたことも、当初に予定していなかったことで、大変嬉しく思っています。
 もともとこの協会は、自然発生的に生まれた素人の音楽愛好家の集まりですから、音楽祭の運営といっても、どのようなことになるのか心もとないところがあります。しかし、かけだしのアマチュアから専門家まで、ともかくいっしょに集まっていろいろな音楽をやってみたら、ここでも私たちが当初予想もしなかった新しい何かが生まれてくるのではないかと、呑気に構えているところです。音楽監督の有田さんは大変かもしれませんが、この2日間の音楽祭を気軽に楽しんで頂ければ幸いです。

 小国に木の音が響く
          小国町長 宮崎 暢俊

 人生にたくさんの出会いがあるように、町にもいろいろな出会いがあります。福岡18世紀音楽祭協会との出会いは、そんな中でもとりわけ素敵な出会いだと思います。
 舞台は、小国に建ち並ぶ木造群、悠木の里−小国町は、たくさんの木造施設を建設しており、それぞれでいろいろなイベントが行われています。そんなイベントからこぼれ落ちた一粒の出会いの種が芽を出し、思いがけない大きな樹へと成長してきました。
 九州各県のみならず、中国・四国地方からも、古楽器を愛する多くの人々が小国町に集まる。しかも有田正広氏を迎えての音楽祭。考えただけでもワクワクする催しです。木魂館をはじめとする5つの施設で、素晴らしい演奏が聞けるものと思います。
 また、この悠木の里の木造群が、単に演奏会場としてだけでなく、古典音楽・古楽器を通じていろいろな人達の交流の舞台となっていくものと信じています。
そして、今回の集いが、18世紀音楽祭協会とこの音楽祭の新たなるステップになっていくことを期待しています。
 この音楽祭に参加される全ての皆さん、素敵な2日間をお過ごし下さい。

 九州から古くて新しい風が ---- おぐに古楽音楽祭
                   音楽監督 有田 正広

 ここに新しい音楽祭が誕生しました。ここで聴かれる音楽はルネサンス、バロック、そしてクラシック時代の作曲家たちが知っていた楽器、つまり「古楽器」と呼ばれている、古くて新しい楽器の演奏ばかりです。
 「古楽器」あるいは「オリジナル楽器」での演奏は今や世界中が注目し、正に「新しい」音楽の在り方として定着しています。日本でも既にこの分野の重要性が年々認められ、日本のみならず、世界各地で活躍している音楽家も多く輩出され今後より一層の期待が持たれています。
また、こうした動きを支えているもののひとつとして決して忘れてはならないことがあります。それは大勢の音楽愛好家の方たちの存在で、彼ら自ら「オリジナル楽器」を手に手に、大小さまざまなグループを結成し、音楽を人生の喜びとして楽しんでおります。
 こうした人たちの力は、私共音楽を職業としている人間の大きな支えとなったり、勇気となって活動の励みとなっております。
 プロもアマも音楽を通じて共に人生の喜びを味わうことのできる交流の場。これがこの「おぐに古楽音楽祭」ではないでしょうか。
 大自然の中、自らの心を大気の中で自由に歌わせることのできる素晴らしい環境のもとで音楽を楽しもうではありませんか。また、この音楽祭が今後より多くの発展と充実を見せるよう、音楽を愛する私たちの手で育てていきましょう。

 

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