舞城王太郎 ――


『熊の場所』 講談社 (205P \1600)
★★★☆☆

 表題作は雑誌『群像』に掲載され、三島由紀夫賞の候補になった。つーことで(←舞城王太郎式口調)ジャンルとしてはすっかり純文学である。残酷な内容ながら、ノリがとことん軽快なので、すらすら読める。弱いものから犠牲になる、という永遠のあはれをまず感じ、最後には、でもがんばろう、という前向きな気持ちにさせてもらえる。「強い/弱い」とは何かが、単純にわからないところがいい。『熊の場所』のラストには感心だ。


『山ん中の獅見朋成雄』 講談社 (261P \1500)
★★★☆☆

 覚え書きとして読み方を書いておくと「ヤマンナカノシミトモナルオ」。なんじゃこの世界は〜、って感じである、いい意味で。ぶっ飛び感はない。不条理テイストの利いた、静かな青春物語といっていいと思う。書道や茶道が出てくるところがいいな。墨を擦るとき、舞城王太郎の表現では、「しゅりんこき しゅりんこき」と音がするのだ。展開の意味がよくわかんないんだけど、感覚的に気持ちいいから許す。


『煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices』 講談社ノベルス (365P \1000)
★★☆☆☆

 いい悪いは別として、この主人公、ムカつく。いきがっちゃって、素直じゃないなあ。ぎゃふんと言わせてやりたい。こいつ(および作者)の、頭の回転の速さは見事なもので、たしかに笑える。性格の悪くなった、ダウンタウンの松っちゃんを見ているようだ。さて、こんなノワール文学なメフィスト賞作もあるのだね。結局は甘ちゃんみたいで、完成度としては低いと思うが。次作に期待しよう。

 『暗闇の中で子供 The Childish Darkness』 講談社ノベルス (471P \1200)
 ★☆☆☆☆

 なんだかなあ。四郎が主人公だった前作はまだコワレ方に統一感があったのに、滅茶苦茶支離滅裂じゃん。三郎デュビデュバ、イエー、ってか。深夜3時くらいのテレビで、日本中で5人しか観ていないような、すんごいつまらないドツキ漫才を観ている気分だ。いい具合に眠気がやってくる。ゴールデンタイムはおろか、昼間の奥様タイム進出も無理だね。


『阿修羅ガール』 新潮社 (284P \1400)
★☆☆☆☆

 この世には、舞城王太郎大好き派と、舞城王太郎うけつけない派がいる。その割合を知ってみたいものだ。この作品に三島由紀夫賞をあげた先生方は舞城王太郎を認めているだろうから、うーん、すごいな。こういったラップ調一人称文体ってのは、ネット上でころがってる素人のなぶり書きと、たいして区別がつかないんですけど。読んでいてふと思ったこと。正体不明の覆面作家であるところの舞城王太郎。じつは女だってのはどう?


『九十九十九』 講談社ノベルス (598P \1500)
★☆☆☆☆

 名探偵九十九十九(ツクモジュウク)の成り立ちは凄まじい。素顔を見ると誰もが失神するっていう発想はどこからでてくるのだろう。しかし物語の意味がまったくわけわかめ。誰かこの本の楽しみ方を教えてくれ。


『世界は密室でできている。 THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS』 講談社ノベルス (211P \760)
★☆☆☆☆

 死体をおもちゃにするなよ。ま、それはともかくとして、舞城くんの文体、特に台詞回しには、どうしてもついていけない。ノリがナチュラルすぎるのだろうな。この人はほんとにペーパーバックが似合う人だと思う。


『ビッチマグネット』 新潮社 (206P \1200)
★☆☆☆☆

 つぶやき系小説とでも言おうか、日常をつぶやいているだけの、小説とも呼べないようなこのような小説が、どうしてはびこるようになってしまったんだろう。俺は絶対に認めたくねえぞ。朝起きる気力がなかったので病院に行ったら鬱でした、って鬱を舐めてんのかよ。素人が書いたそこいらのブログのほうがストーリーがしっかりしていて、ずっと面白い。