松原隆彦 ――


『宇宙の誕生と終焉 最新理論で解き明かす!138億年の宇宙の歴史とその未来』 SBクリエイティブ (206P \1000)
★★★☆☆

 ほぼ全ページに載っているフルカラーイラストが美しい。宇宙の誕生から、終焉まで、時系列に沿った章立てになっていて解りやすい。他の宇宙論の本だと、前振り的にほぼ必ず読まされる、相対論と量子論の解説がない点が新鮮であり、かつ嬉しい。いきなり初っ端の、量子のゆらぎから宇宙が生まれる説明が上手で感激した。そして最初から最後まで難易度が変わらないのも好いポイントだ。あまり聞いたことのない、サイエンス・アイ新書というこのシリーズ、侮れない。


『目に見える世界は幻想か? 物理学の思考法』 光文社新書 (280P \780)
★★★☆☆

 もっと哲学的な内容なのかとタイトルから思いきや、普通の物理学入門書であった。ニュートンからアインシュタインまで、とカリキュラムはごく普通。理論そのものの解説より、考え方や社会的意味の説明をしてくれているので、物理門外漢でも読みやすい部類だろう。前半はテンポよく、かなり気持ち好いが、最もボリュームを割いている量子論の章にくると、急にテンポダウンし、説明がわかりにくくなる。量子論というものがそれだけ奇妙奇天烈で、常識で納得することが不可能な代物ゆえ、これは仕方ないことなのだろう。量子論を万人に理解させられる入門書を書ける作者がいたら、そのひとにはノーベル物理学賞と文学賞をダブルで授けていいと思う。そのくらい偉業だろう。


『宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く』 光文社新書 (253P \760)
★★☆☆☆

 ダークエネルギーというのはなんとも夢のある、好奇心をくすぐられる存在だ。現代科学の常識からはまったく外れた性質を持ち、「暗黒」を意味するネーミングがまた不気味。本書は、第1部で物理学の観点からダークエネルギーの解説を行い(松原隆彦著)、第2部で天文学の視点からダークエネルギーの観測法を説明している(土居守著)。第1部はまあ普通。第2部は、ダークエネルギーとは直接関係のない、いろんな望遠鏡の細々した説明が続き、もうちょっと面白く書けなかったのかなあ。書かれたのは2011年だが、この手の本はすぐ内容が古くなってしまうので、手にする際は留意が要る。