宮部みゆき ――


『理由』 朝日文庫 (630P \857)
★★★☆☆

 超高層マンションで起こった一家惨殺事件をルポルタージュ風に書いて直木賞をゲットした。ずいぶん多くの関係者が登場し、その時その人が何を考えどう行動したかが明らかにされる。浮かんでくるのは住宅問題と家族問題と性悪問題。ぜいたくな小説だ。ルポルタージュ形式を取ってはいるものの、しょせんは小説だと思った。なんともうまい具合にできている。


『蒲生邸事件』 毎日新聞社 (427P \1650)
★★★☆☆

 日本SF大賞受賞。二・二六事件のまっただ中にタイムスリップした予備校生が殺人事件に巻き込まれるという話。クーデターの史実をひっくり返していくような大展開を期待して読んだが、せっかくの二・二六事件が単なるお飾り程度でしかない。残念だ。これだったら別に二・二六じゃなくても、昔ならいつでもよかったんじゃない?


『火車』 新潮文庫 (590P \857)
★★☆☆☆

 解説曰く「ローン地獄に落ちる人など、自分とは無縁だと思っている人でも、『火車』を読めば、きっと、そうした人を身近に感じるだろう」。いいえ、感じませんでした。カード依存人間などぜ〜んぜん無縁だ。ちょっとした小さな視線がうまいなと感じるものの、大きな全体としての視線が不満。それと、読んで欲しい重要な文に傍点を打つのはうざったいのでやめてくれ。読者さまに失礼っスよ。山本周五郎賞受賞作。


『R.P.G.』 集英社文庫 (306P \476)
★★☆☆☆

 宮部みゆきの小説は、いつもとってもわかりやすい。テーマが何で、どう描きたかったのか、バカでもわかる。今回はタイトルのとおり、“ロールプレイング”である。舞台のほとんどは取調室で、説明(供述)がずっと続くので、暇。特に、勝手がわからない前半はついていくのが大変だ。わかれば、なるほどね〜、なんだけど。ネットでの疑似家族を扱っている点は興味深い。愛憎がはっきりしていて、宮部さんて残酷だなあ。