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編集:大田拓、更新:2018 年 6 月 26 日

建物を柔らかく描くコツ


1.右近としこさんの描き方

風景画を構成する要素は定形物(建物などの、形が定まっているもの)と非定形物(樹木や雲などの、形が定まっていないもの)に大別できます。
一般に、非定形物は水彩画特有の滲みなどを使うことにより、水彩っぽい表現ができます。
これに対して、定形物は、水彩っぽい表現が難しい面があり、 塗り絵調の絵になり勝ちです。

僕はこの数年、非定形物の水彩表現に力を入れてきました。
しかし定形物に関してはあまり真剣に取り組んでこなかったため、絵全体として固い印象が抜けませんでした。

最近、右近としこさんの本(ウエットインウエットのコツと作品:グラフィック社)を読みました。
右近さんの絵は建物が主役の絵が多いのですが、ハッとするほどの柔らかい表現で建物が描かれています。こんな表現ができるのかと目から鱗の思いがしました。
そこで、建物を柔らかく表現するコツを掴もうと、右近さんの本を詳しく読みました。
右近さんの本を読んで強く印象に残っている言葉は:
・退屈な部分を残さない。
・色をつなぐ。
の2点ですが、これを一言で説明するのは難しいので、興味がある人はこの本を買って読んでください。

建物を柔らかく描くコツとして(本に明確に記述されているわけではないが)、デモの手順などを見て理解したことは:
・できるだけ線を使わないで、明暗だけで構造物を表現する。
・下書きの線に沿って丁寧に塗らない。むしろ、下書きの線からはみ出すなど、無造作に塗ったような印象を与えることが重要。丁寧に塗ろうとするとどうしても筆に勢いがなくなり、固い絵になります。下書きの線からはみ出してもよいので、筆に勢いをつけて塗ることが必要です。
・さらに、印象的な色の部分があれば、その部分を周囲まで滲ませるなどして、意識的に下書きの線からはみ出して塗ると効果的な場合があります。
・対象にもよるが、細部の詳しい描写はできるだけ避けること。ただし、省略した部分を、単純に塗りつぶすのではなく(ここが重要です)、そこに「何かがある」と連想させるように、別の色を置く(重ねる)などの工夫が必要です。
・色調の統一に心がける。
これらの点を頭に置いて、最近は建物が主役の絵を意識的に描いています。

2.日本大通り

この絵は、以前に描いたもので、日本大通りのしゃれたレストランです。
この当時はあまり意識せずに描いていたのですが、手前のレストランの表現は合格ですが、向うの横浜港郵便局と手前の植え木は「塗り絵」調です。

3.最近の作品

この絵は、三渓園の茶店付近を描いたものです。
三渓園と言えば、三重の塔が有名ですが、「建物を描く」練習のため、この風景を選びました。
茶店の暖簾を周囲まで滲ませ、ガッシュの白を使って、乱雑に「文字らしく見える」程度に描きました。

大和市の野球場辺り。
手前の売店と客が面白いので、描いてみました。売店は「無造作に描いた」ように見えますが、野球場の建物はもっとラフに描くべきでした。
左側の樹木は刷毛で大胆に描いてみました。

6 月の(鎌・横)で鎌倉の光則寺周辺に出かけ、光則寺参道前の坂道を描いてみました。
建物は最近の研究の成果で、これまでにない柔らかい表現ができました。色を意識的にはみ出して塗ると効果があります。
遠景の山並みは緑が強すぎたようです。

(2018-6-9)

6 月下旬ゾウの鼻地区に出かけました。大桟橋にオーストラリアの大型客船が入港していたので、これを遠景にして、船(警戒船?)を描いてみました。
客船の乗客の夫婦連れが散歩中で、僕が絵を描いているのを見て話しかけてきました。
「客船はまるでビルのようですね」と僕が話しかけると「city(都市)のよう」と言っていました。
見学者は上手いとほめてくれましたが、描いた本人は満足していません。

(2018-6-26)



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