title
「毎日が金曜日」http://www2.odn.ne.jp/fridays/
編集:大田拓、更新:2019 年 2 月 1 日

水彩画について考えてきたこと(3)


1.水彩画の用紙について

水彩紙の厚さは1平方mあたりの重量で表示され、一般には 300g がよく使用されています。これよりも軽い(=薄い)ものは値段は安くなりますが、波打ちがひどく描きにくいため用途が限定されます。

水彩紙の材質は一般にコットン100%とそれ以外に大別されます。
コットン100%には、アルシュ、ストラスモアインペリアル、ウオーターフォード、アバロンなどがあり、それぞれ銘柄によって値段が変わります。
コットン100%以外では、ホワイトワトソン、モンバルキャンソンを初めとして、多数の銘柄があります。

紙の値段ですが、世界堂のオンラインショップやアマゾンなどで見ることができます。 厚さは 300g、サイズは F6 として、銘柄で値段がどの程度異なるか比較してみましょう。
ただし F6 と言ってもメーカーにより多少寸法が異なります。また裁断方法(ブロック紙、本とじ)によっても値段は異なります。また実際には値引きもあります。以下の数値はこういう細かい部分は無視した大雑把な値です。
コットン100%以外の水彩紙では
ホワイトワトソン、(420×330mm)15 枚セットで 3000円=1枚 200円
モンバルキャンソン(407×320mm)15 枚セットで 3000円=1枚 200円
コットン100%以外では、もう少し安いものもあります。
コットン100%水彩紙では
アルシュ、(31cm x 41 cm)20 枚セットで 10000円=1枚 500円
ストラスモアインペリアル、(F6)12枚セットで 4500円=1枚 375円
ウオーターフォード、(410×318mm)、12 枚セットで 3800円=1枚 317円
アバロン:(410×318mm)12 枚セットで 4000円=1枚 333円
総じてコットン100%は高く、特にアルシュが高い。

コットン100%の特長(描き具合)ですが、コットン100%は発色が良いと言われていますが、僕の経験ではコットン100%は絵具を吸い込む力が強いため、重ね塗りが何回でも利く、ということが大きな特長ではないかと思います。
たとえば、僕が使っているホワイトワトソンの場合は、重ね塗りはせいぜい 3 回くらいまでで、それ以上重ね塗りをしても色は濃くなりません。つまり色の濃さに関して飽和現象があります。
これに対して特にアルシュの場合は、この飽和現象がなく重ね塗りをする度に色が濃くなります。したがって部分的に非常に濃く塗ることが可能で、メリハリのある絵を描きやすいと言えます。
しかし、「吸い込み力が強い」ことが逆に欠点になる場合もあります。
たとえば、ホワイトワトソンのような「吸い込み力が弱い」紙の場合は、絵具が渇いた後でも、部分的に絵具を落とす(洗い出し)ことが可能で、この洗い出しで、物体の一部を明るくしたりできます。これに対してコットン100%の紙では渇いた後は洗い出しが難しいようです。
こういう不便さのために、プロの水彩画家でもアルシュを敬遠する人がいるようです。

一般にコットン100%が高いのは、材料費のせいだと言われています。 コットン100%以外の水彩紙の場合は、コットンに一般紙に使われるパルプなども混ぜているため材料費が安くなります。そういうわけでコットン100%が高いのは理解できるのですが、アルシュだけがなぜ特別に高いのでしょうか
一般に言われているのは、紙の親水性、発色の良さ・強さなどで他に類がなく、1492 年の創業以来、ピカソ・ミロをはじめ多くのトップアーティストに支えられてきた世界のトップブランドだから、だそうです。

「トップブランドだから特別に高い」という説明に納得できなくて、イギリスの画材メーカーから、アルシュ紙を個人輸入してみました。
輸入したのは、アルシュ水彩紙 300g、76.2 x 55.9cm 5枚セットで、製品の値段は(£21.63)3,140円、送料(£45.74) 6,642 円で合計 9,782円でした。
この紙1枚から F6 が2 枚(または F6 と F8 を各1枚)とれますから、5 枚セットではF6 が 10 枚とれます。
結局、紙代だけなら、1枚 314 円で国産(ホルベイン)のウオーターフォードやアバロンと同程度です。 しかし、イギリスから日本までの送料が高く、結局1枚 1000 円近い値段になってしまいました。
この経験から、アルシュ紙はフランスから輸入しているから高いのではないか、そしてホルベインのコットン100%紙は、紙を漉く段階から日本国内の高い生産技術で生産しているから、アルシュよりもぐっと安くなっているのではないか、と想像しています。 ただし、ホルベインの生産工程の話は僕の想像です。
(2019-3-22: 記事差し替え)

2.水彩画とゴルフの共通点

水彩画とゴルフの間には多くの共通点があります。 しかもそれらはかなり重要な点が多いので、以下に紹介します。

最小のストローク数:
水彩画でストローク数とは筆を動かす回数のことで、ゴルフではクラブを振る回数のことです。ゴルフではストローク数が少ない方が勝ちで、水彩画ではストローク数がなるべく少なくなるように描くことが重要です。Milind Mulick は「Less is More」として、特にこの点を強調しています。
水彩画では、同じ個所を何回も塗り直すような場合に色が濁ることが多いのですが、 最小のストローク数で描けば色は濁りません。このために、たとえば、広い面積に均一の色を塗る場合はなるべく太い筆を使うことが肝要です。

一発勝負:
ゴルフではやり直しは利きません。今のショットはダメだったから打ち直したい、なんてのは親しい仲間内でも通用しません。ゴルフには「2打罰」というのがあって、OBのような場合は打ち直しますが、この場合は「2打」のペナルティが付きます。
水彩画も同様に一発勝負です。影の色が薄かったから、もう一度塗り直すなんてことがたまにありますが、塗り直して良くなることはありません。塗り直すことで 1 つ良くなっても、その代償として悪くなる個所が必ずでてきます(2打罰)。これを肝に銘じて、なるべく塗り直さなくてすむように心がける必要があります。

コースマネジメント:
ゴルフでは各ホールごとに「1 打目はこう打って、2 打目はこうして・・・」というように(上手い人は)コースマネジメントを行ってから打ちます。つまりホールアウトするための手順を予め考えておくわけです。事前に計画してから着手する方が失敗が少なくなります。
水彩画も同様で、いきなり絵を描かずに、まず構図や明暗を別の紙に描いてチェックし、そこで検討します。その後、下書きをした後で、色を塗っていく手順を予め考えます。
下の絵具が渇いてから塗るか、濡れている間に塗るか、などの手順を検討した上で色を塗ることで、構図や色の塗り方の失敗が減ります。

色の事前チェック:
ゴルフではボールを打つ前に、クラブを2、3回振って草の感触などをチェックします。 これなしでいきなりボールを打って成功することは、非常に難しいからです。
水彩画の場合、絵具をパレットで調合した後、そのまま紙に色を塗る人が多いのですが、パレット上の色がそのまま紙の上で再現される保証はありません。これはゴルフで「いきなりボールを打つ」のと同じで、危険です。
そこで僕は紙に塗る前に、予め用意した別の紙で、色のチェックをしています。これは事前に草の感触をチェックするのと同じで、思ったような色にならなかったので塗り直す、ことが確実に減ります。これは王軍水彩教室で学んだことです。

3.自由参加型のスケッチ会

僕は複数のスケッチ会に参加して月に数回グループで出かけていますが、時々、一人でスケッチに出かけることもあります。一人で行くと他人の都合に合わせる必要がないので、行きやすいのですが、思った通りに描けない場合や気が乗らない場合は途中で切り上げることもあります。一人だと描き続ける意欲が持続しないことが往々にしてあります。
しかしグループで行くと、仲間がいるので、寒くても暑くても上手く行っていない場合でも「最後まで頑張ろう」という気になります。仲間と一緒に来ているという意識の効果は大きく、「自由参加型のスケッチ会」は本当にありがたいと感じています。
こういう会を20年以上も継続させるには大変な努力が必要です。スケッチ会の関係者の皆さん、御苦労さまです。
(2019-2-1)



【ホームに戻る】