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「毎日が金曜日」
編集:太田拓、更新:2015年7月6日


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「科捜研の女」と「相棒」

1.科捜研の女

テレビ朝日系の「科捜研の女」が好きで、よく見ます。
沢口靖子さんが扮する「榊マリコ」が、科捜研のメンバーと協力して、難事件を科学の力で解決していく様子は、毎回飽きません。
最近は、昔の再放送を録画しておいて、仕事のない日に見ています。
昔の作品を見るようになって、新しい発見がいろいろありました。
最近発見したことをまとめると、大体以下のようになります。
▲ 榊マリコは、FBI で最先端の科学捜査技術を学んで帰国したばりばりのエリートという設定でした。最初はそれを鼻にかけて、同僚や上役に平気で指図するため、仲間から受け入れられないのですが、回を重ねるにつれて、仲間の信頼を得るようになります。
▲ 彼女には離婚歴があります。これも意外でした。
沢口靖子さんの美しさは人形のような美しさで、結婚歴のある女性にはとても見えません。男から言い寄られるような(性的に魅力のある)女性では、所長に指図するような面白みが出せないので、あえて、そういう役作りになっているのかもしれません。
「女の幸せは結婚と子育てしかないのか」と呟くシーンがありました。

(この写真はテレビ朝日のサイトから借用しました)
▲ 科捜研のメンバーが、2001年頃の作品からずいぶん変わっています。
かつては榊マリコの父が科捜研の所長だったのですが、現在は昔からの同僚の日野さん(顔の丸い人)が所長です。また、マリコの理解者である刑事は、現在は土門警部ですが、昔は木場警部でした。土門警部は昔の作品では売れない作家として時々出演しています。京都府警の署長も変わっています。
メンバーで変わっていないのは、榊マリコ、現在の日野所長、土門だけです。
▲ 平のメンバーである榊マリコが、父親である所長にまであれこれ指図し、所長がマリコの指図に素直に従う様子は昔の作品と全く変わっていません。
▲ 「科捜研の女」に限ったことではありませんが、2001年ごろの作品では 刑事は当たり前のように煙草を吸っていました。「相棒」の杉下右京も、亀山薫も昔の作品では煙草を吸っていました。また科捜研の榊マリコも「昔は煙草を吸っていたけど、もう完全に止めました」と言っていました。
時代の流れを感じます。

2.なぜ京都なのか

昔の作品から現在の作品まで通して見て、いくつか疑問があります。
▲ 科捜研のメンバーは、全員京都弁を話しません。地元のおばさんが京都弁で話すシーンがたまにありますが、メンバー間の会話はすべて標準語です。標準語で話すドラマの舞台がなぜ京都なのでしょうか。
京都には太秦撮影所があるので、撮影に便利なのかもしれませんが、時代劇ではないので、太秦撮影所を使う必要性はあまりないと思います。
また、榊マリコは横浜出身という設定で(母親が横浜から訪ねてくる)、したがって京都弁を話さないのですが、沢口靖子さんは関西出身ですから、関西弁は得意なはずです。標準語ではなく、京都弁(大阪弁でもいい)で話す設定になっていたら、もっと面白くなると思うのですが。
昨今の刑事ドラマは、ほとんどが東京や横浜が舞台になっています。そういう風潮の中で、名所旧跡の多い京都を舞台にすれば、視聴率が稼げるという思惑があるのかもしれません。
また、島津製作所が京都にあるので、このドラマで使用されるさまざまな科学分析機器の借用に都合が良いのかもしれません。
▲ なぜ「ご遺体」なのでしょうか。これは「科捜研の女」に限ったことではありませんが、仲間内での会話でも「ご遺体」と呼んでいます。遺族に対して話す場合は「ご遺体」でいいのですが、仲間内での会話で「ご遺体」は、日本語としておかしいでしょう。
また「患者さん」という言い方も気になります。「患者」でよいと思うのですが、科捜研以外のドラマでも「患者さん」です。英文和訳の翻訳では「patient」は「患者」と訳します。医療関係の仕事で「患者さん」と訳したことは一度もありません。
▲ またドラマの性格上、捜査員が殺人現場に駆け付ける場面が多いのですが、最近の作品では捜査の開始前に遺体を前にして捜査員が必ず合掌します。昔の作品では合掌のシーン抜きでいきなり検死を始める場合もありますから、これは最近の傾向のようです。
捜査員は皆そういう気持ちでやっているということを示したいのかもしれませんが、そこまで視聴者を気にする必要はないと思います。
▲ 防犯カメラの映像が活用される事例が多数あります。特にドラマを見ていて驚くのは、防犯カメラに小さく写っている人物の顔を拡大して画像処理をすることにより、人物の顔を鮮明に見えるようにする作業ですが、あれは本当でしょうか。
一般論ですが、デジタル画像は撮影時点での解像度よりも粗くすることはできますが、後で人工的に解像度を上げて画像を精緻にすることはできません。全国の防犯カメラでは、役立つかどうかわからない映像を最初からそこまで高い解像度で毎日録画しているのでしょうか。

3.難事件は「科捜研の女」に頼め

このドラマは、殺人事件の犯人を科学の力で突きとめていくという筋立てで、ストーリー自体は平凡です。
しかし、犯人を突きとめるための科学捜査手法が毎回目新しくかつ面白いのが特徴で、多少誇張されている面はあるものの、いつも感心します。
現実にはあのように鮮やかに解決できるケースばかりとは限らないと思いますが、よくこれだけ手を変え品を変えてストーリーを考えられるものです。多分、科学捜査や医学や化学反応に非常に詳しい人(複数)がスタッフにいるのでしょう。
現実社会で未解決な事件が多数ありますが、「科捜研の女」に頼んだらどうだ、と女房と話して笑っています。

最近見た作品で、犯行に使われた車のタイヤの土を調べて、その土の一部から京都の特定の地域を割り出し、そこで犯行に使われた凶器を発見するという話がありました。このような話は、その土地に関する詳細なデータベースが揃っていることが前提で、関東圏なら広すぎて話が成立しないでしょう。
狭い京都は、そういう面からも都合が良いのかもしれません。

4.相棒

「相棒」も好きなドラマの一つです。警視庁特命係の杉下右京とその相棒が主人公で、特に相棒が重要な役割を担っています。これまで10年以上ドラマが続いており、相棒は現在で3代目ですが、僕は初代の「亀山薫」が好きです。 杉下右京の「知」と亀山薫の「情」が対になってドラマに深みを与えています。
2代目と3代目の相棒は「情」ではなく「知」で勝負しようとしているので、杉下右京には勝てません。残念ながら2代目以降の相棒は単なるサポート役になっています。
昔の作品で、小野田官房長官が「特命は杉下が動かしているものとばかり思っていたが、実はあんたが動かしていたんだね」と亀山に言う場面があります。なかなか味のあるシーンでした。

このドラマの面白さは、脇役の顔ぶれにもあります。亀山薫のパートナーである美和子、ひょうひょうとした小野田官房長官、伊丹他の刑事、鑑識の米沢、角田課長などとの軽妙な会話がこのドラマの魅力を高めています。これらのメンバーの、長い年月をかけて作りこまれた役柄は余人を持って代えがたい面があります。
その中で、いろいろ事情はあるのでしょうが、レギュラーメンバーだった人たち(小野田官房長官、三浦刑事など)が欠けてしまったのは残念です。

このドラマの魅力は、スケールの大きいストーリーにあります。単なる殺人事件の犯人探しではなく、常に何らかの社会問題がドラマの背景になっています。警察内部の不祥事や政治との癒着など、他のドラマでは扱えないような深さで描いていますが、企画者は大したもんだと感心しています。
▲ ところで、この作品は秋から冬にかけて放送されるため、コートを着て他人の家を訪問するシーンが多いのですが、右京は訪問先でコートを脱がずにソファーに座ります。これは非礼ではないでしょうか。
▲ また、捜査一課から睨まれながらも杉下の依頼に応えてくれる米沢に対して、杉下は決まったように「どうもありがとう」とお礼を言いますが、このお礼の言葉に気持ちが込められていません。たまには「いつもすいませんね」くらい、言ったらどうでしょうか。
▲ なお、杉下とその相棒がよく通う酒処「花の里」ですが、初期の作品では、遠景として一般客も酒を飲んでいましたが、最近の作品では一般客は一人もいません。こんなことで店をやっていけるんだろうかと、心配になることもあります。

▲ 今回は英語と関係のない無駄話になってしまいました。
(2015-7-6)



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