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「毎日が金曜日」
編集:太田拓、更新:2015年12月30日


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ドローンのことなど

1.翻訳業5年目のまとめ

2015年も残りわずかです。
今年も波はありましたが、25万語以上翻訳しました。毎年「今年こそはノーミスでいこう」と、決意を新たに仕事を始めるのですが、ミスゼロは達成できません。
一番強く印象に残っているところでは、大きな誤訳が1回ありました。これは幸いにして翻訳会社の校正者が直してくれましたので大事には至りませんでしたが、誤訳を指摘された時は冷や汗が出ました。翻訳文を読み返してみて、「どうも妙だな」と感じながら、そのまま放置したのがいけなかったようです。やはり、「妙だな」と感じた場合は、単語の意味を調べ直すことが重要です。
2番目に記憶に残っているものは、誤訳ではないが、納品後に「ああすればもっと良い訳になった(名訳になっていた)」と後悔したケースで、2回ほどありました。これはゴルフに例えると、30cmのバーディパットを外したようなもので、実に惜しいことをしました。
妙なもので、納品の数時間後または翌日に「ああすれば良かった」と気付くことがあります。翻訳会社の希望納期に余裕がある場合は、納品を急がなくてもよいのですが、早く納品して楽になりたいという精神的な弱さがあるので、こういうことが無くなりません。

その一方で収穫もありました。最近、余裕を持って翻訳できるようになったと感じています。
翻訳を始めた当時は、ファイルを開いてみてから、さっぱり分からないので断ろうかと思ったこともありましたが、5年の経験が大きいのでしょうか、最近は「どんな内容でも何とかなる」という気持ちで、頼まれた仕事は何でも受けることにしています。
また、原文の細かい字句に捕らわれずに、自分が原文の著者になったつもりで翻訳することがしばしばあります。原文を読んで、「こういうことを言いたいのだな」と原文の著者の気持ちをパッと掴み、その勢いで訳すると逐語訳ではない、自然な訳ができるようです。ただし、やり過ぎると「意訳」になりますから、程度に依りますが。

2.UI 集の翻訳

オンラインショッピングのサイトなどで間違ったパスワードを入力すると「不正なパスワードです」などのメッセージが出ます。このようなソフトウェアとユーザーとの仲立ちをするフレーズをUI(ユーザー インターフェイス)と呼びます。
UIだけを集めたファイルを翻訳することがたまにありますが、この「UI集の翻訳」は、最もストレスの大きい仕事の一つです。この理由は、そのフレーズがどのような状況で使用されるのかが分からないまま翻訳せざるを得ないためです。また、文字数の制限から、原文が完全な文章でない場合もしばしばあります。
この種の仕事では、前後の文脈が不明なため、ミスは避けられないと腹をくくってやるしかありません。 先に、25万語以上翻訳して誤訳が1回と書きましたが、これは誤訳を指摘されたのが1回という意味です。
UI集の翻訳では、翻訳会社の校正者も正確に判断できない場合が多々あるはずで、指摘されなかったけれども、誤訳がいくつかあったはずです。

それにしても、「like」を「いいね!」と最初に訳した翻訳者は立派ですが、これは Facebook のことを知っていたから、できたのでしょう。
(2016-1-4 追記)

3.ドローンのこと

数か月前に「ドローン」に関する仕事をしました。ドローンとは「小型の無人飛行機」のことで、アマゾンが宅配に使うことを検討中で、数年後の実用を目指していると、最近新聞で報道されました。
守秘義務があるので詳細は書けませんが、気になることがあるので、守秘義務を逸脱しない範囲で書いてみます。

ドローンにもいろいろあり、アマゾンが検討しているような高機能のものの他に、ホビー用もあるようです。
翻訳して驚いたのですが、「あれをしてはいけない」「これをしてはいけない」のオンパレードです。たとえば、
1.他人のプライバシーを侵害するような飛ばし方をしてはいけない(当然ですが)
2.回転しているプロペラに触れてはいけない(当然ですが)
3.雨や霧の日、または風の強い日に飛ばしてはいけない
4.見通しの悪いルートで飛ばしてはいけない
などですが、その他にも「いけない」「いけない」が多数あります。

また、着陸させる場合には、ドローンの現在位置から着陸地点までの間に障害物がないことを操縦者が確認しろ、というのもあります。ドローンはGPSで現在位置を確認しながら、設定されたルートを飛行するのですが、前方に電線がぶら下がっていることを認識して必要に応じて自動で回避するというような高度な機能はありません。
したがって、マンションの3階の部屋に荷物を届けるような場合、そのマンションの上空にまでは行けるでしょうが、目的の部屋のベランダに着陸して、荷物を下ろして無事帰ってくる、というようなことが、はたしてできるでしょうか。ベランダに洗濯物が干されていたらどうするのでしょう。
アマゾンは数年で実用化したいそうですが、広い庭のある邸宅に届けるのなら可能でしょうが、少なくとも日本の密集した都市空間では難しいのではないでしょうか。

ドローンは、使い方によっては大変便利な機械ですが、強力なテロ兵器にもなります。
今年の夏に、首相官邸の屋上で墜落したドローンが見つかったという報道があり、そこまで普及しつつあることに驚きました。あの場合は大きな被害はなかったのですが、あの事件を契機に、ドローンに関する規制が検討されているようです。
当面の規制案は、特定の区域で飛行を禁止することですが、これは善良な一般ユーザーに対してのみ有効です。 確信犯の場合は、禁止事項を無視したり、あるいは制御回路に手を加えて勝手に飛ばすことなど何でもないでしょう。
そこでそのような意図的な加害目的の飛行を防止するために、市販品の場合は、制御回路部分に地図情報を入れておいて、該当区域では絶対に飛行できないようにすることが重要で、これはカーナビの技術を応用すれば可能です。
さらにこれが最も重要ですが、コンピューターに詳しい人間が制御部分を改変しないように、制御回路を絶対に改変できないような構造にしておくことを義務付けることも必要です。

しかし、どのような規制をしても、テロリストには通用しません。テロリスト集団の中に制御に詳しい人間がいる可能性がありますし、テロリスト集団がドローン設計会社の人間をリクルートするかもしれません。自作のドローンで攻撃されたら防ぎようがありません。

5年後の東京オリンピックがその標的にならないことを祈るばかりです。

どうも今回は、英語とはあまり関係ないことを書きすぎたようです。
(2015-12-30)



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