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「毎日が金曜日」
編集:太田拓、更新:2018 年 2 月 21 日


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最近の出来事から(1)

1.日本陸連から1億円

先日の東京マラソンで、日本記録を5秒短縮した設楽選手に、日本陸連から1億円が報奨金として授与された、とのニュースを聞き、オヤッと思いました。
日本陸連とは、日本の陸上競技を統括する組織で、したがって税金で運営されているはずです。日本記録を更新した選手に報いることの必要性は否定しませんが、税金から1億円を寄付、だなんて、そんなことを一体誰が決めたんだろう、というのが「オヤッ」の原因です。
それで日本陸連について調べてみましたが、「日本陸上競技会連盟」と「日本実業団陸上競技会連合」の二つあることが分かりました。今回の1億円は後者の方から出ています。
実体は分かりませんが、「実業団」というからには、企業が後援している組織のはずで、したがって、企業の寄付金から支払われたのではないか、それなら文句を言う筋合いはない、と納得しました。

これに関して、もう一つ疑問があります。
マラソンはコース、気温などの影響を強く受けるので、「5秒短縮」を一律に「快挙」とは言えないのではないかということです。
日本記録を短縮したら、無条件で1億円が授与されるのでしょうか。
たとえば、100メートルの桐生君が自身の記録をさらに0.01秒短縮したら1億円授与され、山縣君がさらにこれを0.01秒短縮したら山縣君に1億円授与されるのでしょうか。設楽選手が次の大会でさらに1秒短縮したら、また1億円もらえるのでしょうか。
こんなことを続けていたら、いずれ原資が底をつくのではないでしょうか。
日本の企業は内部留保金を沢山持っているから、「余計な心配をするな」と、叱られそうですね。
(2018-3-5: 追記)

2.国民栄誉賞

最近、将棋の羽生さんと囲碁の井山さんが国民栄誉賞を受賞しました。しかしその直後に羽生さんは中学生の藤井君に敗れ、井山さんは世界囲碁選手権で、中国人(韓国人?)の名人に破れました。二人とも、国民栄誉賞を返上したらどうかなんて考えながら、そもそも国民栄誉賞とは何だと疑問になり、調べてみました。

国民栄誉賞は、1977 年に福田内閣で制定されたもので、その目的は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること」と規定されています。
将棋の羽生さんと囲碁の井山さんは、それぞれの分野での業績は素晴らしいのですが、永世7冠をとったからといって、日本社会に明るい希望を与えたとは言えません。
将棋に関して言えば、藤井君の方がずっと明るい希望を与えているのではないでしょうか。

国民栄誉賞の受賞者には、野球選手が多く、王さん、衣笠さんなどがいます。記憶に新しいところでは、松井君が長島さんと一緒に受賞しました。
日本社会に明るい希望を与えた、という点からいえば、王さんは問題ありませんが、まず野茂が真っ先に浮かびます。野茂が単身アメリカにわたって、トルネード投法で、大リーグの選手をばったばったと三振に打ち取ったころ、僕は30代でしたが、あの頃、日本中が野茂の活躍に沸き立っていました。
その後日本のプロ野球選手が大リーグに挑戦する流れができ、打者としてイチローがアメリカで大活躍しました。

こういう経緯を考えれば、野球選手に国民栄誉賞を与えるなら、まず野茂で、次にイチローでしょう(イチローは辞退したそうです。)。
この二人を差し置いて、松井と長島が受賞するなんて、おかしな話です。
日本人は「パイオニア」に敬意を払わないのでしょうか。

3.平昌オリンピック

平昌オリンピックもそろそろ終盤ですが、フィギュアスケートの羽生君が金、宇野君が銀の快挙をあげました。
一方、スピードスケートでは小平奈緒ちゃんが女性として初めての金を獲得しました。高木美帆ちゃんも、銀と銅の快挙でした。

羽生君は全日空に所属、宇野君はトヨタ自動車に所属となっていますが、要するに、全日空とトヨタ自動車がスポンサーです。
これに比べて、奈緒ちゃんは長野の相沢病院というあまり知られていない病院の所属です。美帆ちゃんは日本体育大学助手で、スポンサー企業はないようです。
相沢病院は長野県では歴史のある大きい病院だそうですが、トヨタや全日空と比べたら、サポートしてもらえる内容が全く異なるでしょう。
新聞記事によると、奈緒ちゃんは以前、スポンサー企業が見つからず、苦労したそうです。

同じように努力をし、メダルをとれる可能性があるのに、なぜこれほど支援体制が異なるのでしょうか。
こんな疑問を口にしたら、妻から「フィギュアスケートは大会があるたびにテレビ中継されるのに、スピードスケートはオリンピックくらいでしかテレビ中継されないからじゃないの」との答えが返ってきました。
全くそのとおりで、確かにフィギュアスケートの会場では、各企業の名前がスケートリンクの壁にずらりと並んでいます。ちょっとやり過ぎで、選手の華やかな衣装が損なわれるのではないかと危惧するようなこともありますね。
商業主義も極まれり、という感じです。

4.平昌オリンピックのエンブレム

平昌オリンピックのエンブレムですが、ギリシャ文字のパイ(π)に似た文字の右上に上添え字としてアスタリスク(*)が付いています。意味は分かりませんが、なんか印象に残る良いデザインだと思います。
それに比べて、2020 年東京オリンピックの、あの市松模様の風呂敷のイメージのデザインは、一体なんでしょう。あのデザインのどこに日本を連想させるものがあるのでしょうか。
2020 年東京オリンピックのエンブレムが変更になったいきさつは記憶に新しいところですが、最初のデザインが「盗作」と騒がれ、公募でやり直して日本中の合議制で決めた結果ですから、いまさら文句は言えませんが、全員の合議制で決めるとえてしてつまらないものができあがる例です。

これに比べれば、1965 年の東京オリンピックの桜の花びらを5枚配したデザインは素晴らしく、あのデザインで、年号だけ 2020 に変えて使ったらずっといいデザインになるはずです。
一部の人たちだけで物事を決められた 50 年前と、情報が広く開示され、一部の人たちだけでものを決められない現代との違いを感じざるを得ません。
もっとも、最初のデザインがもっと斬新で、どこからも文句のでないものであったら、あんな騒ぎにはならなかったはずです。
つまり、一部の人たちだけに任せておくと、良いものもできるが、大きく間違えるリスクもあります。全員の合議制ではリスクは小さいが、平凡なものしかできない、ということです。

5.トランプさんの英語

就任当初は1年もつまい、と思ったのですが、残念ながら1年以上が経過しました。
それにつけても、この人はTwitter で勝手なことをつぶやくことが多いのですが、新聞報道で読む言葉の内容は、雑な表現が多く、とてもアメリカの大統領の言葉とはいえないものが多いようです。
ただし、原文は英語で、日本の新聞報道では和訳されていますから、実体はわからないのですが、翻訳者が書き手に尊敬の念をもっていないため、やや下品なまたは幼稚な表現の訳になるのかもしれません。翻訳者側に尊敬の念があれば、書き手の威厳を損なわないように表現を工夫するでしょう。

そもそも、Twitter は 140 文字以内(英数字なら280文字)ですから、丁寧な説明は無理です。僕は以前に朝日新聞の声欄に投書したことがあります(採用されませんでしたが)。声欄の投書は500文字に制限されており、500文字で簡潔に言いたいことを書くのは難しく、考えを十分煮詰める必要がありました。500 文字でも苦労するのですから、140 文字では日記程度の表現しかできないでしょう。また一つの問題について熟慮していたら、毎日 Tweet することはできません。
日本の総理大臣がこういう真似をしないことを願っています。

(2018-2-21)



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