「イタリア
 チーズ」
(this and that of cheese)

イタリア料理はチーズがなければ始まらない 歴史的にはフランスよりずっと先輩で、種類の多さでもフランスと並ぶチーズ大国のイタリア。フランスではチーズをデザートとしてそのまま食べること多いのに対し、イタリアではパスタ、リゾット、ピザと料理にチーズが欠かせません。南北に長い地形が変化に富んだ気候を生み、チーズのタイプもいろいろで個性派ぞろいです。
疲れた牛から生まれたゴルゴンゾーラ 世界三大ブルーチーズのひとつ、ゴルゴンゾーらの名は、ミラノの東にある村の名前からとったもの。この村は昔、アルプスで放牧していた牛を里におろす際の休憩所だったそう。長旅で疲れた牛たちの乳で作られたチーズがソフトでおいしいと評判になり、ストラッキーノ(=疲れた)・ディ・ゴルゴンゾーラと名づけられました。
南イタリアならではの製法「パスタフィラータ」 気候の温暖な南イタリアでは、チーズの保存性を高めるためにパスタフィラータという独特の製法が発展しました。パスタはイタリア語でカードののこと。これに湯を加えてもちのように弾力がでるまでよく練るのがその方法。でき上がったチーズは繊維のように糸状に裂け、食べると弾力があります。モッツァレッラやプロヴォローネ、カッチョカヴァッロ、スカモルツァなどが、この製法で作られます。
本物のモッツァレッラとは ピザなどでおなじみのフレッシュチーズ、モッツァレッラは、本来南イタリアで水牛の乳から作られるもの。最近は牛の乳で作ることも認められ、北部でもたくさん作られています。水牛から作られたものは、モッツァレッラ・ディ・ブーファラ、牛の乳から作られたものをモッツァレッラ・ディ・ヴァッカといいます。
乗り物を利用して作られるリコッタ ジャムや砂糖をかけてデザートとして食べることの多いフレッシュタイプのリコッタは、チーズを作る過程で排出される、普通なら捨てられてしまうホエー(乳清)を再利用して作られたチーズ。イタリアでは南部を中心に各地で作られていますが、他の国ではあまり見られないもの。作りたては甘味があって、お菓子のようにおいしそうですが、時間とともに急激に風味が落ちるので、市販品では残念ながら、この味にはなかなかめぐり会えません。
銀行が管理するパルミジャーノ・レッジャーノ ちょうど長靴のつけ根あたり、パルマとレッジョ・エミリアの周辺で作られることからこの名があり、イタリアチーズの最高傑作と称されるパルミジャーノ・レッジャーノ。イタリアでも大変価値のあるチーズとして有名で、投機の対象にもなるほど。お金と同じくらいに大切に扱われ、このチーズの熟成庫は銀行が管理しているところもあるのだそう。
イタリア 北部では牛乳のチーズ、中部から南部では羊乳チーズが多いのが特徴。北の代表がパルミジャーノ・レッジャーノなら、南の代表はイタリア最古のチーズといわれるペコリーノ・ロマーノをはじめとする各種ペコリーノや、モッツァレッラ。平野が少ないという地理的条件から、古代は山羊、羊、水牛などのチーズが多かったのだそう。

【参考文献:ERIOシリーズ 日本放送出版 vol.13 チーズ】