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癒着胎盤

癒着胎盤と診断された方の摘出された子宮の内面です。左下に子宮の筋肉とその中を走る比較的太い血管があります。右上に胎児を栄養する胎盤の血管に富む組織が含まれ、その周囲にピンク色の物質(フィブリン様物)もみられます。正常では胎盤と子宮の筋肉の間に「脱落膜」という子宮の内側にある粘膜(内膜)が妊娠するために変化した組織があり、出産時にこの粘膜部分でちぎれるのですが、直接、胎盤と子宮の筋肉が接しているために、出産に際して胎盤が容易に剥がれず大出血を来す病気が癒着胎盤です。

placenta accreta/increta

今度は右側に子宮の筋肉とその中を走る血管があります。左側には、ピンク色の物質に埋まるように、胎児を栄養する胎盤の血管に富む組織が含まれており、左上から右下にかけて指先を突っ込むように子宮の筋肉内に食い込んでいます。「指先を突っ込むように」という点が大事で、胎盤が剥がれた後の子宮の内面は毛羽だって見えます。この拡大ではわかりにくいですが、子宮内膜が変化した脱落膜組織はこの二つの組織の間に挟まっていません。

placenta accreta/increta

上とは別の場所で、左側に子宮の筋肉、右側に胎児を栄養する胎盤の血管に富む組織があり、間にあるべきである子宮の内側の粘膜組織がありません。以上のような所見がある程度の範囲でみられれば、病理組織学的に癒着胎盤と診断できます。なお、画像ファイル18でも胎盤にある絨毛(じゅうもう)や脱落膜の写真を載せています。

胎盤早期剥離

顕微鏡写真ではありませんが、胎盤早期剥離の例を示します。これは胎盤が子宮にくっついていた面(母体面)で、この裏側に臍帯がくっついています。右側が正常で、表面には脱落膜(子宮の内面の粘膜)が付着し、滑らかで、いくつかに区切られてます。左側が早期剥離を起こした面で、チョコレート色の血の塊がくっついています。

abruptio placentae

血の塊がくっついていた部分の断面です。胎盤は血の塊(血腫)に圧迫され、その部分では胎児に酸素などを供給する働きがなくなります。血腫の形成とそこに接した胎盤細胞(絨毛、じゅうもう)の壊死(えし、細胞が死ぬこと)が、病理組織診断上、重要な所見です。剥離が起きてからの時間が短い場合は血腫が不明瞭なことがありますが、血腫があった場所の胎盤細胞に壊死があることで胎盤剥離を推測できることもあります。血腫がある場所より外側にある薄い黄色の斑状の部分は、血行不良から死んでしまった胎盤細胞です。

atherosis

これは血管の顕微鏡写真です。上で示した胎盤に付着していた脱落膜(子宮の筋肉と胎盤の間に介在していた粘膜組織)の中にあった血管です。ピンク色の物質が血管壁ににじみ出て、その中に泡粒状の胞体を持った細胞が出てきています。これは妊娠高血圧症候群(昔の妊娠中毒症)に特徴的な所見です。