中国、韓国の伝統医学
 →戻る

 中国は世界で最も古く体系的な医学が発祥した地域の一つで、紀元前1800年頃の殷の時代に既に記録がある。中国の伝統医学は中世から近世にかけては観念論にはしって陳腐化が目立ち、そのため清朝滅亡後に成立した中華民国政府は一時伝統医学を廃して西洋医学の導入を決定したほどである。1949年に中華人民共和国成立後は、わが国の漢方を逆輸入するなど積極的に活用する政策に転換した。1960年代の文化大革命は中国に負の遺産を残したと評されているが、都市部のインテリ層を地方に移動させたいわゆる「下放」政策は薬学領域においては地方で実践される伝統医学や生薬を発掘し文書化した点で大きな成果をあげた。6000種以上の薬用植物を収載する「中薬大辞典」はその集大成である。漢方はわが国では中国の伝統医学も含めて考えられることが多いが、現在の中国では従来の伝統医学から発展したものとして中医学と称し、その専門養成機関を設けている。西洋医学系大学においても中医学の履修を義務付けている。このため、中医、西医、中医学を身に付けた西医の3種の医師が混在している。韓国の伝統医学は日本の漢方と同様中国に源流があるが、その後独自の発展をとげて韓医学と称されている。韓医学はとりわけ動物性生薬を多用する特徴を有し、わが国からユウタン(熊胆)の原料としてツキノワグマやヒグマの胆嚢が輸出されてきた歴史がある。中国と同様専門養成機関があり、伝統医学と西洋医学の2種類の医師が混在している。