裁判資料(訴状、答弁書)

訴状(抜粋)


地位確認確認等請求事件
    訴訟物の価格    1,615,296円
    貼用印紙額         13,500円

証拠方法
1 甲第1号証の1、2 代議員(職場委員)選挙公示・選挙結果      1通
2 甲第2号証      若林常夫作成2002年9月30日付文書     1通
3 甲第3号証の1,2 2002年12月4日付「要望書」
                及び郵便配達証明書                1通
4 甲第4号証      労働協約                        1通
5 甲第5号証の1〜7 給与明細                       各1通

                       2003年3月20日
                         原告代理人弁護士  徳井 義幸 
                            同         奥野 京子

請求の趣旨
1 原告が被告の京都線淡路乗務区運転士として勤務する地位を有することを確認する。
2 被告は、原告に対し、2002年11月24日以降毎月25日限り、1か月金69、706円及び
  これに対する各弁済期より支払い済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3 被告は、原告に対し、金500,000円及びこれに対する2002年1月23日から支払い済
  払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに2、3項について仮執行の宣言を求める。

請求の原因

第1  当事者
  1 被告は、鉄道、軌道及び索道による運輸事業、一般自動車運送及び自動車運送取り 
    扱い事業、利用航空運送業等を業とする株式会社である。
     乗務員は京都、宝塚、神戸の3線全体で、運転士583名、車掌470名、駅係員は29
    5名、監督職駅係員(助役等)は1、062名である。内、原告が在籍する淡路乗務区が
    含まれる京都線(淡路、桂両乗務区)は、運転士248名(内淡路乗務区134名)、車掌
    207名(内淡路乗務区115名)、駅係員129名、監督職駅係員456名である。
  2 原告
   (1)原告は、1983年3月17日、被告会社に入社し、同年5月28日、京都線桂駅に配属
     された。1985年京都線桂乗務区車掌、1990年3月29日同運転士となり、1999年
     3月18日より京都線淡路乗務区で運転士として勤務していた。
   (2)組合活動等
     @ 被告会社には、阪急電鉄労働組合(総組合員数4,659名、以下「組合」とゆう) 
       があり、被告会社と組合はユニオン・シップ協定を締結している。原告も入社と同 
       時に組合に加入した。
     A原告は、2002年6月、上記組合の淡路乗務区における職場代議員選挙に立候補
       した。
       淡路乗務区における職場代議員の定員は10名で、2002年以前の数年間は、事
       実上被告会社が指名したに等しい10名の立候補者について現場の乗務員間で 
       票割りがなされ、対立候補はせいぜい1,2名とゆう無風状態の選挙であった。
       ところが2002年の選挙では、原告を含む3名の対立候補が立候補し、原告は当
       選には至らなかったものの、得票数は10位当選者の96票とわずか5票差の91 
       票と善戦した(甲1の1,2)。
     B組合は被告会社に対し、労使交渉で強い態度を取っていないため、乗務員の労働
      条件は次第に切りつめられてゆき、従来は5時間であった実乗務時間が2002年4
      月から6〜9時間に増大した。そのため、乗務員に疲労が蓄積したことが原因と考え
      られる小さなミスが頻発するようになった。被告会社運転車両部部長若林常夫氏  
      は、2002年9月30日付文書で、乗務員に対し、自覚をもって厳正な執務を励行す
      るよう呼びかけた(甲2)。原告は、これに対し、同年10月23日付若林部長宛ての 
      手紙で、ミスの頻発は労働条件の低下による疲労が原因と考えられること、乗務員
      のみに責任を負わせるのではなく、会社全体で考えるべきとの意見を表明した。
       同月25日、原告も京都線東向日駅で停止位置を約30メートル超えるいうミスをし
      た。被告会社では、このようなミスの場合、謹慎・2日間の再教育という処分が通例
      であったが、原告は反省文や報告書の提出を求められ、10月27日から2週間にわ
      たる研修を義務づけられた。被告会社からは、どう26日から11月2日まで、連日駅
      勤務に移るよう要請があった。
第2 無効な配転命令
  1 前提事実を欠く配転命令
   (1) 2002年11月22日、被告は、原告に対し、高槻市駅サービスセンターの応援を命
     じる旨の配転命令(以下「本件配転命令」)というを発令した。
   (2)被告によれば、本件配転命令が発令された理由は次のとおりである。
     @ 1998年、「山崎 啓一」「河端」なる人物から被告宛てに、「客のマナーが悪い」
       「河原町のホームに係員がいない、増やせ」「不正乗車が多い。何か対策しろ」等 
      という内容のハガキが5通送られてきた。筆跡鑑定をした結果、これらのハガキは原
      告が書いたものとわかった。
     A 原告の同僚の運転士の妻宛てに、出会い系サイトで知り合って付き合っていた女
      性と称する者から、暴力団を使ってでも家族に仕返しをする旨のワープロ打ちの手 
      紙が届いたが、封筒の文字の筆跡鑑定をしたところ、原告の筆跡とわかった。
     B 原告には、この疑惑を追及されたことにより精神的動揺があるので、当分の間、 
      高槻市駅サービスセンター応援を命じる。
    (3) しかし、原告は上記@のハガキも、上記Aの手紙も書いておらず、全く見覚えない
      ことであった。
      2002年11月5日、原告は高橋係長、小林マネージャーから上記@のハガキを見 
      せられ、また、乗務員の妻宛てに上記Aの手紙が届いたことを、筆跡鑑定したとこ 
      ろ、いずれも原告の筆跡であるとわかった旨告げられた。被告は、原告に手紙を書
      いた事を認めるよう強要したが、原告は身に覚えないことなので、「こんなものは書 
      いていない。知らない」と言った。
      11月14日、原告は稲垣人事係長から、「乗務員の妻に届いた脅迫文と1998年か
      ら連続して届いた投書を、全課員の字と比べた結果、君の字が非常によく似てい  
      た。(原告の)部長宛ての手紙と、先日書いた報告書・反省文とを鑑定してもらった 
      ら、全く一致するという結果がでた。そのため明日より乗務から外す。その件を理解
      して貰いたい」と告げられた。原告は、身に覚えないことなので動揺もしておらず、乗
      務できる自信はあるので了承できないと告げ、鑑定はいつやったのか尋ねたが、稲
      垣氏は「詳しい日はわからない」と答えた。稲垣氏は原告に「もう一度聞くが、やって
      ないな?」「本当にやってないな?」と尋ね、原告は「やっていない」と答えた。
      11月22日、原告は、山中課長より「今回の疑惑について調査を継続する。精神的
      動揺が君にあるので、当分の間、高槻市駅サービスセンター応援を命じる」という本
      件配転命令を口頭で受けた。原告は異議を留めつつ翌23日より高槻市駅で駅係 
      員の業務についたが、事実無根の理由で配転されることが納得できず、若林部長に
      対し、2002年12月4日付内容証明郵便(甲3の1,2)で、@ 今回の疑惑には一 
      切覚えなく、全面否定しているにも関わらず、不当に勤務を変更され、弁明の機会も
      与えられないこと、A 筆跡鑑定についても鑑定書等は示されておらず、納得のいく
      説明も受けていないこと、 B 本件配転命令を撤回し、すみやかに運転士の勤務 
      に戻してほしい旨を伝えた。
      しかし、被告は本件配転命令を撤回しようとはせず、2003年2月6日、山中課長は
      原告に、「上司に対しての態度を見極めるため、3月いっぱい、このまま駅勤務とし 
      て、反抗的な態度がないか見極める。その結果で4月から乗務員に復帰させる」と 
      の説明を行い、その後、被告より原告に対し、3月5日より改札見習いにつくようにと
      の指示があった。
    (4) 以上のとうり、被告が本件配転命令の理由としているハガキや手紙は原告が書い
      たものではなく、事実無根の疑惑である。また、被告は右疑惑の追及により原告に 
      精神的動揺があるというが、原告にやましいところは一切なく、したがって運転士とし
      て乗務が困難になるような動揺もない。よって、本件配転命令はそもそも前提となる
      事実を欠き、無効である。
2 労働協約30条3項の運用に違反する配転
    被告会社と組合間で締結された労働協約には、組合員の転勤、職種の変更もしくは出
    向に関して「本人又は組合が異議を申し出たときは、、会社は詳細に調査のうえ、公正
    に審議判断して、問題の円満な解決に努力する」(労働協約30条の3項、甲4)との規 
    定がある。被告会社においては、人事に関し異議の申し出があった場合は、組合と協 
    議を行い、本人の同意がなければ移動は行わないという運用がなされており、組合も本
    人の同意が必要と解釈している。したがって、被告会社が、原告の同意がないまま駅勤
    務につかせていることは、労働協約30条3項に基づく上記運用に違反するものである。
     また、被告は、被告のいう「疑惑」について、原告がやっていないと述べているにも関 
    わらず、一方的に原告がやったと決め付けるだけで、異議の申し立てに対して「詳細な
    調査」「公正な審議判断」を行っていない。被告は筆跡鑑定を行ったと主張するが、原告
    に鑑定書等を示すなどして納得のいく説明はおこなっておらず、本当に鑑定が行われた
    かのすら疑わしい。
3 不当な動機に基づく配転
    前記「2 原告(2)組合活動等」記載の本件配転命令に至る経過を見れば、原告に対 
    する本件配転命令は、原告が組合内の少数派として現組合の労使協調的あり方に批 
    判を有していること、乗務員の労働条件低化に対する批判を有し、被告会社のあり方に
    批判の意見表明をなしていることにつき、被告会社においてこのような原告の言動を嫌
    悪する動機・目的から発令されたものとして無効である。
4 以上のように、本件配転命令は不法な動機・目的から発令されたもので、その前提となる 
  事実を欠いており、手段的のも労働協約30条3項及びその運用に違反するもので、無効 
  である。

裁判報告
裁判資料(訴状、答弁書)
第二準備書面
原告準備書面 (1)
文書提出命令申立書

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