原告準備書面3

                           原告代理人弁護士 徳井 義幸
                                    同  奥野 京子



第1 被告が原告に駅業務を命じた理由は専ら怪文書の調査であったこと

1 被告は、原告に高槻市駅業務を命じた理由は、原告の運転士としての適格性に問題があ
ったため、処遇のあり方を見極める必要性があったからであり、怪文書の主張は適格性の見
極めと「並行して」行ったと主張する。
 被告は、平成14年11月22日のやりとりの冒頭で、山中課長が「停止位置誤りで命令を抜
いていたところに」とほんの一言述べたkとをもって、原告の運転士としての適格性をも問題と
していたとするが、同日のやり取りにおいては、「停止位置誤り」については冒頭の一言で、何
気なく触れられているにすぎず、その後は一切その話しはでていない。原告の「(駅勤務は)ど
うゆう意味での業務命令ですか?」という質問に対し、被告側は「君に客観的事実として疑惑
の渦中にいる以上、精神的不安定になっていると考えざるをえない」「会社として、精神的不安
定に陥っていると考えるのです」と答えており「期間はどれくらいですか」という質問に対して
は、「調査を継続しているところなので、今ははっきり言えない」と、もっぱら怪文書の調査のみ
を理由として挙げている。このやりとり全体を見れば、怪文書の調査のみが問題とされている
ことは明らかであり、冒頭のほんの一言のみを取上げて適格性おも問題としていたという被告
の主張かこじつけ以外のなにものでもない。
 さらに、被告は、「原告は、平成14年11月22日の・・・・やりとりのみをもって、運転士として
の適格性の問題が本件他職運用の理由でないことの根拠としている」と主張するが、以下に
述べるように、被告は本提起前は、原告に駅勤務を命じた理由としてもっぱら怪文書の調査を
上げていたのであり、そのことについては11月22日のやり取り以外にも様様な根拠がある。

2 原告は、停止位置を過走した後、2週間にわたる研修を義務ずけられたが、そのうち研修
の実態を有していたのは最初の2日のみで、その後は封筒の作成の作業をさせられ、それが
終了した後は何ら作業させられることなく会議室に一人で座っているだけであった。被告が真
実原告の運転士としての適格性に問題を感じ、これを教育しようとしていたなら、研修期間中
にこのような無為な時間を過ごさせるはずもなく、もっと別のカリキュラムを組んでいたはずで
ある。
また、このような運転ミスに対する教育期間は、原告以外の者の場合、概ね2日程度の教育で
終わっており、原告に対する対応が不当に重いことについては既に具体例を挙げた。被告
は、「研修や駅勤務が比較的長期に及んだ例は原告の他にもあり、原告より長期間他職運用
を行った例も存在する」と述べるが、そのような例を具体的に挙げるよう求める。

3 原告の駅勤務については、被告から組合に対して「怪文書の調査の間、高槻市駅勤務とす
る」旨の通告があった。そこで、組合も本件業務命令は怪文書問題について調査のためと理
解し、調査結果に問題がなければ直ちに運転業務に復帰させることを前提に、組合としてこれ
を了承した。もし、被告がこの時過走事故や運転士としての適格性を理由としていたら、組合
は、そのような懲罰的な「他職運用」、勤務態度を理由とする「他職運用」に同意することはな
く、原告ら組合員7名も組合からその旨の説明を受けている。
 なお、「他職運用」という用語については、11月22日の山中課長の通告でも1度も述べられ
ておらず、本件訴訟になって初めて出てきた言葉である。

4 原告が駅勤務に就いた後も、助役が「(今回の異動は)怪文書が理由であり刑事事件だ」
などと同僚の乗務員らに説明していた。
 また、原告が駅業務で行っていた業務は、電話の取次ぎ、物品の販売のみで、このような業
務を通じてどのようにして原告の運転士の適格性を見極めるのか疑問であり、被告の主張は
非常に不合理である。

5 原告が2月6日の被告の通告に対し異議を述べていないという点は否認する。原告は「こ
のような灰色の決着でな納得いかない。また、文書が届いた彼は、会社に助けを求めたので
はないか。彼のためにも徹底的に調査すべきだ」と意見したが、山中課長は「君にいわれる筋
合いはない」と答えた。

6 このように、本件業務命令が原告の運転士としての適格性を見極めるためという被告の主
張に無理があり、非常に不合理である。事実は、もっぱら怪文書の調査を理由としていたので
ある。


第2 原告の運転士としての適格性に問題はないこと。

1 第1で述べたように、被告は、本件訴訟が提起された後、それまで一貫して原告や組合、
たの職員に対して述べてきた、怪文書の調査や、原告がそれにより精神的動揺をきたしてい
る、といゆう理由をにわかに後退させ、かわって、急遽原告の運転士としての適格性を問題と
してきた。これは、被告が行ったと述べる筆跡鑑定が極めて不審なもであることと無関係では
ない。
 被告から提出された鑑定結果の一部は、そもそも怪文書と原告の筆跡が本当に対照されて
鑑定されたかということにすら疑問を抱かざるをえないもので、到底証拠として意味をなさない
ものであるにも関わらず、被告はそれ以上の証拠提出を拒んでいる。被告に文書提出義務が
あることは、意見書に述べたとうりであるが、被告が自ら鑑定結果の一部を証拠として提出し
ておきながら、それ以上も提出を拒否し、運転士の適格性を言い出したのは、鑑定結果が本
件訴訟の決定的な争点となると、被告にとって不利であるという判断が働いたとしか考えられ
ない。

2 原告の運転士としての適格性に被告の述べる問題点がないことは、詳述した通りである。
 被告は、原告の髭や靴のことなど針小棒大にあげつらっているが、すでに述べたように被告
の従業員に対する注意指導は恣意的であり、とくに髭については、原告に対し行きすぎた指導
をしたことを、原告に謝罪している。当時の笹川運転係長より、桂会議室において直接謝罪を
受けた。被告は、原告が正雀休憩所に立ち寄った際に指導監督したと述べているが、原告が
正雀休憩所に立ち寄る必要はない、原告の当時家は駅の東側にあり、休憩所は西側、原告
は、ほとんど徒歩通勤であり、わざわざ休憩所を通る必要はない、また、自転車置き場が西側
にあるが、休憩所を通るより廊下を直進したほうが改札への最短コースであるので、わざわざ
休憩所を通ることもなかった。そもそも、運転士と乗客は区切られた区画にある運転席に乗務
しており、乗客からは上半身背面しか見えない、したがって、乗客から、髭や靴が見えることは
ない、したがって被告の言うように「乗客から見て非常に奇異に映る」などして業務に支障が出
る事は考えにくい。
指差喚呼について、被告は「原告が職制とは関係のない労働組合の支持に業務を遂行してい
たと主張していることからみても、その当時、組織に属する者として重大な過ちを犯していたこ
とは明白」などというが、原告は、指差喚呼導入時の被告からの説明の場である、「業務研究
会」で、職制である助役より「どの手、どの指でもかまわない」という説明を受けている。組合も
組合員から質問を受けた時に説明が出来るよう被告に確認をとり、それを組合員に伝えたは
ずであり、これを「職制ではなく、組合の指示に従った」などという主張は、被告の曲解である。

3 以上のように、原告の運転士としての問題性はなく、被告が突然適格性を問題とし始めた
のは、怪文書の筆跡鑑定が本件訴訟の争点になるのを避けるための方便としか考えられな
い。





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