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3月1日にビキニ被爆53周年を迎えました。「六ヶ所村ラプソディー」の鎌仲ひとみ監督より記念講演「ヒロシマとビキニ〜核に覆われる社会の未来」をうけ、全国被爆者青年同盟が「被爆者、二世・三世は日本の核武装を許さない」と題して基調報告を行いました。
1954年3月1日。焼津のマグロ漁船「第五福竜丸」23人がアメリカの水爆実験による「死の灰」で被爆し同じ海域に出漁していた日本の漁船約900隻、2万人近くも被爆した。ビキニ事件は水爆反対の大きな運動を生みだし、日本における原水禁運動の発端になった。一方で、日本政府はビキニ事件を取引材料にアメリカと原子力協定を結び1956年茨城県東海村に原子炉が送られてくる。ここから日本の核武装に向けた第一歩が始まった。 北朝鮮の「核実験」を口実とした「核論議の解禁」、「自衛のための核武装は合憲」など日本の核武装を声高に叫び、それと一体になった9条改憲攻撃の中で迎えた今年のビキニデーは、「六ヶ所村ラプソディー」の鎌仲ひとみ監督を招いて集会が開催された。 反戦被爆者の会の下田禮子さんの挨拶に続き鎌仲監督の講演が行われた。鎌仲監督は世界各地の被爆者を取材した経験をもとに「ビキニとヒロシマ−核に覆われる社会の未来」という演題で、「劣化ウラン弾による放射線障害が湾岸戦争症候群が世界に拡大しているが、低レベル放射線のヒトへの影響はアメリカでは一般的に知られておらず晩発性障害に関して否定的である。」「WHO(世界保健機構)は、劣化ウラン弾による放射線被害が明らかになるとアメリカ政府は膨大な損害賠償を請求され、WHOへの費用負担に影響が出てWHOの存続そのもを危うくするので、そのような調査はしない。」「六ヶ所村の核燃料再処理施設では毎年8トンものプルトニウムが生産されようとしている。これは長崎型原爆の1300発分に相当する量である。」「北朝鮮が核実験を行なったと発表した後3日間再処理施設の稼働を停止し、空気中の放射線物質の調査を行なった。再処理施設が日常的に核実験で生じる放射線物質を放出していることが明らかになった。」「核開発を推進する連中は放射線の影響を過少に見せるためにヒロシマ・ナガサキを引き合いに出し「広島、長崎に行けば安全性をその目で確かめられる」とうそぶいている。」と今日世界で繰り広げられる核による生命の危機、環境の汚染を明らかにし阻止することを訴えた。 講演に続いて全国被青同から基調報告が行なわれた。放射線影響研究所(放影研)によって2月28日に発表された「被爆二世健康調査」の結果を弾劾するものであった。「放影研の前身のABCCは1948〜54年の被爆者とその子どもの健康調査を強制的に行ない、「被爆者と非被爆者との間に生殖能力に有意の差は見られない」との結論をすでに出しており、今回の調査結果の発表はこれを追認し放射線の遺伝的影響を否定し核の使用を合法化するものである。」「この結果発表は日本国内に限らず全世界の被爆者、二世の無視・抹殺を意味するものであり、日本の核武装を推し進め「朝鮮・中国侵略戦争のできる国に変える」改憲攻撃と一体のものであり、全世界の被爆者・二世、労働者階級人民と連帯して闘おう。3・18全世界一斉反戦デモに立ちあがろう」と訴えた。 質疑応答の後、まとめが行なわれその中で、放影研の発表に先立つ2月26日、反戦被爆者の会、全国被青同による放影研への抗議の申入れ行動が報告された。「ヒト以外の生物では放射線による遺伝的影響が明らかになっているのに放影研は有意の差はないといっている。そのことをどう思うのか?」追求すると明確な回答は成されず、また、「今回の調査で二世から血液を採取しているがDNAの分析を行なうのか?」に対しては「分析の新たな方法が開発された後に行なうことにしている。」と答え追求から逃れようとした。これに対して「2世への影響を否定し、曖昧にする調査結果の発表は許されない」と弾劾した。核武装を推進する米日の調査・研究機関である放影研の被爆者・二世調査は今後も核兵器の改良、被爆者・二世の無視・抹殺のためのものでしかない。被爆者・二世は帝国主義者から医療を奪還し自らの手で調査・研究を行ない自らを解放しよう締めくくられた。 |
3・3 ビキニ被爆53周年集会
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■記念講演: 「ヒロシマとビキニ 核に覆われる社会の未来」 鎌仲ひとみさん (映画『六ヶ所村ラプソディー』監督) ■基調報告: 「被爆者、二世・三世は日本の核武装を許さない」 全国被爆者青年同盟 ■日 時: 3月3日(土) 15時〜17時 ■場 所: 広島県健康福祉センター 南区皆実町(南区役所西隣) ■会場費: 500円 ■主 催: 小西のぶ子記念館 |
ABCC(現・放射線影響研究所)は二世調査結果発表を中止せよ!
反戦被爆者の会・全国被爆者青年同盟のアピール |
(1)原爆投下は人体実験だった被爆者、被爆二世の兄弟へ、比治山の山頂にある放射能影響研究所(以下、放影研)を知ってますか?アメリカ大統領トルーマンによって作られたもので、軍事機関である原爆傷害調査委員会(CAC)の日本での調査機関です。その目的は、アメリカの原爆製造体制に必要な「人間集団における放射線効果の測定」だとされています。広島と長崎への原爆投下は、「例外的で(特有の、見込みある大規模調査の)機会を提供した」と言うのです。 敗戦直前の、天皇を頂点とする支配者たちには戦争継続の力がないのは明白でした。しかし、あえて、原爆を投下したのは、その直後から周到・広汎な調査を行うためだったのです。 特に、彼らは、遺伝的影響を調べるために必死でした。産科医や女産婦を脅かして、死産・流産・先天性形成異常(無脳症など)のデーターを集めました。その手口は、ハイエナとまで例えられました。47年には、今後「数十年、あるいはそれ以上にわたる」長期の遺伝的調査を目標にするとその目的を明らかにしています。 (2)放射線の遺伝的影響を否定する二世調査結果発表を許すな放射線影響研究所は、この5年間行なってきた二世調査の結果を3月にも発表しようとしています。その内容は「遺伝的な影響はない」というものになろうとしています。被爆二世の仲間がいろいろな種類のガンで殺されている時に、そういう事実を無視する、政治的な結論が出されることを許すことは出来ません。これまでも、放影研の二世調査は、「遺伝子の突然変異が増えない方法」で実験を行なって、遺伝的影響は見られないという結論を出してきました。大阪大学医学部の野村名誉教授からも厳しく批判されています。今回の調査では、生活習慣病を遺伝的影響の有無の判定に使っていますが、2月3日付の中国新聞記事にあるように、スティーブ・ウイング助教授(疫学研究者=スリーマイル島原発事故被害者の健康調査を実施している)から根本的な批判が行なわれています。 今回の調査では、二世から血液を集めながら、遺伝子の調査は行なっていません。将来の研究のために保存するとしていますが、二世から集めたデーターを直ちに返還すべきです。 (3)放影研は被爆者をモルモットにした歴史を自己批判せよ!調査は無論必要です。しかし、これまでアメリカの核兵器開発のために活動してきた放影研にはその資格はありません。放影研にはすでに戦後六十年、米軍のために集めてきた膨大なデーターがあります。それを軍事秘密として隠すのではなく、公開し、放影研(=アメリカ帝国主義と日本政府共同)の影響を排除して研究がなされなければなりません。動物でも、植物でも放射線の遺伝的影響は立証済です。ヒトが例外であるはずはありません。遺伝的影響を否定し、核兵器の使用を合法化する政治的な調査発表の理由です。 北朝鮮の「核実験」を口実に、日本も核武装をすべきだとする安倍政権にとって、被爆者と被爆二世の社会的存在が邪魔になっているのです。被爆者、二世は、今こそ「日本を戦争する国に変える」憲法改悪攻撃と闘い、被爆者・二世として声を上げてゆきましょう。
反戦被爆者の会・被爆者青年同盟
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被爆二世健康診断調査結果発表の中止を求める申し入れ放射線影響研究所 理事長 大久保 利晃 様 2007年2月26日 反戦被爆者の会・被爆者青年同盟 広島市西区草津東三丁目2の5(『小西のぶ子』記念館気付) ![]() ![]() |
放射線の遺伝的影響を否定する二世調査結果発表の中止を求めます。 放射線影響研究所は、この5年間行なってきた二世調査の結果を3月にも発表すると聞いている。二年前の全国被爆二世協が主催するシンポジウムに参加した放影研職員が発表したように、「被爆による被爆二世への遺伝的影響はない」とする極めて政治的なものであり、核兵器廃絶を願う被爆者、二世・三世の願いに逆行するものである。 こうした政治的な発表がなされる理由は明白であろう。広島と長崎に原爆を落としたアメリカは、原爆投下を謝罪することもなく、核兵器を開発し続けてい る。今日では劣化ウラン弾という放射能兵器を通常兵器と位置づけて、イラクで、ユーゴで莫大な量を人々に浴びせている。その結果、膨大な数の子どもたち が死産・流産を強制され、生まれたものの重篤な形成異常に苦しめられている。ところが、アメリカ政府と軍は、この被害を放射能によるものではないと否定 し、北朝鮮に向けては、地下貫通型の強力な核弾頭を開発し使おうとしている。 アメリカばかりではない。日本政府も核武装論議を解禁し、自衛のための核武装は合憲とまで言い始めている。今回の放影研の発表は、放射能の恐怖を軽んじることをとおして、日米両政府の核兵器開発とその使用を免罪するものとなる。そもそも放影研には、核廃絶の被爆者の願いとは敵対して「純粋に」放射線のもたらす影響研究なるものが可能だと考えているのだろうか? これまでも、放影研の二世調査は、「遺伝子の突然変異が増えない方法」で実験を行なって、遺伝的影響は見られないという結論を出していると、大阪大学医学部の野村名誉教授からも厳しく批判されてきた。国連の科学委員会の2001年の報告が言うように「植物や動物での実験的研究で、放射線は遺伝的影響を誘発することが明瞭に示されている。ヒトがこの点で例外であることはなさそうである。」のであって、放影研の「研究」はその方向が全く逆行している。今回の調査でも、生活習慣病を遺伝的影響の有無の判定に使っているが、2月3日の中国新聞記事にあるように、スティーブ・ウイング博士など疫学研究者から根本的な批判が行なわれているではないか? また、今回の調査では、二世から血液を集めながら、遺伝子の調査は行なっていない。将来の研究のために保存するとしているが、どのような研究かも特定されず、政治的な立場から調査結果を発表する放影研に二世から集めたデータを保存する資格はないだろう。直ちに返還すべきだ。放射線影響研究所は先ず被爆者をモルモットにした歴史を謝罪すべきだ。 放影研は、アメリカ大統領トルーマンによって作られた軍事機関である原爆傷害調査委員会(CAC)の日本での調査機関として発足し、その後日米共同運営となり今日に至っている。その目的は、アメリカの原爆製造体制に必要な「人間集団における放射線効果の測定」だとし、広島と長崎への原爆投下は、「例外的で(特有の、見込みある大規模調査の)機会を提供した」とはっきり言っている。敗戦直前の、天皇を頂点とする支配者たちには戦争継続の力がないのは明白だった。しかし、あえて、原爆を投下したのは、その直後から周到・広汎な調査を行うためだったではないか。 それ故に、原爆傷害調査委員会は遺伝的影響を調べるために必死だった。産科医や助産婦を脅かして、死産・流産・先天性形成異常(無脳症など)のデータを集めきた。その手口は、ハイエナとまで例えられた。47年には、今後「数十年、あるいはそれ以上にわたる」長期の遺伝的調査を目標にするとその目 的を明らかにしている。今回の健康診断診断調査の狙いは、その継続でしかない。 調査は無論必要であろう。しかし、これまでアメリカの核兵器開発のために活動してきた放影研にはその資格があるのだろうか?放影研にはすでに戦後60年、米軍のために集めてきた膨大なデータがある。それを軍事秘密として隠すのではなく、公開し、放影研の影響を排除して研究がなされなければならな い。もし、放影研がその調査と研究に参画すると言うなら、まず放影研は被爆者をモルモットにした歴史を自己批判し,被爆者と二世に謝罪してほしい。それ無くしては、あなたたちを人類の進歩のために貢献する科学者とは到底信じない! |