自衛隊はソマリアに行くな!
|
防衛大臣 浜田靖一 様 海上自衛隊呉総監部総監 杉本正彦様 自衛隊員の皆さん、 私達被爆者・二世は心から訴えます。自衛隊の他国の労働者民衆の殺戮を前提とした派兵は必ずや日本が戦前の侵略国家の道を辿ることです。それは、自らが始めた戦争を、被爆者に地獄を強制してのみ終わることになった原爆投下への道でした。自衛官の皆さん、自衛隊が侵略戦争に携わらないという大前提は、原爆被害の恐怖を再現してはならないという長い被爆者や労働者の闘いの賜物です。恒常的な自衛隊派兵の突破口ともなるソマリア派兵を絶対に拒否してください。 軍服を着た労働者である皆さんの敵は、ソマリアにはいません。皆さんが闘うべき相手は憲法9条を破壊し、自衛隊を侵略する帝国主義軍隊に飛躍させるために皆さんの命をもてあそぶ自衛隊の幹部たちです。幹部たちを私兵のように操作する麻生政権であり、大金持ちである資本家の連中です。 麻生や御手洗は皆さんの兄弟である、派遣労働者を手始めに全ての労働者の首を切り、膨大にためこんだ私有財産をびた一文たりとも労働者とその家族の生存のために返還しようともしません。例えば、彼らのマネーゲームによって年金財政は昨年だけで5兆円もの損失を生み出しました。その犠牲全てを自衛官や労働者に押しつけようとしています。もう資本主義は終わりです。 しかし、世界大恐慌を戦争と侵略によって乗り切ろうとする大金持ちどもは、自らその権力と富を手放しはしません。彼らは、工場や街頭や兵舎に沸き立つ怒りを、他国の労働者への憎しみにすり替え、他国の労働者をさげすみ、見下させようとしています。我々は、同じ働く仲間として、他国の労働者・農民・漁民と殺し合いをさせようとする、この国の腐りきった麻生のような政治家や金のためなら何でもする御手洗をふっとばさなくてはなりません。1917年、ロシアで兵士がストライキと革命のために決起した労働者の殺戮を拒否して、自らの労働者である証を示したように、自衛隊員の皆さんも共に戦いましょう。資本主義の死に水を取るためにこそ、皆さんの銃を使ってください。 昨日自衛隊当局は、家族に「安心してソマリア派兵を受け入れるように」という説明会を行いました。今回の派兵は、あらかじめ武器の使用が前提となる自衛隊史上でも始めての許すことのできない出兵命令です。ソマリアの海賊と言われる人々は19年にも亘るソマリア内戦の中から生み出されました。特に、「イスラム法廷会議」が全土を支配していた2006年にはその活動が消滅していたにも拘わらず、同年12月エチオピアの侵略によって「イスラム法廷会議」が駆逐されるとともに活動が活発化しています。つまり、帝国主義が戦後ソマリアの独立をもてあそび、国家として分裂状態に置いてきたことが事態の本質です。 ソマリアは帝国主義者によって漁場を奪われるばかりか、公認の産業廃棄物の処理場にされて有害化学物質や放射能物質が投機されてきました。そのために生活の糧をうしなった漁民達が、海賊に活路を見いだしたと言われています。海賊だから捕まえて当然、殺して当然とはならないのです。派遣で路上に放り出された労働者が、ポケットに6円しかなくてコンビニ強盗をしたり、あるいは餓死するという事態がこの日本でも日常茶飯事になっています。労働者も農民も漁民も、帝国主義の腐りきった支配に追いつめられています。日本でもソマリアでも、世界中で「生きさせろ!」の叫び声が上げられています。自衛隊員の皆さん、家族と生き別れになるソマリアへの道を拒否し、世界中に「食えない」現実を作りだした資本家やその手代である政府と戦う道を選択してください。 ソマリアはその地理的な戦略性と鉱物資源の故に戦前から植民地支配に苦しめられてきました。独立の闘いは、各国の介入によって歪めらてきましした。もともとイギリス、フランス、イタリアが分割支配を行って来ましたが、戦後はアメリカが石油支配の要として分裂支配を続行してきました。この分断を打ち破る運動が「イスラム法廷会議」であり、2006年には電撃的に全土を掌握しました。そこには希望がありました。だからこそアメリカはエチオピアそそのかし侵略させ、「イスラム法廷会議」を転覆させ、暫定政府を政権につけました。この背後には、アフリカ全土の資源戦争があります。要衝ソマリアを抑えなければ内陸部への支配が貫徹しないからです。 ソマリアの労働者民衆はエチオピア侵略軍や傀儡暫定政府との闘いをやり抜いて暫定政府を崩壊の淵に叩き込みました。事態は、エチオピアの撤退、国連PKOとしてのアフリカ連合軍の投入、融合政府の結成=「イスラム法廷会議」の一部勢力の取り込みへと推移しています。しかし、完全独立を求める民衆の意思は、アル・シャバーブの解放区拡大に示されるように強靱です。今回のソマリア派兵はこうした労働者民衆の解放運動を圧殺するために米欧が国連決議を引きだした海賊対策でしかありません。帝国主義各国がソマリア沖に艦船を配置し、ソマリア民族解放戦争勝利をあくまで阻止しようというのです。その全体が、アメリカのアフリカ総司令部(アフリコム)の基で遂行される侵略戦争に他なりません。自衛隊はその捨て駒にされるのを承知の上で、血を流すこと自身を帝国主義軍隊への飛躍のテコとし、かつアフリカへの資源略奪戦争に介入する手がかりとしようとしています。 こんな不正義の、また自衛隊員とその家族を嘗めきった派兵を絶対に許してはなりません。ソマリアの労働者民衆は必ずや第二の「ブラックホークダウン」を戦取するでしょう。被爆者・二世は軍服を着た労働者である自衛官の皆さんと共に、ソマリア派兵阻止を闘い、ソマリアの労働者・民衆と連帯することを誓います。自衛官の皆さん、家族の皆さん、ともに闘いましょう。
2009年3月1日
全国被爆者青年同盟 |