Q&A
[当工房の製品に関して]
●12f/14fジョイントの違い (スティール弦ギターの場合)
ブリッジ位置が違います。12fジョイントは表板のサウンドホールから下のほぼ中央という、最も鳴りやすい場所に来ますので、音量の点では有利ですが、よく鳴る分ウルフトーンも目立ちやすい欠点もあります。
14fジョイントは、同じ理由で音量の点ではまあまあなのですが、ウルフトーンやデッドポイントもなくバランスがとてもいいです。
どちらも一長一短ありますし、製作する際はそれぞれの欠点を最小にすべくブレイスパターン等工夫しています。
●カッタウェイとノンカッタウェイの違い
内容積が違います。カッタウェイの利点としては、ハイポジションの弾きやすさ、電気を通した時の(ノンカッタウェイと比較して)相対的なハウリングに対する強さです。それ以外では全ての要素においてノンカッタウェイに分があります。特にナイロン弦クラッシックギターにおいて両端、つまり1、6弦の響きが削られる様に感じます。最小限にすべくいろいろ工夫はしていますが、限界もあります。これは同じサイズのボディで比較した場合、ある意味仕方のないことです。
●弦は弾かない時に緩めるのか?
ナイロン弦クラッシックギターやウクレレでは、普段はその必要は全くありません。1年くらい弾かないと分かっていれば、多少緩めた方がいいとは思います。
スティール弦ギターでは、通常は緩めなくてもいい様に作ってはいますが、梅雨時期など、湿気を吸って表板が膨らむようでしたら、1音から2音ほど緩めたほうがいいと思います。弦高、表板の状態のこまめなチェックや、除湿器等での湿度管理をお勧めします。寒冷地などでは逆に、暖房による過度な乾燥に注意が必要かも知れません。
●ヒールをマホガニーの積層にしているのは何故か?
クラッシックギターではドイツ式ダブテイルジョイントでも伝統的にそのように作ります。ジョイント部が最もトラブルが多いので、狂い防止かと思います。スペイン式通し棹でも同じことです。
スティール弦のギターはそもそもが工場で作られ始めたので、互いの接着面を出して接着、そして成形という工程を避けたのだと思います。
当工房では、完全な柾目材(最も強度があり最も狂いにくい)にこだわって作っています。
●size12で、ノンスキャロップなのに、何故ライトゲージまでしか張れないのか?
ブリッジの接着面積が小さい為です。ブリッジは弦振動を表板に伝える部品ですが、余り大きい(広い)と逆に表板の振動を妨げると感じています。私自身は小さい方が有利だと思っていますが、この辺の所は一般論としてもよく分かってないことが多いのです。
当工房のsize12はボディ自体は結構頑丈な方です。
●ギター内部を塗装しているが、音に変化はあるのか?
湿潤な日本の気候を考え、吸湿防止の為ですが、セラックを薄くしみ込ませる程度しか塗っていませんし、表板の裏は塗っていませんので、音の変化は感じていません。
●ヘッドに固有のマークやロゴを入れないのか?
ヴァイオリンやクラッシックギターは元来ラベルだけなので、それを踏襲しています。天然木の杢目はいかなる人工のデザインよりも美しいと思っていますし、作るものがスロッテッドヘッドが多い上、軽量化のためギリギリまで小さくしているため、入れるスペースが元々あまりないのもその理由でしょうか。
※実は独立当初はスティール弦ギターの方には何か入れようかといろいろ考えていたのですが、いいものが思い付かず、そのまま今日まで来てしまいました。地味ぃ〜なギター作る奴が一人くらい居てもいいだろうと、最近(2011年現在)では開き直っております。許してやって下さい。
●エレキギターは作らないのか?
私自身弾きますが、フルアコ/アーチトトップも含め予定は全くありません。
フェンダータイプのネックなら注文はお受けします。メイプルとマホガニーがあります。弦長はいろいろ対応できます。いずれもネックに直接フレットを打つ、所謂ワンピースネックはやりません。お問い合わせ下さい。
[ギター一般に関して]
●クラッシックギターで、ドイツ式ダブテイルジョイント(ありほぞ)とスペイン式通し棹の音色、余韻等の違いは?
昔からある議論のようですが、私は気にする程ないと考えています。それ以外の要素の方が、音に与える影響は遥かに大きいと思います。もしどちらかが一方的に優れているとしたら、もう片方は淘汰され採用する人はとうの昔に居なくなっているでしょう。
これは作り手側の都合に限定していい話題だと思います。作りやすさから見ると一長一短で何とも言えません。
当工房ではドイツ式を採用しています。
●バインディングは何の為なのか? 飾りなら省略してもっと安くならないのか?
ギターのボディは、基本的に柾目で作ります。目がすーっと通っている材です。目が通っていますと割れやすいので、ぶつけやすい角を別な材で巻いて保護しています。装飾も兼ねていますが、大事な部品です。ロゼッタ(サウンドホール周り)も同じです。穴を開けますと弱くなり割れやすくなりますので(裏側に補強はありますが)、装飾も兼ねて割れ止めとして入れます。
●ギターの保管について
温度0℃〜30℃ あまり暑いと"にかわ"がゆるみます。あまり寒いと塗装に割れが生じるおそれがあります。
湿度40%〜70% できれば50%くらいを目安に。と言うのも、いろいろなメーカーの温湿度計を並べて同じ条件で見ると、温度計はどこのメーカーでもほぼ同じ値を示すのですが、湿度計はかなりばらつきがあり、10%くらいの違いはよくあることなのです。仮に誤差を10%としますと、70%を示していても、もしかしたら77%の可能性もあるということになります。ですのでどんなメーカーの湿度計でも(あまり安いものは除く)50%前後にあれば、まぁ安心ということです。
●弦長の計り方
ナットから12fまでの長さの2倍が公称弦長になります。実際の弦長は、補正をかけていますので若干長めになります。