「『天声人語』に載ってしまったこと」(1999.12)

 

伊勢 真一


事の始まりは、『カンドゥーコ』という名のイギリスの車イスのメンバーを交えたダンス・グループの舞台でした。
 “えんとこ”のすぐ近く、世田谷・三軒茶屋のホールで行われた公演を、遠藤や映画『えんとこ』応援団の皆と連れ立って観に行ったその翌日に、『天声人語』にカンドゥーコの紹介記事が掲載されたのです。
 思い立って映画『えんとこ』の世田谷・豪徳寺での上映会へのお誘いの手紙を『天声人語』さんに書いてみました。

 すると、12月1日、映画の日の『天声人語』に映画『えんとこ』が紹介されたのです。
 反応は、すさまじいものでした。
 『えんとこ』上映委員会が居候するオフィスの電話はまるまる3日間程鳴りっぱなし、てんやわんやの嬉しい悲鳴騒動でありました。
 ぜひ映画を観たい、ぜひ上映してみたい、という人々が、全国各地から問い合わせを寄せてきました。(カナダや、台湾からも電話がありました)


 正直あわてました。だって、東京・横浜・大阪等の大都市で、すでに全く上映予定がなく、北海道・九州もゼロ。 
 電話が鳴るごとに、上映会の予定が無いことを謝り、観たいのであれば、何とか上映会を開催していただけないかとお願いしたり、の繰り返しでした。
 われわれの自主上映は、上映委員会が自主的に上映するというわけではなく、映画を観たい、観せたいという方々に、自主的に上映してもらう、というシステムなのです。
 
 上映委員会は、そのコーディネイトをする役割。主役はあくまでも、映画を観る一人ひとりです。もちろん力があれば、上映委員会が、主導権をもって、全国津々浦々に映画を見せて回ることもできるのでしょうが…
 内情をバラせば、『えんとこ』上映委員会は、『えんとこ』製作委員会がほとんどそのままメンバーで、それに加えて強力な応援団が、サポートして成立しているのです。
 自分たちで創ったものを、何とかみんなに観てもらいたい。誰かに任せるのではなく、自分たちで、やれるところまでやってみよう、という思いです。したがって、上映を手がけながらも、創ることに同時に取り組んでいるのです。

 しかし、『天声人語』を読んで、問い合わせをしてくる人の中には容赦ないキツイ人もいて、「なぜ、上映が無いのですか?ちょっと無責任だと思う…」というニュアンスのお叱りを受けました。
 スミマセン
 で、このホームページを眼にしている方にお願い。ぜひぜひ、上映に挑戦してみてくれませんか。上映の可能性のあるところに『えんとこ』を紹介していただけませんか…

だって
君は、一人で勝手に
何かをやっていくことなて
出来ないだろう?

よろしくお願いします。