天使シリーズ-5
まだ見ぬ天使たちへ(2002.8)

 

伊勢 真一

 


8月5日月曜日、BOX東中野への巡礼の旅、この日は5人。
せっかく先週から盛り返して。この調子で尻上がりにと思っていたのですが・・・
で、
この日は、映画の中でアンナちゃんに会った。アンナちゃんは二十歳をちょっと過ぎたく
らいで、ぴぐれっとに来るようになってから2年になると思う。


8月1日、アンナちゃんは遠いところへ逝ってしまった。
もう、帰ってこれない所へ・・・
突然の出来事にぴぐれっとの若い職員たちは、どうしていいかわからない悔しさに、途方
に暮れていたらしい。2日に、いつものようにふらりと撮影に立ち寄った時には、みんな普段通りの笑顔をたたえていたけれど・・・


理不尽だと思う。


奈緒ちゃんのお母さんは、「アンナちゃんだけでなく、障害を持つことで体に想像を超え
る負担をあたえていることを思うと、人事ではない・・・」と、ちょっと沈んだ声でつぶ
やいていた。


BOX東中野で「ぴぐれっと」を見返したら、映画の冒頭のシーンにアンナちゃんが、
7カットも写っていることに気がついた。ほとんど後姿ですが、そのことに改めて気がつ
いた。すべてのカットを穴のあくほど観ているはずのカントクが、一人ひとり、一つひと
つをちゃんと観れていないことを恥じると同時に、映画の表現力の多様さを今更のように
思う。一度一度観るたびに違う部分が見えてくる。
それが映画の、特にドキュメンタリー映画の面白さだ。


アンナちゃんは、映画の中でアンナちゃんであり続ける。そのことで映画を生かし続けて
くれている。