ずっと見ていたい(2009.11)

 

伊勢 真一

 


インド・ガンジス河を旅した時、河のほとりでボーッと水の流れを見るともなし見ている人に、しばしば出逢った。ずっと見ていられる何気ない光景と、それをずっと見ていることが出来る人と…いい時間だな、と思った。

どういう映画を作りたいのですか?と問われると「普通を撮りたい」と答えることがある。「普通」って何だろうと思いながら…。それは、ずっと観ていたいと思えるような映画と言い換えてもいいかもしれない。

私が創りたい映画、私が観たい映画が又一本完成、今、東京のポレポレ東中野で公開されている。
岩手県・早池峰山麓の森、タイマグラに棲みついて10年。「タイマグラばあちゃん」の澄川嘉彦監督が、森に暮らす自分の三人の子どもたちにカメラを向けた新作「大きな家‐タイマグラの森の子どもたち‐」は「普通」を描いたドキュメンタリーのケッサク。「タイマグラばあちゃん」に続き、私のプロデュース作品でもある。

前作「タイマグラばあちゃん」は、澄川クンがNHK時代から惚れ込んで追い続け、やがてタイマグラに移り住み撮り上げた力作だったが、新作はタイマグラの森に家族で暮しながら、まさしく自分の足元を撮り続けた作品だ。森の様々な命に育まれる子どもたちの日々が7年間に渡って丁寧に描かれている。
映画の筋書きを説明すると、二行程で終わってしまう物語。「春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来て、そして又、春が来る。子どもたちは、少しずつ大きくなる…」という話だ。しかしこれがいい…。ずーっと観ていたいと思えるような映画、終わってほしくないと思う映画だ。

自作「風のかたち‐小児がんと仲間たちの10年‐」と並行して昨年から編集仕上げ作業をやっていたので、「風のかたち」と「大きな家」のことを兄弟映画と私は勝手に呼んでいる。
子どもたちと、自然を見つめながら「命」のことに思いを巡らす映画。
ぜひぜひ観て欲しい。

「大きな家‐タイマグラの森の子どもたち‐」
東京・ポレポレ東中野にて、11月21日(土)より朝10:30から1日1回上映。期間中トークあり。(12月5日(土)より一週間、夜8:30から1日1回「タイマグラばあちゃん」もアンコール上映します。)
自主上映も募っています。