年中無休 (2010.8)

 

伊勢 真一

 


夏、世の中は夏休み。

夏のはじめに、恒例の小児がんの子どもたちの「風のかたち」キャンプに行ってきた。
四国・高知で開催、もう13年目になる。
今年は、撮影はせずに、映画「風のかたち」の上映をするためだけの参加…
リーダーの細谷亮太医師共々、大いに海で遊ばせてもらった。
夏休みの絵日記に描いてみたいような、ゆったりとした時間だった。
久しぶりに大きく息を吸わせてもらったような気分。
「海はいい…」ささやかな夏休みであった。

ここのところ、行動を共にすることの多い細谷先生は、月曜日から金曜日まで聖路加国際病院副院長として
小児科医として厳しい仕事に取り組み、土曜日は上映会や講演会・研究会などに顔を出し、
日曜日は郷里山形にある細谷医院に日帰りして、地元の子どもたちを診察する。
文字通り年中無休の日々を送られている。
「細谷先生はいつお休みになるんですか?どうかカラダを大切にとお伝え下さい…」
と映画を観て頂いた方からご心配の声を頂く。
たしかに大変な激務である。

張り合うわけではありませんが、私もこの数年、365日、ほとんど休みなしの日々を送っている。
ドキュメンタリー映画を自主製作で創り、自主上映することを積み重ねているうちに、
やること、やらねばならないこと、やりたいことが山盛りになってしまい、休めなくなってしまったのだ。
週休二日制が定着し、冬休み、ゴールデンウィーク、夏休みと
誰もが休みを取るのが当り前の時代に逆行しているのですが、
あまり休みたいとも思わないんだな…

「多分、ワーカーホリックという奴だ。」と細谷先生とうなずき合う。
細谷先生の場合は社会的におおいに意味のある激務だと思うけど、
私の場合は、あんまり意味があるとは思えない年中無休かもしれないから、
一緒にしたらいけないか。

まだ20代、30代の駆け出しの頃、他人より少しでも仕事が出来るようになるためには
三倍くらいは働かなければと思い、徹夜仕事を繰り返していたクセが、まだ残っているのかもしれない。
しゃにむにやっていないと、何だか駄目になってしまうような気がするんだな…きっと自信がないんだ。

というわけで、この夏も働く。
8月13日(金)〜15日(日)は軽井沢で第1回軽井沢ヒューマンドキュメンタリー映像祭、
8月20日(金)〜22日(日)は大阪・阿倍野で第8回ヒューマンドキュメンタリー映画祭をやる。
週末には「風のかたち」の上映がほぼ毎週ある。
普段の日は編集室にこもり、今仕上げ中の作品の編集だ。
撮影もしたいものがあるし…
「次は何ですか?」と聞かれると「ヒミツ」と答えることにしている。
そのうち、教えてあげるから。