余震のただ中でーその2ー(2011.03)

 

伊勢 真一

 

 

大変な出来事でした…
ボンヤリ者の私も、さすがに少し目が覚めたかな。

被災地入りし、仲間のひとりであるミュージシャンの苫米地サトロの
安否を確認してくれた山男カメラマン・宮田八郎と電話で打合せ、
サトロを撮影することにした。
山男と野球部出身(私)…体育会系ならではの連携、
ツーと言えばカーという感じでことは運んだ。
いつも持ち歩いているカメラでサトロを撮ってくれたハッちゃん(宮田八郎)を新潟で待ち受け
撮影済みのテープを抱えて東京に舞い戻った私は、
我が長男で、映像の仕事をもう10年来やっている伊勢朋矢に連絡、
協力要請をした。

編集作業は徹夜だった…と言っても、やってくれたのは朋矢で、
私はそのうしろで「うん、いいと思う…」とうなずいたり、
眠気にこっくりこっくりうなずいたりしていただけだ。
ハッちゃんは、いい感じで素直にサトロを撮ってくれていた。
テレビでさかんに流れている映像のように感動的なシーンがあるわけではないし、
やたら死者、行方不明者の数字を訴えるわけでもない。
ただ、ひとりの歌が好きな男がそこにいるというだけの
25分の短編ドキュメントが仕上った。
大事なのは、ひとり、ひとりだ。
もっと言えば、人間だけでなく、犬や、ネコや、牛や、馬や、鳥や
草や花や虫…
生きとし生けるもの、ひとつひとつだ。

朋矢がyoutubeに載せたら?と提案してくれ、
徹夜明けの次の日、速攻で『サトロー被災地からの歌声ー』をyoutubeと
vimeoに投稿した。
震災から7日、撮影から4日の早業だ。
30年かけてまだ完成しない映画(『奈緒ちゃん』シリーズ)を創っている我がスタッフが、
7日間でまがりなりにも一本のドキュメンタリーを完成させたのだ。

だから観て欲しい。
誰もが何かが出来る、と言うわけではないかもしれないけど、
見守ることは出来る、“見て、守る”ことは出来るはずだから。

今週末から東北へ行く。
前から頼まれていた仕事の撮影と、『風のかたち』の秋田での上映があるからだ。
その帰路、スタッフと共にサトロを訪ねてみようと思っている。
サトロの話しを聞いてみたい。
歌も聴いてみたい。
もしも可能だったら、又、みんなに観てもらえるように撮影して来たい、と思っています。

「こんな時なのに」ではなく「こんな時だからこそ」
普通のことを普通にやりながら
大変なことにかかわっていきたい、と思う。