重度の障害者であるこの映画の主人公・遠藤滋(えんどうしげる)は、地域や職場における障害者差別、福祉行政の立ち遅れの、まさにまっただ中を生き、時にこぶしを振り上げ闘ってきた男である。
しかし、この作品の製作意図は、いわゆる告発や批判に加担するところにはない。もちろん問題からただ眼をそらして、障害者の物語を情緒的に詩いあげようというわけでもない。
遠藤滋の言う〈ありのままの命にカンパイ〉という考え方にフォーカスを合わせてみたい。
「ありのままのいのちを祝福し、いのちを生かし合う」という姿をこそ、映像化し、多くの人々に問いかけてみたい。遠藤滋と介助の若者たちの日々の営みの中にこそ、その姿があるにちがいないと確信している。
特別な場所ではなく、遠い未来のことでもなく、今、自分の居る場所にスポットをあて、眼を凝らし、耳を澄ますと、「ありのままのいのち」に気づくことが出来ると、遠藤滋は言っているのだろう。
それは、障害者にとっての自己認識というよりも、もっと普遍的な意味を持つ問いかけであるようにも思う。
結果として、地域で生きる障害者や老人をはじめとする弱者のケアに対する問題提起になることを前提にしつつ、もっと拡く、もっと深く、受けとめてもらえることを目指した。
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