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第7話 はじめはハンバーグ

 水泳を教えてもらう代わりに、先輩に料理を教えることになった。先輩は今まで経験なしあるが、私が川でおぼれてはかなわない。ここは何としても成功してもらわなければ命にかかわるのである。

 パートナーとの話し合いの末、先輩が料理を苦手とする原因は、次の2つであると分析した。1つ、包丁がこわい。2つ、料理書はあいまいに書いてある。また、今回作る料理は、4つの条件をクリアする料理でなければならないことでも意見が一致した。1つ、失敗しても取り返しがつく。2つ、いい加減でよい。3つ、誰でも食べられる。4つ、見栄えがする。最終的に、ハンバーグを選び、コーンスープと野菜の付け合わせも添えることにした。

 材料をそろえたところで、先輩の不安を取り除くことから始める。まず、第1の障害の包丁対策から。包丁の刃を手のひらにのせる。刃を横に引かなければ大丈夫。先輩にもやってもらう。手がぎこちない。う〜む。ニンジンの皮を試しにむいてもらった。う〜〜む。前途多難である。

 さっそく、ハンバーグ作りにとりかかる。みじん切りのタマネギを炒める。「い〜い匂い」とは先輩の言葉。先輩、良いところに気がついた。私も久しく忘れていたが、匂いも料理のうちである。続いてパン粉やら何やらを混ぜて、調味料を投入。「適量って何グラム?」 第2の障害である。いい加減をモットーとする私の料理では、適量は適当なのである。好きなだけ入れていただきたい。料理は楽しまなくてはいけない。塩とトウガラシは取り返しがつかないが、他は何とかなることも納得してもらう。

 順調に進んでいると思ったら、思わぬところで第3の障害に出くわした。先輩のパートナーである。この方、誤解のないように言っておくが、非常に良い人である。だけんどもしかし、横からあーでもこーでもと口を出す。先輩の初めての料理が食えるのであるから、でんとかまえてビール飲んで昼寝でもしていただきたいものである。早々に台所から追い出して、第3の障害もクリアーである。非常によい人であるが、何しろ、命にかかわるので、こちらも必死である。

 お腹も空いてきたあたりで、ハンバーグが焼け、スープは温まり、付け合わせができた。初めてにしては先輩大したものである。先輩のパートナーが細かいところであれこれと言っているが、それはさておき、みんな喜んで食べ、ワインで酔っぱらい、楽しいハンバーグパーティーも無事終わったのである。やれやれ、これで私の命も安泰というものである。

 「実家で再度ハンバーグに挑戦したよ。料理できなかったからみんな驚いていた」とは先輩の後日談。株は上がりまくりである。いいなあ。私は、未だ25メートルしか泳げない。

パートナーのひとこと

 家庭科の調理実習みたい。

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