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第13話 進む道は焼き芋なり

まさに焼けてるさつまいもの図
まさに焼けてるさつまいもの図

 我が家から最もかけ離れているものと言えば、豪放とか、野生とか、強健とかいったもの。暮らし向きは、非常に静かに、きわめて平和である。
 ところが、時には冒険をしてみたくなり、最もかけ離れているアウトドアなんかに憧れちゃったりするのである。だけんどもしかし、やれ虫に刺されるだの、寝心地が悪いだの、雨がいやだのと、なかなか実行しない。とにかく、やってみればいいのに、である。

 葛藤の末、これではイカンと、虫も人もいない晩秋に、寝心地のいいお布団付きの、山のバンガローを借りることにした。
 やはり、アウトドアの醍醐味は焚き火料理につきる。定番は、バーベキューや焼きそば、とにかくビールであろう。こうこうと燃える炎、肉や脂がジュッと焼ける音。実にいい。

 だけんどもしかし、他人と同じことをしても、ぜ〜んぜんつまらない。行くからには、普段できないことをやってみたい。なまいきにも、志だけは高かったりするのである。となると、ここは焼き芋に限るだろう。落ち葉で焼き芋、あのホクホク感、ん〜、たまらない。
 そうと決まれば行動は迅速、さつまいもと炭を軽自動車に積み込んで、燃えるような紅葉のバンガローへレッツゴーである。

 焚き火であるからには、薪がないと物足りない。炭しかないのは、すでにずっぽりと手抜かっている。枯れ枝をあっちから集め、枯れ葉をそっちから集めて、点火! ありゃ? 雨で湿気っているのか、なかなか燃えてくれない。枯れ葉投入、煙も〜くもく。前途多難である。あっちをつつき、こっちをあおぎ、しばらく格闘の末、やっと火も燃えだし、さつまいもを投入である。妙に大きい芋を、妙に大きいまま投入する。豪放とか野生とかが大切である。強健ばかりは変わりようがないので、割愛させていただきたい。

 無事、さつまいもが投入できたところで、あたりを見回してみる。、焼きそばの豪放な湯気やら、バーベキューの野生の匂いやら立ちこめ、ビールでワイワイやっている人たちのかん高い声でにぎやかである。みな、実にわかりやすいアウトドアである。そんな中、焚き火をしているのは、我が家だけ。しかも、あおいだり、竹筒で吹いたりの火力調節やら、足りなくなった枯れ枝の収集やらで、せわしないことこの上ない。晩秋というのに、汗だく、中腰姿勢で、足はわなわな、かまどの前にたたずむ姿も情けない。何だか他人様とは、生きる姿勢とか進む道とか、どうも違っているようにも思うが、今はよく分からない。

 芋をひっくり返しては、焼け具合をみる。特に高度な技術はいらないが、すっかりあたりも暗くなり、時間だけが過ぎていく。腹も猛烈に減ってきた。ひもじい。
 あ〜、い〜い匂い。どうやら出来上がったようである。とにかくひもじい、そこらの石に腰かけて、無心に皮をむく。黄色く、ほっこりとしている。ほおばると、はらはらと崩れていく。は〜。実にうまい。ホクホクとうまい。悲しいくらいうまい。子供の頃に食べて以来の、なつかしい味である。

 まあ、生きる姿勢とか進む道とかいったことは、とりあえずおいといて、このうまい焼き芋で、心の底から幸せになれるのも、またいいものである。かなあ?

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