トップページへ

第33話 平凡な和食

 ひょんなことから、お米を入手した。魚沼産最上級新米コシヒカリなる、8文字熟語のコシヒカリである。有機にこだわり、いちずにおいしいお米づくりを続けている、職人さんの手になるコシヒカリの逸品である。

 なあんて書いてみたところで、普段は標準価格米だか自主流通米だか、そんなのも良く分かっていないお米を、炊飯器おまかせで食べているようなやからである。本当のところ、どのくらいすごいのか、さっぱりイメージが湧かない。うまいケーキとか、うまいサバといわれた方が、まだ分かりやすいような気がする。ようするに、最上級のお米を食べた経験がないということなのである。こんな時は、百聞は一見にしかず、食べてみるしかしょうがない。

 さて、手元に届いた最上級のお米を見ても、外見は普通のお米である。見る人が見ればすぐになんたるかが分かるのかもしれないが、我々の目は節穴のようだ。しかも、根っから貧乏にできているらしく、こんなのはそうそうは食べられないのではないかと、思ってしまう。まともに買うと、やっぱりいいお値段なんだなあ。そこで、我々は、このチャンスを最大限に生かすことにしたい。うまい米を食うためにはどうすれば良いか! 深夜の家族会議が開かれることとなった。

 人間の頭は、今日の「おかず」は何にしようかなあと考えるように出来ているらしい。お米のために何を食おう、と考えるようにはできていないようなのだ。う〜む。飯を食うのにそんなに悩んでも消化に良くないのだが、久しぶりに真剣に悩んだ末、「やはり、焼き魚であろう」との結論に達した。旅館で食べる朝ご飯の取り合わせ、あれである。
 待て待て。これって、子供の頃や、私たちの親、祖父母が、洋食がこれほど一般家庭に広がるまでは、ごくごく普通に食べていた食事である。海に囲まれ、山に迫られた日本が、おいしい食事を求めてたどり着いた結果なのである。その中には、お米もあれば、魚もあれば、とろろもある。昔は、ごくごく普通の食事だったものが、今や贅沢品なのか。不思議な感覚である。

 最大限にチャンスを生かすべく、お米も鍋で炊くことにする。出来の方はちょっと固めだった。新米なので、水加減を控えたからなのだが、やりすぎたようだ。やはり、緊張しているせいらしい。
 しかしながら、出来上がったご飯のつやつや感、弾力のある粘り、豊かな香り、どれをとっても、いつもの自主流通米だかとは明らかに違う、美しいご飯である。この日のために焼いたホッケも、適度な脂がのって、絶妙である。結局、家族全員でうまいうまいを連発しながら、バクバク食べ尽くしたしまった。

 毎日最上級を食べるなんてことは、とてもじゃないが出来ない。昼休みに外食すると、まずくて食べられなくなるのである。でもまあ、たまには、ご近所と共同出資で食べてみるのも、良いかもしれない。もちろん、自力で購入することだってOK。ちょっとしたことで、結構幸せな気分になれたりする。

 しかし、いろんな事を考えながらご飯を食べるのは・・・よくないね。

パートナーのひとこと

 日の丸弁当でもおいしいよ!

トップページへCopyright (C) 1999 k-ogasa. All Rights Reserved.

たぶん12万