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第38話 スリルとサスペンスの学校給食

 「ただいま〜」と、子どもが帰ってくる。大きなランドセルを背負ったピカピカの一年生。今日は、一ヶ月に一度のお楽しみ、給食献立表配布の日である
「見せて、見せて」
 子どもと先を争ってチェックする。小学校といえば、給食。これが楽しい。なにしろ、私の学校時代とは段違いのバラエティーである。よくぞこの時代、この国に生まれけり、ってなもんである。

「ツイストパン、牛乳、コーンチャウダー、肉団子のオーロラソースかけ、アスパラガス、マヨネーズ」
「麦ご飯、牛乳、豚汁、ひじき入り肉包み揚げ」
「五目ラーメン、牛乳、春巻き、びわ」

 見ているだけでわくわくする。給食センターの栄養士さんがカロリー、栄養、食中毒対策に子どもの嗜好、苦手等々、考え抜いて作ったすばらしいメニューである。これらに比べれば、今まで私の作っていた弁当なんか、おままごとも同然である。うちの子どもに、よそ様が、ご飯を作って食べさせてくれるのだ。有り難くて涙が出る。

 そのご苦労は、献立表の至る所に垣間みられる。
「冷凍みかん」***ずいぶん久しぶりにお目にかかった。昔々、列車の旅の際によく買ってもらったものであるが、物の豊富なこの時代、こんなところで再会するとは思わなかった。
「温野菜」***生野菜が使えなくなり、全て加熱調理することになったのだ。子ども達の安全のために、一手間かけていただいている。トマトもキュウリも生食させている私は、頭が下がるばかりである。
「ひじき入りミートソース」・・・どうしてもひじきを食べさせたいらしい。
「大根入りカレーライス」・・・どうしても大根を食べさせたいらしい。
「枝豆コロッケ」・・・どうしても枝豆を食べさせたいらしい。
 全ては子どもの健康を考えてのことである。全く、感謝にたえない。
「魚の照り揚げ」・・・どうやって作るのだろう?
「ひらやき玉子」「三色ソテー」「和風シチュウ」「いなりのあんかけ」・・・一体、どんな物が出てくるのだろう?
 想像力を駆使して、隅々まで解析する。子供と一緒に、その後ひとりで、そしてパートナーが帰宅後に一緒に。一粒で三度おいしい献立表である。

 毎朝、献立表をチェックして一喜一憂している子ども。私は、ひどくうらやましくなる。自分で食事を作るようになって「何が出てくるか分からない食事」が出来なくなった。今日のご飯は何だろう、今日のお弁当は何だろう・・・そういう、待ち遠しさは、今思えば、子どもの特権であった。最後にそういう思いをしたのは、6年前、それこそ子どもの出産入院のときである。
 大人になるってこういうことか・・・失くした物に気がついて、ふと立ち止まる私だった。

教訓

 休日のごはんはパートナーに作ってもらおう

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