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第40話 夏ばて防止メニュー

 「ののちゃんちは、今日もそうめんらしい・・・」
 嘆息とともに新聞を閉じる。山田君一家の健康が心配だ。しかし、まつこさんを非難することは出来ない。私にも苦い経験があるからだ。
 真夏の台所は暑い。火を使えば必然的に気温は上がり、換気扇を回せば冷房は効かなくなる。太陽は容赦なく照りつけ、私は涼を求めて、短時間の加熱ですむ喉越しの良い、さっぱりした食べ物ばかりを作った。
 そうめん、つけめん、冷やし中華。
 サラダ、冷や奴、浅漬け、冷しゃぶ、酢の物、冷製スープ、スイカに枝豆、そしてビール。
 身体が欲しがる物が、身体にいい物だと信じていた。欲望の果てに大きな落とし穴が待っているのも知らぬまま・・・。

 それは、9月に入った頃である。めまい、息切れ、慢性的な眠気と倦怠感、無気力。それが夏ばてだと気が付いたときには、もう11月だった。これは食生活が間違っていたのではないかと思い当たったとき、私は愕然とした。何とかしなければならない。家族の健康は、私の裁量にかかっているのだ。

 その年から夏ばて防止メニューの研究が始まった。試行錯誤ではや☆年、ついに私は答えを出した。基本は次の3点。とにかく欲望に、とことん逆らうのである。
1・・・油を使う。
2・・・スパイスを使う。
3・・・濃いめの味付けをする。
 油は、スタミナ源である。煮物も、夏はゴマ油などで炒め煮にして濃いめのこってり味にする。食が進むし、傷みにくい。また、加熱することで、野菜も量が減り、たくさん食べられる。結果的に栄養の偏りをカバーできるのである。
 また、夏は、アクセントのある味付けが食欲をそそる。辛味、酸味、香味をふんだんに使う。
 中華がいい。沢山の食材を高温で一気に炒める。しょうが、にんにくで香ばしい匂いを付け、豆板醤、オイスターソース、XO醤など市販の調味料を駆使して炎の達人となる。エスニックもいい。カレーやピリカラ炒め、甘酸っぱい料理などでマンネリした気分を払拭するのだ。
 汗をかくのである。作っている最中も食べている間も。食べながら額を首筋を胸元を、汗が伝うくらいがちょうど良い。

 これで、夏ばても夏やせもしない健全な肉体を維持できること請け合いである。どうかすると夏太りさえしかねない。そうして明るく健康な食欲を携えながら、天高く馬肥ゆる秋へと突入してゆくのである・・・・・

教訓

 暑い国の食生活を見習おう。

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