トップページへ

第41話 え〜〜〜 お野菜ばっかり?

 子供は、野菜嫌いである。タマネギが嫌い。ピーマンが嫌い。セロリが嫌い。タケノコが嫌い。ナスが嫌い。野菜が出てくると、あからさまに、いやな顔をするし、まずそうに食べる。せっかく作った料理をこんな風にされると、腹が立つのは当たり前。食べる食べないでひと悶着おきることになる。

 親にだって都合がある。私は子供と違って、ピーマンやセロリが大好きだし、パートナーは、じじばばから無体にも送られてくる大量のナスを消費する使命に燃えている。  子供にだって都合があるらしい。野菜の匂いが嫌い、苦いの嫌い、味が嫌い。親だって野菜は嫌いじゃないか、子供が嫌いで何が悪い。だそうだ。

 そうなのだ。親だって嫌いな野菜はある。野菜好きの私だって、ナスは嫌いだ。火を通すと、ぐにゃぐにゃになるし、まわりをみんな真っ黒にする。美観も食感もよくないと思っている。
 それなのにそれなのに、子供に野菜を押し付けるのは、やっぱり卑怯なのである。卑怯なのだけんどもしかし、それを分かっていながら、子供のためには野菜炒めを食べさせたい。でも、やりすぎれば、決定的野菜嫌いになってしまう。子供もつらいが、親もつらい。

 ある日の冷蔵庫の中。キャベツ、長ネギ、ピーマン、もやし。学生時代でなくても、思いつくメニューは野菜炒めである。醤油とコショウの和風にするか、オイスターソース入り中華風にするか。どれにしたって.子供の反応は想像がつく。
「え〜〜〜、お野菜ばっかり? え〜〜〜。お野菜嫌い。」
 だとしても、私は食べたい。猛烈に野菜が食べたい。最近とみに野菜不足のような気がする。野菜食べたい度200万点なのだ。
 タイ風野菜炒めにしてみようと思いつく。酢、オイスターソース、ナンプラー、砂糖をまぜまぜ。タイ風ゴールデンソースである。子供の抗議なんて、野菜食べたい度200万点の前では無視無視。
 材料の野菜をザクザクと切る。中華鍋で、できるだけ強火で炒める。かさは減るがシャキシャキした歯ごたえは残るのだ。弱火だと、水分が飛ばずにべたっとしてしまう。とにかく強火で豪快に、多少ネギが飛び出しても気にしない。炒まったところで、ゴールデンソースをぶっかけて、最後の仕上げ。立ち上る湯気。むせるような甘く酸っぱいにおい。

 子供の反応はやっぱり、
「え〜〜〜、お野菜ばっかり? え〜〜〜。お野菜嫌い。」
である。だけんどもしかし、他に食べるものはないときつく言い含めると、しかたなく食べ始める。そのうちにバクバク。あららら、食うわ食うわ。どうやら、気に入ったようである。
 その後も野菜炒めを作るといえば、
「あの、甘い野菜炒めがいいな」
ってな具合。いひひひひ。同じ野菜でも、料理の仕方で、
「え〜〜〜、お野菜ばっかり? え〜〜〜。お野菜嫌い。」
が、
「あの、甘い野菜炒めがいいな」
になるのである。

 そう言えば、私だって、からりと揚がったナスのてんぷらなら、ばくばく食べるのだった。す〜っかり、忘れていたぜ。

パートナーのひとこと

 ナス嫌い。

トップページへCopyright (C) 1999 k-ogasa. All Rights Reserved.

たぶん12万