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第48話 ハニーカステラ

 カステラは、買って食べるものだと思っていた。ケーキを作るようになってからも、カステラは、買って食べるものだと思っていた。異国情緒豊かな絵の付いた箱に、ぴっちりと納められて、きれいな焼き色を見せている「かすていら」は、子どもの時分は贈答品か、来客用という感覚があった。
 子どものおやつ用には、お菓子屋さんで、箱入れするときに出る切れ端を、まとめて安く売っていた「くずカステラ」が主流だった。母は、「味に変わりはないんだから」と言わんでもいい言い訳をし、大いにうなずく私は、素直な良い子であった。

 ケーキのスポンジと趣を異にする要因は、カステラのしっとり感である。水分が多いのか、その生地は重い。そして、切り口と表面の色の違い、そのコントラストの美しさは、プロならではの技術と思われた。

 それが、どうだろう。今では、一番手軽に作れるお菓子として、「カステラ」を挙げる私がいる。
 まずその材料である。玉子、砂糖、蜂蜜、薄力粉、牛乳、みりん、以上。
 バターを使わないのがいい。バター練りは、気温の低いときには結構大変だし、そのカロリーは無視できないものがある。その上、生クリームを使わないのである。これは、いい。特別な買い物をしなくても、家にあるもので、いつでも作れちゃうところはポイントが高い。ハンドミキサーさえあれば、誰にでも簡単に作れると言い切っていいだろう。

 普通のスポンジの作り方と違うのは、砂糖を加えて泡立てた玉子に、湯煎した蜂蜜を加え混ぜる点と、ふるった小麦粉を加えた後、湯煎した牛乳+みりんを加え混ぜる点だけだ。生地がそもそも重いので、多少ふくらみが悪くても気にすることはないのだが、玉子を50度に湯煎してから泡立てれば、まず失敗はないだろう。みりんが焦げやすいので注意が必要だが、少し焼き色が濃い方が、カステラっぽくていい。
 焼き上がりが出来上がり。しかし、ここですぐ食べず、一晩、冷蔵庫で冷やして欲しい。翌日のティータイムには、玉子と蜂蜜の素材感いっぱいの、しっとりとしたハニーカステラが楽しめるのだ。少量のみりんが、和菓子でもない、西洋菓子でもない独特の風味を醸しだし、「はいから」な気分を誘う。どんなお茶にも合うが、コーヒーの場合、「珈琲」という気分で、味わって欲しい。
 出来れば、四角いパッドでいっぱい焼き、昔ながらに長方形に切って食べたい。残りはラップして、冷凍保存だって出来ちゃうのだ。
 ああもう、自分の才能が怖い。このままいくと、あの切り株模様のバームクーヘンだって、作れるようになっちゃうかも知れない・・・。

教訓

 伝統菓子、恐るるにたらず!!

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