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第51話 多難なロールキャベツ

 私が子供の頃は、勉強のできる子が良い子であった。米の二期作をやっている地方を知っているとか、連立方程式が解けることがすごいことであり、偉いことであった。
 ところがどっこい、会社に入ってみると、そんなことができてもじぇ〜んじぇん偉くない。下手に知識をひけらかしたり理屈をこねるよりも、乗り気でない相手をうまく説得したり、仕事を楽にするアイディアを出せることの方が、よっぽど大切なのだということをいやというほど思い知らされた。今となっては、仏教伝来ごみやさんと徹夜で暗記したのは、一体なんだったのかと思う。

 そんなことが分かりやすく描いてある絵本に出会った。子供が図書館から借りてきた「ネコが手をかすレストラン」という絵本。売れないレストランの前に人の言葉を話す猫が現れ、魚のアラを使ったロールキャベツとおいしい料理を材料費安く作り、たちまち繁盛させるという、まあ、荒唐無稽なストーリーではある。だけんどもしかし、「こういうやつが、大切なのだ」と、うなずくことしきりであった。

 ドラマチックな展開とスープの香りが立ち昇りそうな描写に、ロールキャベツが食べたくなってしまった。
 今では魚のアラがスーパーでは手に入らないので、そこまで凝るのは諦めて、普通のロールキャベツにする。途中でひき肉グニグニがあるので、粘土遊び大好きの子供にも参加してもらう、というより全面的にやっていただくことにする。

 ところが、売れないコックさん同様に、すぐさま困ってしまった。
 ひき肉がない。そんなこと最初に調べろよ。・・・・・ごもっとも。
 ひき肉がなければ、肉をひいてしまえばいいじゃないか。普通のお肉はと、・・・・・あるじゃ〜ん。
 ダンダンダンダンダンダダン。これが結構楽しい。臆病者の子供も、果物ナイフを持って、ダンダンダンダンダンダダン。
 ひき肉との格闘も終わり、肉団子も無事に完成。だけんどもしかし、。肉団子を包むキャベツがほどけてしまうらしい。そんな時は、つまようじ・・・・・が、ない。竹串・・・ない、フォーク・・・無理。
「このたこ糸で結んだらどうかなあ?」と子供。
 大正解!
 次はスープ作り。トリガラはないけれど即席コンソメスープではちょっと味気ない。そんな時には。香味野菜をとにかく放り込めばいいんじゃないか? にんにく、にんじん、タマネギ。冷蔵庫にあるやつを、ごろごろっと切って、ごろごろっと入れる。付け合わせも一緒にできてしまう。かしけー。

 ロールキャベツ無事完成。子供も自慢げだ。
 ほとんど自分の手で作れたし、味も申し分ない。即席コンソメの尖ったところがない柔らかい味、あま〜い香り。何よりも、煮込まれたロールキャベツから、肉の旨みがじわ〜っと出てきて、これが最高。ちょっと大き目で食べるのに苦労するが、そこはご愛敬。

 多難なロールキャベツであったが、我が子は、自分で頭をひねって壁に当たっても先に進んで行く知恵を持っているようだ。こればっかりは、どれだけ教材に高い金をかけても身に付かないよなあ。

パートナーのひとこと

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