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第59話 元気の出るご飯

 パートナーが怪しげなイベントに行きたいという。ソンクラーン祭りとかいうものである。簡単にいうと、旧タイ暦(仏暦)の新年を祝う祭りで、乾季のものすごく暑い時期に水をかけあって新しい年を喜び、豊作を祈願するというものである。とはいえ、日本の4月下旬は、結構肌寒かったりするが、なんとなく水かけと屋台料理にひかれて出かけることにした。

 我が家の目指す生活イメージは、屋台とか祭というよりも、整然・清潔・安全というようなものである。パートナーは、狭い居住地を広くすべくせっせと整理整頓し、子供にもそれなりのしつけをしている。横着な私は、その上にあぐらをかいた快適な生活を送り、どちらかといえばせっせと散らかしている側である。
 理解に苦しむのは、そんなパートナーがなぜかタイ料理好きということだ。タイ宮廷料理は非常に洗練されていて、野菜で非常に美しい花を彫り上げちゃったりするのだけんどもしかし、我が家は宮廷と関わりもなく、タイと言えば庶民の屋台料理を思い浮かべ、それがパートナーがせっせと汗を流す整然・清潔・安全とは相容れないような気がするのである。

 都内某所で行われるソンクラーン祭りでは、タイ舞踊やタイ式ボクシングのムエタイといったパフォーマンスなどが行われるが、我々のお目当てはタイ式ラーメン。ラーメンというかビーフン麺で、これに生唐辛子+お酢+砂糖+干し唐辛子+ナンプラーを入れて味をつける。ピリ辛ですっぱい、なんとも複雑で土着の味・匂い。唾液が次から次へと出てくる。ちと辛そうなので、子供向けには複合調味料は入れないあっさりスープにする。これもまたうまい。
 その辺では、タイ人たちが見知らぬ楽器に合わせて踊ったりして、お祭り気分を盛り上げている。遠くの方では、水かけも行われている。カッパは用意して来たが、水かけ用の武器がないではないか。う〜む、抜かっている。

 午後もいい時間になったので、そろそろ撤収。濡れたカッパを着たタイ人やら日本人やらが、シンハービールでいい気持ちになっているのを横目に、家路へ向かう。
 怒濤のタイ屋台パワーをひと通り堪能し、すでに頭はマヒしている。そんな濁った頭で夕食のことを考えるのは、結構つらい。パートナーは、洋風、和風、と頭の中で順繰りに、整然・清潔・安全にメニューを考えているらしい。だけんどもしかし、私の頭の中からエスニックが離れない。シンハービールも飲みそこねている。まだ何かが足りない様な気がする。パートナーの安全と私の怒濤を満足するのは・・・肉鍋しかないな。

 豚肉、長ネギ、人参、大根。ザクザクッと切って、鶏がらスープで煮る。30分くらいでできてしまう。パートナーと子供は、このまま整然・清潔・安全にいただく。私の方は、例の複合調味料を真似て、みじん切り鷹の爪+お酢+ナンプラー仕上げで怒濤にいただく。さらにキムチなんかも追加してしまったりする。立ち上る複雑な匂い、強烈な味。今度こそビールもグビッといただく。顔がほてり、踊るタイ人パワーが、私の中にボコボコ湧き上がる。今ならムエタイチャンピオンにも勝てそうな気がする。ぐはははは、うまいぜ。

 また、整然・清潔・安全イメージを無視して、パートナーが怪しげなイベントを探し出す。今度はタイフードフェスティバル。行くかって? ぐはははははははは。行くに決まってんだろ。レッツゴー!

パートナーのひとこと

 次はベトナム料理だ!

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