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第60話 目先変わりのメニュー

 いつか読んだ大河小説に、主人公がお勝手で悩むシーンがあった。「一昨々日は、大根を炊いた。一昨日は、大根の葉と油揚げを炊いた。昨日は、大根と里芋と人参を炊いた。今日は、何を炊けばいいだろう」と。昔の料理は調味料も限られ、味の変化も乏しかったろう、旬の時期には、連日同じものを食べていたのだろうと察せられた。
 それに対して、現代の食の豊かさは、どうだ。季節を問わず、店先に並べられる野菜、果物。豊富な品揃えの肉、魚。日持ちのいい加工食品、乾物。出来立ての総菜、インスタント食品。そのような恵まれた環境で、料理のレパートリーが増えないと言うのは、なんとしたことであろうか!?

 「レパートリーが少ないって事はないと思う。だって、毎日違うものを作って、食べているもの。」それはそうなのだ。しかし、実は食材が多彩になっているので、ローテーションの期間が長くなっているにすぎないのである。例えば、豚肉だったらショウガ焼きと、子どもが好きなのをいいことに、ついつい定番の料理ばかりを作ってはいないか。

 けれどもレパートリーを増やすのは、案外、簡単なのではないか、と思わせる料理に出会った。クリスマスの食卓を飾ったメニュー、「豚ヒレ肉のニンニク煮」と「お刺身イタリアン」である。

 豚ヒレの固まり肉をめんつゆで煮る。このとき、ショウガや長ネギで香り付けをするのがいつものやり方だ。それをニンニクに変えるのである。スライスしたニンニク1片とおろしたニンニク1片を加えて20分ほど煮る。
 煮上がった肉をスライスし、皿に並べて、大葉の千切りをたっぷり散らし、一緒に頂くのである。和風の味付けなのに、こくがあって食欲をそそる。くどくなりがちなニンニクの香りを大葉が和らげ、後味はさわやかだ。
 「お刺身イタリアン」は、タコと白身魚の刺身をレモンやサラダ野菜を敷いた皿にきれいに並べ、イタリアンタイプのドレッシングで頂くものである。オリーブオイルや香辛料、ベーコンなどの香りが、いつもの刺身を、地中海の太陽と風のような、陽気な味わいに変えてくれる。
 更に嬉しいことに、このメニューは応用が利くのである。前者は、肉を牛肉に変えても、鶏肉に変えても美味しいし、後者は、ドレッシングを和風、中華風、フレンチに変えても、刺身をほたて、エビ、サーモンなどに変えてもいけるのだ。
 ・・・宇宙を巡る銀河鉄道の、チケットを手にしたような晴れがましい気分である。さあ行くんだ、その顔を上げて・・・。

 手に入る食材には事欠かなくなった現代だが、やりくり上手のテクニックは、案外、昔と変わらない。安いときに材料をまとめ買いして、目先を変えたメニューでパートナーをだまくらかし、へそくりをためてやろう。不景気が続く現代を、元気にサバイバルしていこう。

教訓

 柔軟な発想は、家計を助ける。

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