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第62話 バースデー・スープ

 もうすぐ子どもの8回目の誕生日。「何食べたい?」と子どもに聞くと・・・。
「お肉。あんまり脂がいっぱいでなくて、でも、ぱけぱけじゃなくて、周りに脂のある大きなお肉。味は、塩とコショウとかで、焼き加減は、中がピンク色くらいに。」
「ケーキは、チョコレートか、キャラメル味がいいな。きれいにきれいに飾り付けてね。色々載せなくてもいいんだけど、アラザンとかで、きれいにしたのがいいな。」
「あとスープ。野菜の細かいのが入っているやつで、トマト味じゃなくて、透明なスープ。」
「それから、タコと白身魚のお刺身をドレッシングで食べるやつ。」
 ・・・なんだと?「生意気!」というと、「私のためのお料理だから、いいじゃないか〜〜〜」という。それもそうだ。仕方がない、年に一度の誕生日。盛大にお祝いしてやろうではないか。

 パートナーと相談し、私は買い出しとスープ、「お刺身イタリアン」を担当することにした。問題は、スープである。子どもは、以前、某ショップで飲んだ野菜スープをイメージしているらしい。確かに美味しかった。あっさりしておりながら、野菜の甘みと、ブイヨンのこくが相まって、とても優しい味わいだった。正式な作り方は分からないが、とにかく、あの味を目指して作ってみよう。

 スープと言えば、トリガラ。トリガラを1羽分買ってきて、タマネギ、セロリ、人参のぶつ切りとともに水に入れる。煮崩れるのを防ぐために、野菜は、不織布の水切り袋に入れて口を縛っておく。そのままストーブに載せて、一日、灰汁を取りながらゆっくり煮ると、沸騰せずにいい感じに火が入る。
 これを一晩さますと、朝には、余分な脂が固まって浮かぶので、こし器で濾して、脂とカスを取り除く。すると、そこには薄い琥珀色のきれいなスープが現れる。しかし、こくがやや足りない。火に掛けて、少々煮詰めたあと、ローリエの葉と、荒みじん切りのタマネギ、セロリ、しいたけ、人参、トマトを入れて更に煮る。トマトは、皮を剥き、種を取って使うという念の入れようだ。
 野菜が柔らかくなって、最後の仕上げだ。味付けは、荒塩をホンのひとつまみ、これだけで充分だ。そして、香り付けに、キルシュワッサーをホンの小さじ1杯。まろやかなこく、優しい甘み。うーーーん完璧。

 パートナーが悪戦苦闘したキャラメルケーキも何とか出来上がり、ステーキも絶妙な焼き上がり。切って盛るだけのお刺身イタリアンに何の問題もなく、テーブルフラワーは美しい。いよいよパーティーの開始だ。
「Happy birthday to you !!」
 キャンドルを吹き消し、みんなで乾杯をする。さあ、君のために作ったスープだ。お味はどうだい?
「・・・んまい」
よっしゃあ!!
 いやあ、がんばった甲斐があったね。これで、母の日には、お・お・い・に期待できるってもんだね!

教訓

 親って哀しい。

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