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第67話 アジア爆発

 11月から3月までは、誕生日やホワイトデーといった家庭内でのパーティーイベントが目白押しである。
「今回は何を作ってあげようか。メインディッシュは・・・」
と頭をひねるのは、苦しみでもあり、楽しみでもあり、日常からの気分転換でもある。だけんどもしかし、すぐにネタに詰まっては、こっちの本をめくり、あっちのファミリーレストランのメニューを思い浮かべ、最後には、
「なに食べたい?」
と、こうなる。

 今回、パートナーの誕生日のメインは炭焼きステーキなので、他のメニューはちょっと風味の違うものにしたい。くりくりとめくっている本から目に飛び込んできたのは、海苔。

 海苔、にんにく、ごま油、ナンプラー、鶏ササミ、アサツキ。
 皆さんは、この組み合わせから何を思い浮かべますか?
 これにトリガラでスープになるのだという。本の作者は、このスープをベトナムで飲んで感激したそうだが、私には味の想像がつかない。ごま油が入るので、たぶん濃厚な味になるだろうとの読み。あっさり味に仕上げた炭焼きステーキとの組み合わせは大丈夫なはず。たぶん。

 なべに入れたごま油に、みじん切りにんにくを入れて、弱火でしばらく放っておく。ごま油とにんにくの香りが、爆発的に充満、キッチンがアジアに変貌していく。換気扇を回さないと息が出来ないくらい。
 
 にんにくがコロッケ色になったころに、水とトリガラスープの素、ナンプラーまで入れたところで、味見。
 あぎゃぎゃぎゃぎゃ、ごま油とナンプラー、癖のある味同士のバトルがとても刺激的である。これは、パートナーも子どもも、拒絶反応を示すに違いない。だけんどもしかし、出直す時間もないので、ち〜まち〜まと細かく引き裂いた鶏ササミを入れて、調理を続行する。

 いよいよ海苔投入。2枚の海苔は、かき回しててもなかなかほぐれない。ほぎゃ〜! と気合いを入れても、ほぐれないものはほぐれない。しばらく弱火で放っておく。
 ぐほーっ! 海苔の香りも加わって、さらにアジアが暴発する。このへんでちょい味見で、ちゅ〜っとな。
「おおおおおおお、す〜ばらしい!!!!!」
 きっとこの感動を本の作者も味わったのだろう。嘘ではなかったのかあ。

 他の材料も入り、海苔スープは見事に完成。炭焼きステーキもなんとか完成したところで、デーブルを囲んで、みんなでいただきま〜す。
 とはいっても、アジア爆発の黒いスープに、けげんそうな顔のパートナーと子ども。いひひひ、まあ、飲んでみなさいってば。

「おいし〜い!!」

 だべさ。
 この、味を文字で伝えられないのがとても残念だ。自分の表現力の限界を痛感する。とにかく、海苔、にんにく、ごま油、ナンプラーの香りと味のとてもアジアなバランスが醸し出す、コク・香り・濃厚なスープとしか言いようがない。何をどんなふうに考えるとこのようなスープを考えつくのか。

 次のパーティーイベントは子どもの誕生日。再びネタに詰まって
「なに食べたい?」
と聞く。
「海苔のスープとタコの丸かぶり!」
 気に入っているらしい。だけんどもしかし。この組み合わせ、素直に喜んでいいものなのだろうか。

パートナーのひとこと

 次はバレンタインデーかな。

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