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第74話 ズッキーニの和風スパゲッティ

 前回、危うく大惨事を免れた我が家であったが、そんな事とは露知らず、義母が野菜を送ってくれた。そして、ズッキーニが再来した。
「さあ、今度こそ美味しいラタトゥイユを!!」とけしかける私に対して、
「今日は日が悪い」「嫌な予感がする」「あの日と天候が同じだ」と、あくまで逃げ腰のパートナー。心の傷は未だ癒えていないらしい。
 せっかくの食材を無駄にしたくはない。ここは一つ、私が腕を振るってやろう。
 
 あの悪夢を再現させないためには、とにかく、煮込まなければいいのである。家にある材料で作れるお手軽なズッキーニ料理は・・・。インターネットで検索する。キーワードはズッキーニ・パスタ・作り方。そしてヒットしたのが「ズッキーニとアンチョビの和風スパゲッティ」である。
 
 材料は、豚薄切り肉、アンチョビ、ズッキーニ、オリーブオイル、醤油、みりん、ニンニク、いりゴマ。さて、アンチョビがないが、ここはオイルサーディンで代用しよう。なに、ズッキーニを食べることが目的である、問題あるまい。
 スパゲッティを茹でる傍ら、中華鍋にオリーブオイルを熱し、ニンニクのみじん切りを炒める。香りが立ったら、豚薄切り肉の細切りとズッキーニの皮付き半月切りを加え、炒める。肉に火が通ったところでみじん切りにしておいたオイルサーディンを加え、炒め混ぜ、一人前あたり、醤油、みりん各大さじ2の調味料を加え、一煮立ちさせる。これに、茹で上がったスパゲッティを入れ、素早く絡ませ、器に盛り、いりゴマを振りかければ出来上がり。さあ召し上がれ。「いただきま〜す」お味は???

「あ、美味しいじゃん!!」ニンニクの香りと豚肉の脂の甘み、鰯の魚臭さと醤油、みりんの和風味が良く合い、胡麻の香ばしさも良い。今まで家で作ったことのないタイプのスパゲッティである。うん、いける。
 おいしいおいしいと食べ進み、ふと思う。「でもこれ、ズッキーニじゃなくても良いよね?」「・・・やっぱり?」
 ズッキーニが入らない方がよいという子どもの意見はともかく、例えば、タケノコ、茄子、青梗菜や小松菜、キャベツ、キノコ、あるいは紫蘇、海苔などでも、確実に美味しいのではないかと思われた。いや、むしろその方が・・・。
 いやいや、きっと、アンチョビを使えば違うのだ。あの独得の発酵味が淡泊なズッキーニの風味、歯ごたえなどと絶妙にマッチして「ズッキーニ以外、考えられない」ハーモニーを醸し出すに違いない・・・。
 とはいえ、今回もズッキーニの良さ、美味さ、ありがたさを見出すことが出来ぬまま、ズッキーニは未だ我が家にとって「招かれざる客」である。今は、我が家の台所から無事消えてくれたことに、ただただ胸をなで下ろす一家なのであった。

教訓

 買い物はメニューを決めてから。

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